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保護者同伴迷宮探索

 



 完全武装なのにメイドさん、というのは、彼女のメイド服は胸や腹部、太ももといった急所を板金で補強してあったり、どうやら裏地に金属片が縫い込まれていて、板金鎧プレートアーマー薄片鎧ラメラーアーマーの合いの子のような戦闘用のメイド服だったからだ……って、戦闘用のメイド服ってなに?

 左右の腰には強い魔力を帯びた小剣ショートソードを一本ずつ帯びていて、投擲用兼非常用と思われる短剣ダガーも数本小剣と一緒に吊るされていた。どうやらスピードを武器に戦うタイプみたいだ。

 高速で動くことを想定してか濃紺の髪は短く切られていて、ぱっちり大きな目と合わさってボーイッシュな印象を受ける。



「お兄ちゃん、この子はルリア、うちの戦闘メイドさんです」

「ルリアであります!」

「この子を連れて、この部屋にある装備一式もちゃんと持ってくなら迷宮にいってもいいですっ! これでもこの子はそこらのゴールドやプラチナの冒険者なんか目じゃないくらいの強さはあるから、お兄ちゃんの護衛を任せられるよ」

「お任せあれであります!」

 過剰すぎない……?

「ルリア……信じてお兄ちゃんを任せるけど、大丈夫だよね……?」

「ひっ……お、お任せあれであります! い、命に代えても兄君をお守りするであります!」

「えぇ……」

 パリパリと氷の魔力を垂れ流すエリザに脅かされ震え上がるルリアさん。ホントに大丈夫?


「命に代えなきゃいけない場面がこないことを祈るよ……」

 何がどうなったらプラチナ級以上の護衛同伴でクズ魔石集めしてそんなピンチにならなきゃいけないの。




「いやぁ、こういう浅い部分の探索は久し振りなので気楽で楽しいでありますな!あ、勿論油断などは一切ないでありますが!」

 コボルトやら土小鬼ゴブリンやらの下級の魔物を虫でも払うかのようにサクサク殺っていくルリアさんと、そいつらの魔石を拾う僕。ルリアさんが細腕とショートソードでコボルトやゴブリンをこん棒や鉄兜ごと真っ二つにしてるのは気にしないことにした。

 なんとなく察してたけど、これ僕いなくてもいいよね? 折角迷宮まで来てるのに、ヒモ感払拭できてなくない?


「時にケイン様、これから長い付き合いになりますし、ここはひとつ、ワタクシの気になること何でも聞いてみてほしいであります。スリーサイズは内緒でありますが」

 突然ルリアさんが変なことを言い出した。

「今後ワタクシが護衛させていただくわけですが、気心をも知れぬものに命を預けるのも不安でありましょう」

「確かに一理なくはないけど、何でも聞いてって言われてもそもそもさっき初対面したところだしなぁ……」

 強引だな、この人。


「じゃあ……エリザからの指示とは言え今日初めて会った僕の護衛なんて嫌じゃないですか?」

「アハハ、またまたご冗談を。エリザ様があれほど待ち望んでいらした兄君の護衛を任されるなんて、これほどの栄誉はないでありますよ。それに昨日からのエリザ様の、あんなお幸せそうな顔、初めて見たであります」

 少し遠い目をするルリアさん。


「エリザ様はあれほどお可愛らしくお美しいのにいつも氷の彫刻みたいなお顔ばかりで、ほとんど笑わない方でした。ケイン様とお会いしてからの姿が本来のあの方のお姿かと思うと長くお仕えしてきた者として悔しいものがないと言えば嘘になりますが、ケイン様には感謝しているであります。エリザ様のご命令関係なく護衛するに否やはないでありますよ」

 エリザ愛されてるなぁ。さっきめちゃくちゃ恫喝してたのに……。


 そんなふうにいろいろなことを話しながら迷宮の入り口付近比較的安全な地帯を探索して、魔石が背嚢に一杯になったところで屋敷に戻ることにした。

 話してる間も魔物はルリアさんにサクサク殺られてた。ちなみに僕は迷宮から出るまで一度も剣を振らなかった。僕ほんと何しに来たんだ?




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