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12.イーリアの実力

 さっき、イーリアにからかわれた俺は気を取り直して、森の中を進もうとしていたが、


「グルルルルっーーーー」



 こんな獣の唸り声が聞こえてくれば、足が止まってしまうのも仕方がないと言ったものだろう。


「なぁ、イーリア。なんか変な声が聞こえるんだけど、何か分かる?」


 こう尋ねてみたが、彼女は首を(かし)げて、


「そんな声なんて聞こえる?あなたの聞き間違いじゃないの?」


 だが、俺の耳には確かに唸り声のような声が聞こえたのだ。


 さっきまで辺りを見ようときょろきょろ首を動かしていた自分だったが、ふとイーリアの方を見ると、彼女の背後に目を赤く光らせた影があった。


「ちょっ、イーリア、後ろ、後ろ!」


「へっ?後ろ?」


そう言い、後ろを見た彼女は信じられないものを見たといった顔で、


「えっ、ちょ、待って?」


と言ったが、獣がそんな言葉を理解するはずもなく……勢いよくイーリアにその爪を振り下ろした。


 俺はその後に広がるであろう惨状を想像して思わず目を閉じた。


 そして数秒間、静寂が森の中を支配していたので、俺が想像したような光景には至らなかったのだろうと思い、目を開く。すると、獣の爪はイーリアの寸前で押し留められていた。


「獣風情がエルフの長老の孫娘である私に傷をつけるなんて出来るはずがないでしょう。

傷つけようとしただけで万死に値するわ。死になさい。ウィンドシャウト!!」


 彼女が最後の言葉を唱えた瞬間、獣の首が宙を舞った。これには俺も呆然とするしかなかった。


「え?今、何があったんだ?」


 獣を一蹴して、返り血を大量に浴び、不気味な様相になっているイーリアにそう尋ねると、


「これが魔法よ。今のを見ても何もわからないでしょう。だから、習得はすぐできるという訳にはいかないのよ」


自慢げにそう言った。


「さあ、もうすぐ私たちの集落よ。急いで行きましょうか。しっかり捕まってなさい」


 そして、俺のことを抱き寄せて、


「オーバーアクセル!!」


その瞬間、イーリアは急加速を始めたのだった。


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