結婚とは妥協なのか?(3)
19:45、銀座。
天馬は、諒の妻の同僚が企画していた合コンに参加していた。
5:5でみんな初対面。そこそこのルックスとそこそこの会社に努めていること。
あとから聞いたのだが、それが参加の条件だったらしい。
あっという間に自己紹介は終わり、過度に盛り上がりすぎることもなく、合コンは進んでいった。
参加者の全員が違う職種だったこともあり、仕事の話題もなかなか広がらず、決して盛り上がったとは言えなかった。1時間もすると帰宅したりする人も出てきて、自分はもう27歳なんだと気付かされた。
人生はもう無駄にできない。
仕事もしなきゃいけないし、結婚相手も見つけなきゃいけない。
そう思うと、好きな人ができないなんて生意気を言っていた自分が、同世代の人間よりも相当遅れている気がしてきた。
トイレから戻ると、そろそろお開きにしましょっか。
そう言って、一人3500円を徴収すると同時に、そこにいたメンバーで連絡先を交換し始めた。
特別可愛い女の子がいたわけでもなかったのだけど、逆に言えば合わなそうと思う人もいなかったので、
とりあえず全員と連絡先を交換した。
この感じ、ここからカップルは生まれないだろうな…という雰囲気を悟って、ますます好きな人を作る難しさを体感した。そもそも自分が好意を持つ人がいた上で、相手も自分に好意を持っていなければならない。
その上で、一生一緒にいたいと思えるような何かがなければならない。
そう考えると、妥協なしでは一生結婚できないのかもしれないと思うようになっていた。
とりあえず久々に、恋愛してみるか。
3年ほど彼女すらいなかった天馬は、帰り道にマッチングアプリに登録していた。