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年頃の兄妹は一緒にお風呂に入りません




 エリザ様が前世の兄君であるケイン様と住み始めてから一週間が経ち、ワタクシ——ルリアめはエリザ様のお変わりようにいたく感動していました。というのも、今まではやれ氷の女王だの人形より感情がないだの氷の方が温かみがあるだの言われていたエリザ様が年頃の少女らしく感情を表に出されるようになったからであります。兄君との同居開始以来、ただでさえ並ぶもののなかった戦闘能力も跳ね上がり、公私ともに完璧となりました。

 このままエリザ様とケイン様がずっとご一緒に居られることを願ってやまないのであります。


「エリザ様、ワタクシは感動したであります」

「……なにが?」

 ケイン様とお話ししている時とは違う氷のようなエリザ様もやっぱりいいでありますな……じゃなくて。

「ケイン様とのご関係の話であります。ケイン様には前世の記憶がないにも関わらず兄君との信頼関係はもう磐石ではありませんか。さすがご兄妹、ケイン様にご記憶はなくても兄妹愛は失われないのでありますなぁ」

「……当然」

 口元を手で隠してぶっきらぼうにお答えになりましたがこれ頬が緩んでいるのを隠していらっしゃるのが一目瞭然で可愛すぎる……。


「お風呂やベッドを共にされるとお聞きした時は不敬ながらも少しだけ心配してしまったのも必要なかったでありますな」

「……心配?」

「前世や魂のことは分かりかねますが、それはともかく現在血は繋がっていないでありますし、ケイン様に記憶もありません。エリザ様のような美少女が年頃の男性とそれらをご一緒されるのは余程の信頼がなければできないことでありますし、ケイン様側もきちんと理性と兄妹愛で……」

「えっ……!?」

 エリザ様のお顔がぼんっ、と音が聞こえそうなくらいの勢いで真っ赤になった。まさか……。


「エリザ様……まさかその辺のお考えはまるでなかったのでありますか……?」

「……だだだだってお兄ちゃんはお兄ちゃんで……私がちっちゃい頃からお風呂もお布団も一緒で……えぇっ!?」

 ケイン様がいらっしゃらないのにお兄ちゃんっ子モードになられたのはこの数日で初めて見たであります。


「もしかしてお兄ちゃんがお風呂でこっちをチラチラ見たり見なかったりしてたのってその……え……えっちな……」

「まぁそりゃそうだと思うでありますよ……」

「照れてるだけかと思ってた……」

 エリザ様、控えめに言っておっぱいがでっかいし健全な若い男性であるケイン様に見ないのは無理だと思うであります。

 はわわわ、と真っ赤になって恥ずかしそうに俯いたり慌てたりしてるのがホントに可愛いでありますな……。ケイン様が独り占めしてるのが許せなくなってきそうであります。


「まぁ考えようによってはえっちな目でも良いと思うでありますよ。もし既成事実が出来たらケイン様の性格上それはもう今まで以上にエリザ様を可愛がるでしょうし、ご結婚されればおそらくらもう万が一にも離れることもなくなりますし」

「きっ……既成事ッ……け、結婚ッ!?」

 顔どころか全身真っ赤になってるでありますな。

「お兄ちゃんと……結婚……私が……お兄ちゃんのお嫁さ……お嫁さん……ハワイのチャペルで……真っ白なウェディングドレス……えへへ……私たち幸せに…………お風呂にするご飯にするそれともわ・た・し……――――はっ!?」


 意識がどこかに飛んでいたエリザ様が帰ってきたのを確認して、話を続けます。

「エリザ様、ケイン様以上に好きになれる男性が今後できると思いますか?」

「絶ッ対思わない」

「エリザ様、それは分かって聞いてるので急にお兄ちゃん子モードから剣姫モードにならないで欲しいであります。怖いであります」

 ピシッて空気が凍る音が聞こえたであります……。

「ごめん……」

「でもそれだとエリザ様は生涯独身……ですが、ケイン様とエリザ様は今世では血縁上は赤の他人。エルフと人間の異種族なので多少目立ちはするでしょうが法律上はご結婚可能であります。しかもケイン様が気にされているヒモ問題も、配偶者となると話は変わってきます。専業主夫なんて今どき珍しくもないでありますからね。一石二鳥であります」

「な、なるほど……」

「なのでもうこれは既成事実、とは言わないまでも、ガンガン攻めていくであります!」

 ケイン様にお兄ちゃんとして甘やかしてあげてなんて言ってしまいましたが、前言撤回。ワタクシはどんな時でもエリザ様の味方、申し訳ないであります、と心の中で舌を出して、ワタクシはケイン様のことを忘れました。


「ではとりあえず今後のご方針と作戦をお決めください! 不肖のワタクシめ全力でサポートさせていただきます!」



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