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17.提案

 動揺を隠しきれていない長老ではあったが、少しおさまってきたようで、


「まっ、まあ気を取り直して話をしよう。私はこの村で長老をしているローリエだよ。私がリアに言って、君を連れてきてもらったのには理由があるんだけど、それはリアから聞いているかな?」

「怪しい光る物体を持っている人を連れてこいって、言われたんですけど……」


 彼は小さく首肯して、

「うん。そうだね。それももちろん一つの理由だ。大樹の導きによって告げられた未来予知が、発展をもたらす者が近隣を訪れるということだったんでね。さらにその者は今のこの世界にはない技術を持っているというじゃないか。もし君が僕の立場ならどうするかい?」



 そこで一旦言葉を区切ったローリエは俺の方をじっと見ていた。何か得体の知れない怖さを俺はローリエの態度から感じ取っていた。


「無理やり捕まえて、知識を吐き出させるとかですか」

「はははっ!君はいくらか悲観的すぎやしないかい?そんなことをするなら私は今君にお茶なんて出してるはずないだろう?」

「いやぁ、悲観的になってしまうような人生を送ってきてしまったもので……」



 おっと、愚痴っぽくなってしまったけど、印象を悪くしていないだろうか。


「それは何か大変なことがあったんだろうね。月並みの言葉で申し訳ないけれども。でも、これからは僕たちエルフが君の情報を対価に君が一人で暮らせるようになるまで万全のサポートをさせて貰おう!」



 その言葉には救われるが、どうして初めて会った俺のような人間にそこまでしてくれるのだろうか。


「どうして、そんなことをしてくれるんだ?」

「君が言ったようなことは僕たちエルフはしない。基本的にはのんびり平和に暮らしていきたいと思っているからね。争いを避けるために取引も対等にするようになったんだ。そんな考え方の僕らだからこそ、自分たちにとって利益を与える存在は優遇するようにしているんだ。そう、僕は君が有益な存在だと見込んでいるから、こんな風に言うんだよ。もし君自身が自分が示せる利益がないというのなら、この話を蹴ってもらっても構わない。どうだろうか?」



 そう長々と熱弁したローリエは俺のことを期待に満ちた眼差しで見つめてきていた。もちろん、俺はこの提案を受けることに決めた。俺の頭の中に入っていなくても、スマホの中にはいろんな知識本があるから、いろんなことを伝えることが出来るだろう。


「もちろん、喜んで受けさせてください」

「ありがとう。じゃあ、詳細を詰めていこうか。もちろんもう一つの理由や、詳しいサポートについても話させてもらうよ」



 この判断が異世界での成功に繋がればいいんだけど……。


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