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ドクトル・ジバコがやって来た

 ルドとホスが森の小道を出て、ベリー湖畔の道を走って船着き場にやって来た時には、ショップさんのポンポン船はもう木の桟橋に接岸しようとしていました。


ショップさんが投げた係留用のロープを、ルドが受け取って桟橋の鉄杭に結んでいきます。ルドはお父さんのウェイと一緒によくボートで釣りに行くので、こういうロープの結び方をよく知っているのです。

ホスはそんなルドのきびきびした動きを、後ろからじっと見ていました。


「おっ、ルド坊。ありがとう、助かったよ。」


大柄なショップさんが船尾の係留用ロープを持って降りてきました。

その時、船内からショップさんよりも背が高い髭もじゃの男が、大きなリュックサックを背負って甲板に出て来ました。

急に知らない男が現れたので、ルドとホスは目を丸くして後ずさってしまいました。


「ハハッ、怖がらなくてもいいよ。ドクトル・ジバコさんっていって、この人は村の新しいお医者さんだ。」


「よろしく。」



髭もじゃなので年寄りなのかと思ったのですが、話すといやに若い声でした。


「お医者さん? ホスピ先生は?」


「ホスピ先生は歳をとったから、引退するんだと。ドクトル、この二人はルド・パタバーとホス・リバロだ。十歳のやんちゃ坊主たちだから、すぐに患者としてお目にかかれるかもしれませんね。」


「ショップさん! 僕たちそんなに怪我はしないよ。」


「ホスはそうかもしれんが、ルドはしょっちゅうホスピ先生のところに行ってたからな~。あ、ホスの妹のニコラは食べ過ぎでよく腹を壊すんです。」


ホスの頭をポンポンッと叩きながら話すショップさんの説明に、ドクトル・ジバコは感心していました。


「よくご存知なんですねぇ。」


「野いちご村は五十人ほどしかいないから、みんな親戚みたいなもんなんです。他には湖の向こうのブルーベリー村の連中が患者としてくるぐらいだな。ま、先生、のんびりと仕事をしたらいいですよ。」



ルドとホスは船から荷物を降ろす手伝いをしました。

皆で商品を満載した荷車を囲みながら、桟橋から村の街道に出ていきます。

家が建ち並ぶところに来ると、二人は先を争うように住民の説明をしていきました。


「ドクトル、ここがパタバー家。俺の家だよ!」


「僕んちはこの石の家です。父さんは学校の先生なんです。」


「へぇ~、お向かいか。二人は幼馴染なんだね。」


ドクトル・ジバコが道の両側に建っている対照的な木の家と石の家を見比べていると、向こうから二人のお姉さんたちが帰って来ました。


「こんにちは~、ショップさん。」


「ああ、チェリーとウェンディ。こんにちは。こちらは新しい村のお医者さんだよ。ドクトル・ジバコ、この二人は坊主たちのお姉さんで、チェリー・パタバーとウェンディ・リバロ。このお嬢さんたちは二人とも十三歳だ。午後が村の学校の高学年の授業になっているんですよ。二人とも学校の帰りだろ?」


「ええ、そうです。」


チェリーとウェンディは、ショップさんに応えながらドクトルの方をチラチラ見ていました。

特にチェリーは活発な女の子なので、遠慮なくドクトル・ジバコのもじゃもじゃの髭を眺めています。村には滅多に新参者が来ないので、ドクトルは村の人たちにとって興味の対象になりそうでした。



チェリー・パタバーがこれからドクトルに関わってくるのですが、そんなことはここにいる全員が思ってもみないことでした。

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