15.利園交易会社
「き、鬼島リーダー!」
テーブルに近寄り、まず鬼島に敬礼をする。
「ん? ああ、卵未に浮絵か。昨日はお疲れさま」
「ありがとうございます! そ、それと…エリカ、さん?」
恐る恐るエリカの方を見る。隣の椅子には、真っ黒なコートが掛けてあり、恐らくそれで朝でもある程度の活動をしているのだろうと思った。
だが、コートを使ってまでも来ている本人は、あまりにも虫の息の有様だった。
目の前に盛られた料理から、レバー炒めを取っては、もしゃもしゃと味わってるかも分かんない感じに食べている。出来の悪いレバー食事マシーンだ。
「おー?あー、うみぃかぁ……」
「え、今私の名前呼んだんです? それとも、料理美味しいって言ったんです……?」
「名前ぇ……」
といって、エリカはテーブルに頭を突っ伏し倒れた。料理は、鬼島リーダーが倒れる直前にそっと引き、エリカが料理の海にダイブはしなかった。
「彼女には、昨日の事件のあらましを聞いていたところだ。多分に気になる部分があったからね」
「それで寝る前の食事をストップさせてたんですか……」
「卵未くんも食事をしながら質問をしたい」
「!了解です……」
ごくり唾を呑む。そして、おそるおそるエリカの隣に席をついた。
「さて、簡単な報告では。ドッペルゲンガーによる集団誘拐事件。奇妙にも徒党を成し、成り代わりではなく生気を奪っていた、ということだったかな」
「そうです。 彼らは、一対一で成り代わる事を目指すものだと思っていましたが」
「その通り。ドッペルゲンガーの性質としては異常だな」
鬼島リーダーは顎に指を当て、少し思案をする。そして、何かを探るようにして卵未を見た。
「それで、エリカ君は見てないそうだが……残存した者を、主犯格らしき人物が看取っていたそうだな?」
「!はい。白髪の二十代ぐらいの若者でした」
卵未は昨日の事を思い返す。山中に入りこんだドッペルゲンガーが抱きかかえられていた相手。スーツ姿の若々しい青年だ。
「白髪の二十代ね……たしかにそうだったのだな?」
「ええ。月明かりも出てましたし、見間違わないかと……」
「ふぅむ……」
鬼島リーダーは眉を潜め思案する…。
「もしかしたらなのだが……。浮絵、この間の書類を」
「はい、こちらですね」
と言って、隣に居た浮絵が懐から一束の書類を取り出した。
「こちら。現在怪しい動きをしている疑惑のある社長さんです」
「えっ!」
卵未は言われるがまま、書類のトップを見る。
そこには、先日の夜森の中でドッペルゲンガーを看取っていた、白髪のスーツの男性が写っていた。
「……間違いありません。この人です!でも、なんで浮絵さんが?」
「私、受付嬢だけが仕事じゃないんですよ」
浮絵は、そう言ってにこっと微笑んだ。受付嬢よりも、秘書なんじゃないだろうか。
「彼の名前は、利園校正。ここ数年で急激に成長をした、利園交易会社の社長だ」
鬼島は、そう言って写真を指した。




