4.サバイバルの始まり?①
「まずは、寝床の確保っと。」
こんな所で十分な睡眠が取れるとは全く思わないが、なにせ、今までベッドや布団で睡眠を取っていた身なのだ。
俺は地面で寝るのにものすごい嫌悪感を抱いたので、寝床を作ることを決めた。
こんなを想定していたわけでは全くなく、普段授業の予習用や、クイズの知識をつけるためのさまざまな知識本が今すごく役に立つだろうという思いを秘めていた。
なるほど……まずは丸太、蔓、布が必要なのか。
材料から、簡易テントを作るのであろうことは容易に想像できた。
とりあえず、これらがなくても地面から離れた場所で寝ることが重要らしい。
いやいや、この本の想定どんなジャングルにいる前提なんだよ。
そもそも普通の場所に蔓なんか生えていることなんかないだろう。
見た感じだったら、生えている草とかも完全に公園とかの雑草ではなく、今にも動き出しそうなうねうねとしたものだから、それに触ることすら俺には荷が重かった。
ましてや、丸太なんて物理的に難しいだろう。
蹴りだけでそこら辺の木を倒せる訳でもないしな。
しばらくの間、何か使えるものがないかと辺りを見渡したり、周辺を歩いてみたりしたが、
「見事なまでに、何も使えそうなものはないな。」
倒れている木の一、二本くらいあってもおかしくないと思ったんだが、それすらなかったのだ。
「せめて、二本くらいあればよかったのにな。」
そう言ってから、あることに俺は気づいた。
別にわざわざ、丸太でなくてもいいんじゃないのかと。
木の皮でも別にいいんじゃないかと。
そう思い、たしか筆箱の中にカッターナイフとハサミが入っていたことを思い出した。
こんなもので木の皮を切ってしまったら、環境保護活動をしている人たちに怒られるだろうが、俺もこんな森の中で放り出されているから
「今だけは許してください、お願いしますっーーーーーっ!」
つい、ジャンピング土下座をいつもの勢いでやってしまった。
誰もいないのにジャンピング土下座をしている奴は完全にヤバい奴だ。
今なんか後ろから視線を感じたんだが。
そう思い、振り返ってみると、小包が置かれていた。
全くもって、人の気配を感じなかったが、今までなかったものが置かれていたことで、土下座したことを見られたと気づいた俺は、
「誰に見られたのか全く分からないけど、なんの羞恥プレイだよ、これはっ!」
自分が勝手にやったことを見られたことに俺は顔を赤くして、思いっきり叫んでいた。