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ハーピーは街道に似合わない  作者: 斉木明天
第二章:利園貿易会社
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13.一夜明けの本部

ドッペルゲンガーによる誘拐事件から一夜が経った。卵未はエリカの自室の前に居る。

「エリカさーん。朝ですよー」

何気なく扉を足爪で叩く。だが、室内から返事は帰ってこない。

「まだ寝てるのかな…えーと、どう開けるかなぁ…って、あ」

中に入る方法を模索したところで、エリカは吸血鬼だったことを思い出した。

吸血鬼は夜行型だ。こんな時間に起きてるはずが無い。

「そっかー……仕方ない、一人で食事するか……」

渋々、エリカの部屋の前を後にし、下階の方にある、食堂室へと向かった。


昨夜の本人スパム事件は、被害者たちを一通り並べた後、痕跡回収班に連絡を寄越した。

特定の作法を用い、呪術を介した連絡を通してやってくる彼らは、魑魅境の中でも特に不気味な雰囲気を纏う連中だった。

連絡を終えてから一分にも満たない内に、自分らの真横からすぅっと何ごとも無かったように現れる。

そして、辺りを簡単に一瞥しては、最低限処理すべき事柄を確認すると、黙々と作業に移りだした。

彼らの見た目は分厚い真っ黒な装束で覆われている。その下に、いったいどんな顔があるのかは確認したこともない。それどころか、本当に生きている存在なのかもわからなかった。

鬼島リーダーは、彼らの素顔がどんななのか知っているのだろうか?だが、痕跡を消す彼らの跡を探そうものなら、いったいなにが降りかかるかも分からず、余計な詮索も踏み出せなかった。

エリカ曰く、犠牲者たちはどのぐらい覚えているか確認した後、それぞれ気絶した状態で発見されたという形で、表社会に帰されるそうだ。

正直、魑魅境らしく人間は元の場所に帰すというやり方はやってくれるのを知って、ほっとする。

「なんか、怖かったよなぁ……今も、背後に居たりしてさぁ……」

廊下の途中で、気持ち半分に後ろを振り返る。

そこには、にっこりとした笑顔の人間の生首が浮かんでいた。

一瞬、意識が飛んだ。

「っきゃあああぁぁぁああ!?」

二日連続で、絶叫を挙げてはねのいた。

「おっはよー!いやー、昨日は頑張ったねぇ」

快活に笑うその生首は、動揺による焦点のブレが収まり見直してみれば、受付嬢の浮絵さんだった。

「びっくりするんでやめてください!それはそれとして、おはようございます!」

「いやぁ、卵未ちゃん、結構油断しやすいねぇ。エリカちゃんにはこうはいかないんだけど」

「ええぇ。私、あの人よりもゆるい、ですか……?」

普段のエリカと比べると、そんなに油断しているというわけではない気がするが……。普段のエリカも、あんな感じで常に気を張ってるんだろうか?

それは一旦置いといて、呼吸を整えて浮絵を見る。

「しかし、いつから居たんですか」

「エリカちゃんの部屋の前に居たあたりから」

「結構最初から居ましたね!?」

「ええ。本当だったら、あのタイミングで驚いてもらうはずだったんだけどねぇ……。ずっと生首で居たのに」

「階段で気づかなくてっ良かった……!」

朝の寝起きに階段でそんなもの見ようものなら、下手すると足を踏み外して大惨事になってたんじゃないだろうか。おっかない。

「ま、それはそれとして。昨日はお疲れさま!二人で大勢の敵を倒したんだって?」

「ええ。その……エリカさんに、とても助けられましたが」

「へぇ……。この後どう?食事でも一緒に行かない?事件の内容教えてよ」

「ええ、いいですよ」

卵未は頷く。そして、全身の姿を映し出した浮絵と一緒に、二人して食堂へと向かった。

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