13犠打目
川野高校マネージャー宮田莉乃。肩書はマネージャーだが実際GMとしての権限を持ち、監督より発言力のある立場を誇る。
分析能力も超一流でここまでの勝ち上がりも相手に合わせた彼女の適切な指示があってこそだった。
その宮田が津浜の中継映像をありったけ集めて検証した結果が以下の通り。
「バントはシフトでどうにもでも対処できる。例えばこのスーパー1年生平野はバントも普通に打っての打球も飛んでる方向が偏っている。ここに守備を配置すれば全部アウト、そして3番のポイントゲッター島中はどうやら緩いボールに弱い。緩いボールだと率先的にバントしてくるが、そもそも下手だから冷静に対処すれば大やけどにはならない。で4番がホームランこそ打ってるがかなりのぼんくら、困ったらこの4番で勝負できる」
続いて投手陣の解析。
「河野はたいしたことない、そのへんによくいる投手で島中と白縞は問題外……敵となるのは大久保だけど、ストレート、カーブとシュートのみと投球にレパートリーがないしスタミナ不足、粘り強く対応すれば2廻り目で打ち崩せる……なんだ楽勝じゃないの……ウフフフ」
川野は前述通り宮田の独裁でナインや監督の間にも鬱憤がたまり込んでいる。
たとえ前の試合で猛打賞の選手でも次の対戦相手との相性が悪いと宮田が判断すれば、控えに置かれることもあるほどだ。
それでも勝ってるうちは文句もいえない。
津浜相手の試合でもスタメンは前と大きく変わる。
「え、宮田くん、これがスタメン!?」
スタメン表を渡され思わず目を白黒させる川野の監督。
「文句ありますか?」
「ないです……」
「そして昨日ミーティングで叩き込んだバントシフト忠実に守ってくださいよ。守れば絶対に勝ちますからね」
一方の津浜ナインは厄介な敵が背後にいるとは知らずに今日も勝ったも同然モードでいる。
「よく漫画で進学校相手だとかだとデータ解析抜群のメガネマネージャーみたいなのいるじゃん、島中」
「ああいるいるな白縞……で最初はそのメガネの思うがままなんだけど、そのうちに主人公側がデータを越える野球とかやってさ勝っちゃうのがお決まりのパターン」
「今回は進学校相手だけどデータに長けた陰湿メガネマネージャーとかベンチにいないし、こりゃ楽勝だな」
「でも女子マネージャーはいるな、しかもかなりかわいいメガネっ子……」
「あほんとだ……あの子が意外とデータキャラだったりして」
「なわけえじゃん、あんな清楚系で純朴そうなのにさ」
「でも監督に上から目線で指図しだしたぞ」
「気のせいだろ」
「あ、選手に説教はじめた」
「気のせいだろ」
「グラウンドに乗り出して守備練習するナインに事細かく守る位置を出してるぞ」
「気のせいだろ……!!? ああれはバント対応シフトだぞ……どう見てもさ……」
「しかもマネージャーの出した指の数でガラリと守備位置が変更される……」
「6……おそらく背番号6の平野用だろ……まずいな……あの守備位置を取られると非常にやばい……平野は業師だがあそこにしか転がせないし飛ばせないんだよ……まだまだ体の方が発展途上で、業師に体がついていかないからどうしても偏ってしまう」
「やっぱいたなデータキャラ……しかもとびっきりの清楚系で……」




