53犠打目
いよいよ決勝戦当日。神奈川の高校野球ファンは星港と相撲大の東西横綱対決を期待してたが、どっちが勝っても初出場のフレッシュ対決も興味深いのか、横浜スタジアムは例年通りの超満員である、平日昼間から。
注目の先発投手は……SS学園が興梠、ここまで1イニングしか投げてない7番手投手である。一方注目の津浜は……。
「ありゃりゃ……」
ステイホームのテレビ中継で熱戦を見守る小山元星港監督、現SS学園臨時コーチは驚きの先発に開いた口が塞がらない。
「弓岡のはずだろ……弓岡は秘密兵器か? 抑えで出てくるのか……」
間違った情報を新しい雇い先に伝えてしまった小山はのっけからバツが悪い。
「弓岡出てこないと困るぞ………SSに弓岡対策で無駄な時間を取らせてしまってこれで負けたら……。オレが盗撮した粗い画像のスマホ動画を皆で目を皿にして見たのかと思うと……再就職先早々またクビだけはご勘弁を……」
津浜の先発はある意味妥当すぎる背番号1河野であった。
近藤は一年生で無理はできないし、大久保は肘痛を抱えていて、島中白縞は試合をぶち壊すだけとなれば準決勝で4打者4与四球でも河野しか選択肢はない。
1番セカンド今宮
2番ショート平野
3番ファースト島中 ※左打ち
4番サード白縞
5番キャッチャー弓岡
6番センター山本 ※左打ち
7番レフト緒方
8番ピッチャー河野
9番ライト大久保
その他主な控え
荒木 控え内野手
高梨 控え内野手
小前 控え捕手
近藤 控え投手
スタメンは毎度お馴染みである。
しかし、誰が投げるのか揉めたのも事実だ。最後の夏絶対勝ちたい白縞は近藤の連投を主張し、ここまで来たら大満足な川相は最後は背番号1に試合を託すと譲らなかった。
いつもなら白縞が論破する展開だが、どういうわけか今日は川相が勝ってしまった。
「いいすんかあ、僕でえ……キャプテン」
河野は決勝戦の緊張もなくただいつもどおり気だるい。
「いいんだよ、僕もほんとは河野が適役だと思ってたんだ……」
「近藤推したんじゃないんすか?」
「監督に決勝戦くらい気分よく采配奮って欲しかったんだよ……だからわざと論破された」
「僕推しの理由はなんかあるんすかあ……?」
「投げればわかるよ、うん」
「そうっすか……はあ……白縞キャプテンがそういうならなんとなく抑えられるような気がしてきたっす……」
いよいよプレーボール、先攻は津浜だ。
マウンドにあがる河野の投球練習にSSナインは、困惑しきり。
「キャッチャーが先発じゃなかったのか」
「テイクバックがないいわゆる捕手投げにタイミングを合わせて打撃練習したのに」
「なんだあの背番号1、ゆったり大きなモーションじゃん」
「誰やろうな、弓岡が投げるいうたのは」
「小山らしいぜ……元星港の……うちでコーチやる手土産らしいぜ」
「これで負けたらマジ疫病神やな……あのおっさん」
SS打線は予習とまるで違う河野の投手らしいモーションに微妙にタイミングを狂わされて1,2番連続で高速凡退。そして唯一無二のハイレベルスター山中の打席だ。
「これが決勝で投げる投手かいな……ホームラン打って当たり前やな……それ以前にオレと勝負してくれるかなあ……どうやろうな……最近みんな逃げるからな……」
ここまで打率6割で3本塁打、準決勝など4つのフォアボールで打数は1しかなかった。
「その1打数でホームランやから、ほんまスターやなオレって」
津浜キャッチャー弓岡は外に構える。横目でちらりと確認した山中は、
「やっぱ津浜さんも逃げか……スターはつらいで……」
そろそろ飽きたから決勝戦で終わってほしいか
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あんま人気ないからカクヨム?にでも移籍するか……
向こうでも人気でないだろうけど……




