前書きのようなもの
ディープインパクトが早逝し、キングカメハメハも種牡馬引退してしまい、競馬界から偉大な二頭がいなくなってしまいました。元々ディープインパクトとキングカメハメハを戦わせる話は練り上げていたのですが、その事が切欠で投稿する決意を固めました。何卒宜しくお願いいたします。
かつて競馬界には大王と呼ばれる競走馬と英雄と呼ばれる競走馬がいた。
片や大王と呼ばれるキングカメハメハ。クロフネやタニノギムレットですら片方しか制することが出来なかったNHKマイルC、日本ダービーの変則二冠を史上初めて達成した名馬。後にこの変則二冠を制するのはディープスカイのみで他に制することが出来た馬は2019年現在皆無である。
もう片や英雄と呼ばれるディープインパクト。シンボリルドルフ以来皐月賞、日本ダービー、菊花賞の三冠を無敗で制した名馬。2019年現在、オルフェーヴルが三冠馬となったものの、無敗で三冠馬となった馬はシンボリルドルフとディープインパクトの二頭のみである。
そんな二頭の名馬だが現役期間中戦うことはなかった。キングカメハメハとディープインパクトの歳があまりにも違い過ぎた訳ではない。むしろ歳は一つしか違わず互いに全盛期の状態で戦える可能性があったほどだ。
戦えなかったその理由はキングカメハメハが三歳時に引退してしまったからだ。
キングカメハメハが三歳の時、ディープインパクトは二歳である。国内の公式のレースにおいて歳が違う馬と戦えるようになるのは安田記念、つまり三歳時の6月前後となる。当時二歳のディープインパクトが戦える余地はどこにもなかった。
海外では二歳時に三歳馬や古馬──四歳以上の馬のこと──の混合レース、それもGⅠが一応存在する。しかしそのレースは短距離であり、芝1600mのGⅠ競走であるNHKマイルCを制したキングカメハメハはともかくディープインパクトにはかなり不利な舞台となってしまう。
また遠征の影響により、二頭が万全の状態で戦えないことになる。泥仕合そのものになるのは明らかであり、またその後の反動が大きく彼らの競走馬生命にも関わってくる可能性もある為、二頭がこのレースに出走しないのは極当たり前のことだった。
閑話休題
もしこの二頭の名馬が同期であり日本ダービーの舞台で戦うことになったらどうなっていただろうか。
キングカメハメハが先行で押し切るか、それともディープインパクトが直線で一気に差し切るか。
その行方は作者も含め誰にもわからないが、キングカメハメハあるいはディープインパクトのファンならば誰もが想像したであろう。はたしてどちらが勝つのか、二頭の経歴を探りながら書いていきたい。