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手紙のこと  作者: ひろゆき


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 二  悩  ~ ピエロは笑う ~ (3)

 ピエロ、お前はなんで笑えるんだ?

 ため息とともに、気力さえも抜けてしまい、一気に疲労感に襲われてしまう。

 このまま自分の未熟さに押し潰されそうになり、通路奥の売店に向かった。

 つい、喉仏を手でさすってしまう。ここまで走っていたので、喉も乾燥して、口内が干からびそうになっていた。舌を回してみるが、一向に潤ってくれない。

 早く炭酸か何かで口内を水分で溺れさせたかった。

 院内のみならず売店には、大手コンビニが出店しており、飲料水も豊富に揃っていた。

 司はレモン味の炭酸水を手にし、レジへと並んだ。レジには入院患者と思える、白と水色のストライプのパジャマを着た、小学生ぐらいの男の子と、母親らしき女性が、レジで精算していた。

 懐かしいな、とふと思ってしまう。司も小学生のころ、腕を骨折して入院したことがあり、どこか懐かしく、入院生活の退屈さも身に沁みて知っていたので、どこか男の子に同情してしまう。

 完治しているのに、つい骨折した左腕の肘をさすっていた。

 機嫌が悪いのか、唇を噛んでふて腐れている男の子の顔を見ていると、ふと、奥のカウンターの、さらに奥の壁に視線が移った。

 レジを打つ店員の後ろに、何かのポスターが貼られている。ぼやけて見難く、眉間にシワを寄せていると、前の親子の精算が済み、司の順番が回ってきた。

 ピエロ。

 胸の奥がざわめき、体を締めつける。


 ピエロがやってくる!


 赤い文字で大きく印字され、三つの風船を持って、大の字に飛び跳ねる赤鼻のピエロの絵が中央に描かれていた。

 炭酸水のお金を払いながら、何度も瞬きを繰り返して内容を確認する。

「ありがとうごさいました」

 お釣りを貰う間際、もう一度ポスターを確認してからレジを離れた。多少後ろ髪を引かれる思いであったが、そのままコンビニをあとにした。

 帰り際、先ほどは気づかなかったが、受付ロビーへと続く通路にも、そのポスターは貼られていた。

 ポスターは保険の説明などが貼られた掲示板にもあった。イベントの告知だった。

 今度の金曜日。三階にある小児科病棟の休憩室にピエロが訪れ、イベントを行うというものだった。

 おそらく、退屈をもてあそび、不安を抱えている子供を励ますためのイベントなんだろうと、ピエロを眺めていると伝わった。

 金曜の昼。学校、だよな……。

 興味なんてないはずなのに、日時をつい確認して、完全に無理な時間帯に口角を引きつらせた。

 何、残念がってるんだよ、僕の目的は……。

 心のどこかに忘れていたはずなのに、気持ちがよみがえっていた。

 瑠香を捜しているはずなのに。

 笑顔を見せられる。それって羨ましい。

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