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05話 入学試験!恥じらいを捨てろ


「着きました! ここですわ」


「とてつもなくでかいですね⋯⋯」


「ライさん⋯⋯? 何処を見て言っていらっしゃるのですか?」


 表情は笑ってる、けど目が笑ってない気がする⋯⋯こわい


「ご主人⋯⋯!! はっ早くごめんなさいしロ!?」


 バニラが凄く焦っている。どうやらこの表情のセリアはやばいらしい。


「ごめんなさい。つい出来心で」


「ふふ。あ、そうそうライさん? 私にも、もっと砕けた喋り方で大丈夫ですよ?」


「あ⋯⋯そう? それならそうさせてもらうよ。セリアも砕けた感じでいいぞ?」


「いえ、私はこちらの方が楽なのでっ。ささ! さっそく入りましょう!」


 心なしか、セリアはウキウキとしている。


 中に入り、おそらく教師だと思われる人に入学したいという主旨を伝えると、驚いた様子で少し待つように言われた。


 

      "ヴァルキア魔法学園"


 首都ヴァルキア内にある全寮制の魔法学校。


 ユリアンロッドが言っていたように、この世界では男が魔法を扱える事が稀であり、今在籍中の生徒は女子しかいない。


 首都にある学校なだけあって馬鹿でかく、設備も充実している。


 昔は"世界最難度試験"とまでいわれ、その試験を通った者だけが入学できるエリート学校だったのだが、魔王がいない今となってはかなり緩くなり、金と最低限の魔法能力さえあればいつでも入れるらしい。


 少し平和ボケしすぎな気もするが⋯⋯



「え!? じゃあバニラは、セリアの家に金を出してもらったのか!?」


 セリアに学園の事を質問しながら話を聞いていると、とんでもない事実が判明した。


「いやでもナ? 返すってちゃんと約束したゾ?」


「返すって⋯⋯お前金額分かってるのか?」


「この綺麗なのをいっぱいダ!」


 バニラはポケットから袋を出し、その袋の中から1枚の金貨を見せてきた。


「ちょっちょい見せてみ!!」


 中を見てざっと数えてみると、30枚程の金貨が入っていた。


「⋯⋯頑張って一緒に返そうな」


「おお!? ご主人も一緒に集めるカ!?」


「お前1人じゃ絶対無理そうだからな⋯⋯」


 そもそもよく分かってさえいなさそうだ。


「父は気にしなくていいと言っていたので、返さなくても大丈夫だと思いますよ?」


 身なりや喋りから何となく予想はしていたが、セリアの家はどうやらかなりの金持ちらしい。


「いやでも、2年も世話になった上にこれはさすがに⋯⋯。いつになるかは分からないけど、まずは頑張ってみるよ」


 貯めるのは卒業後になるだろうが⋯⋯。そもそも、俺の金免除は本当に通るのか? 試験には受かるのか? バニラの借金をちゃんと返せるか?


 不安になってきた⋯⋯



「こちらへどうぞ」


 などと考えていると、先ほどの女性に声をかけられ、ついて行くと修練場と書かれた部屋に案内された。


「私はノルエ。雷系統の上級魔法の教師です。今回は私が試験監となりました。ではさっそくですが、試験の説明をしますね」


 金髪の長い髪に眼鏡をした、厳しそうな印象を受ける女性が話し出す。


「あっあのすみません! 特待生といいますか⋯⋯お金が免除されるような制度はあったりしますか⋯⋯?」


「あなたにつきましては、試験さえ合格できれば全額免除されます。学園長も期待していると仰っておられました。我が学園に大きくプラスだろうと。なにしろ、10年ぶりの男性の入学希望者ですからね」


 あーなるほど、男の魔法使いは珍しいから注目をあびれるって事か。広告塔になるから本当に魔法を使えるのならば、是非入れと。

 

 まぁ金免除で入れるのだったら、広告塔でも何でもなってやるさ。無一文の俺には、他に行く所も無いしな。


「有り難うございます。頑張ります」


「金ってこれの事だったナ? ⋯⋯バニラのこれやろうカ?」


「それだとお前が入学できなくなるだろ? それに、俺は試験にさえ通ればいいから大丈夫だよ」


「そうカ? でも撫でとケ?」


 わしゃわしゃ━━


「えっと⋯⋯いいかしら? 今回は私が試験監なので、雷系統の魔法をテストします。今からあなた方3人の前に、1つずつ魔法抵抗のある球体を出します。サンダーで1分以内に3発当てれば合格。単純な、制度と速度を確認するテストです。落ち着いてやりさえすれば、そんなに難しいテストではないわ。外しても焦らないようにね」


「あの⋯⋯雷系統であれば、サンダーでなくても構いませんか?」


「いいけど⋯⋯当たるかどうかのテストよ? 基本であるサンダーが1番当てやすいし、速いと思うけど」


「他の技の方が自信があるので」


「⋯⋯ならご自由に」


 ノルエは了承すると、掌を前にかざし俺達の前に1つずつ、拳程の大きさをした緋色の球体を出した。

 

━━よかった⋯⋯。俺はサンダーは使えない。


「はい、壁まで下がってー」


━━あの技名を叫ぶのは、正直かなり恥ずかしいが仕方ない。


「かまえてー」


 バニラ、セリア、そして俺は、掌を前に突き出す。

 

「よおーい」


 ノルエは、ポケットから懐中時計を取り出す。


「⋯⋯」


━━なぜなら俺が使える雷の魔法は、これしかないのだから⋯⋯


「始めっ!!!!」

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