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46.異世界プロ野球チーム

 最後までお読み頂いてありがとうございました。これにて本作品は完結です。主人公たちが戦いの後にどんな未来を掴んだか、ソッと見守ってあげて下さい。

「ロン」

「はああ!? 和良、お前……それ四暗刻じゃねえか!!」

「まだ和良やらぃだ」

「かアアアアアアア!! 一人勝ちの麻雀ほど萎えるもんはないでえ!?」



 俺は他の転移者三人と俺の部屋で雀卓を囲んでいた。



 俺は祐輔との戦闘に勝ってからカワズニーがタイミングを図ったかのようにワンバックを圧倒し出した。最終的にはカワズニーが『消滅魔法』なる世にも恐ろしい魔法を放ってワンバックを消し去ってしまったのだ。



 つまり攻撃を受けたものの存在自体が無かったことにされる魔法のようで、まさに決着は一瞬だった。



 カワズニー曰く「アジャー・ワンバックを甘やかした私の責任さね」だそうだ。



 彼女は弟子としてワンバックを愛していた。消滅魔法で殺せたにも関わらず彼女はその使用を躊躇ったのだ。


 その躊躇いこそ今回の事件を引き起こした要因だと彼女は俺たちに謝罪をしてきた。



 とは言え誰も彼女を責める筈もなく、結局は貸し借り無しで話は終わり、こうして俺も他の転移者と一緒にジャパポネーゼに戻って来れた訳だ。


 そして正気を取り戻した祐輔は以前のように俺たちとバカ話と麻雀を楽しむ日々を送っている。まあ、それぞれに仕事があるから毎日とはいかないけどね。



 俺は麻雀で大勝ちをして「ほれ」と手のひらを見せて全員から金を巻き上げた。ヒヒヒ、これで今日は豪勢な夕飯と洒落込んでやる。



 俺は笑いを抑えきれず「ヒーフーミー」と巻き上げた紙幣を数え出した。すると他の三人は俺に呆れたような視線を送って愚痴をこぼし出す。



「コイツ最悪だよー」

「空気読めね奴は嫌わぃるだ?」

「あーーーーーー!! ワシの財布がすっからかんやで!!」



 とまあ何事も無かったように接することが出来るのは有難いことで。因みに他の転移者たちはそれぞれの人生を歩むこととなった。旧ドラフト一位の低原はロマーリオでセレソンに弟子入りして兵卒として軍務を全うする日々を送り、同二位の久保は同様にエスパーニュアスでハイエニスタにこき使われている。


 同三位の稲本はヤクザの中田と共に日本に戻って社会人野球で一からプロを目指すのだそうだ。


 安藤は戦いの後にカワズニーによって魔法で蘇生して貰ったのだが、彼の場合は心臓を撃ち抜かれたことで蘇生に時間を費やしてしまったのだ。


 これまたカワズニー曰く「パーツを復元してから蘇生しないと結局死ぬ」と言うことでそのパーツを修復するのに時間がかかってしまったと言うことだ。



 因みに今は無事に生き返ってジャパポネーゼの国立病院で入院中。



 退院したら稲本と同様に社会人野球からプロ野球を目指すのだそうだ。



 最後に先輩だが、あの人はどう言うわけかこの異世界に残ることを決断した。先輩は異世界に誘拐されてからあまり時間が経過していなかったから、日本に戻れば大学野球に復帰出来た筈なのだ。


 それでもあの人は「ここまで関わっちまったんだから最後まで責任は持つ」と言って頑なに異世界に残ると言い出した。俺は呆れてため息を吐いてしまったが、それに対しても「また一緒に連もうや」と言って笑い飛ばして来たのだ。



 頑固過ぎて逆に先輩らしいとも言える訳で。



 それでも俺は少しだけ嬉しくて顔が綻んでしまった。そんな俺を見て他の三人は再び愚痴を叩きつけてくるのだ。



「コイツ、人の金を巻き上げといてニヤニヤしてやがる……、最悪だ」

「リア充は死んでまれ」

「カワズニーちゅわんと毎晩お盛んやな?」



 うるせえな。


 俺がそんな事はないと反論すると、今後は祐輔がヤンキーの如くメンチを切りながら俺に盛大に文句をぶつけて来るのだ。



「カワズニーがお盛ん過ぎて搾り取られた気分になるよ……」

「なんやと!? テメエ、可愛い女の子とのイチャイチャのどこに不満があんねや!!」

「……一日五十発」

「ああ!?」

「……一日五十発もヤラされたら持たねえよ、俺はライオンか何かですか?」

「ま、松井秀喜級やな」

「バレティン級だね……、カワズニーが子供だけで野球チーム作るとか言い出して困ってるんですけど?」



 俺がゲンナリしながら項垂れると他の三人は「げえ……」と言いながらドン引きした様子を見せてきた。そうなのです、カワズニーが毎晩のようにベッドで俺の精力を吸い取ってくるから俺は逆に死にそうなのです。



 するとその元凶がなんの前触れもなく俺の前に姿を現すのだ。カワズニーはノックもせずに部屋のドアを開けて乱入して来たのだ。



「和良ーーーーーーー!! 男どもと遊んでないで私とヤルことをヤルだわさ!!」



 そしてなんの断りもなしに俺の襟を掴んで寝室へ直行しようとする。俺は死んだ魚の如くズルズルと引き摺られて他の三人に手を振って別れを告げた。



 すると「お、お大事にー」と三人は俺に言葉を返す。



 こうして俺は異世界でカワズニーと共にせっせと家族計画を進める羽目になり、気が付けば二十男十七女の計三十九人家族を作り上げることとなった。



 カワズニーは本当に家族だけで異世界に野球チームを作り上げて、ジャパポネーゼで最初のプロ野球チームの初代オーナーに就任してしまった。


 俺はと言えば、そのチームの初代監督に着任して、これまたジャパポネーゼ初のプロ野球優勝監督として胴上げをされることとなりました。



 俺はこの国で錦を上げて母ちゃんを呼び寄せることにも成功し、最終的に万々歳の人生を謳歌することが出来ました。



 そだがそれも隣にいるカワズニーがソッと背を押してくれたからだと自覚はある。だから俺は今度はこの人に恩を返そうと必死になって頑張ると決意することが出来た。


 これが俺の異世界に転移した物語の全てである。




 最後に何か言うことがあるとすれば、異世界転移も悪くない、と言うことだ。転移の先にどんな困難が待ち受けているか分からない。だけど、それでも大切な人とのの出会いが待っているかも知れないのだから。


 まずは己の未来を信じてみては如何でしょうか?

 お疲れ様でした。


 本作品の最終話までお読みくださって本当に感謝です。この物語は野球スキルで戦うバトルものを描きたいと考えて、スタートからフィニッシュまでまとめてから書き始めたので、本当にここで終了となります。


 お気に召せばブクマや評価などして頂ければ今度の作品の執筆の糧になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


 他にも「とんでもガール・鯖井晴ちゃんの無人島失恋生活 with 愛猫=豪華客船が沈没して漂流した無人島の生態系がジュラってました=」と言う作品を連載していますので、宜しかったらそちらもお楽しみ頂ければ至福です。


 どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

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