私と先生
こんなこと、あるなんて思ってなかった。
そう言ったら心が軽くなった。「運命」って言葉も「必然」って言葉もとても気が楽になるのだ。わかるだろうか。
反実仮想の世界が私の目の前に広がる瞬間、私は「運命」であってこれは「必然」だったんだと思う。それが多分一番納得できるのだ。
人は人に出会う。偶然にも、必然にも。「一期一会」という言葉が示すように、「今日出会った人は二度と会えない」と思って人にあたるべきだと。私はその言葉を正直今まで気にしたことなんて無かった。何故なら、そのような大切な人を知らなかったからだ。それこそ友達は沢山いる。大切な家族もいる。私の周りには確かに人で溢れているのだけど、私には確実に何かが足りなかった。その「何か」を今見つけたのだ。
高校2年生の私は今日中間テストだ。ジメジメと梅雨らしいしつこい暑さにウンザリしてる。それに
なんと言ってもテスト…これは本当に辛い時期と言っても過言ではない。しかも今日はよりによって、私の苦手な古文が含まれている。あぁ、もうなんで今日になって古文なの?そもそも中学から何年か古文をやってはきたものの、分かるわけがない。本当に何のために…。そう思っていても、足は学校へと着々と進んでいた。
「もしアナタが運命の出会いをするのなら、突然知らない人に出会うことが運命の出会いなのでしょうか?」
古文のテスト中だ。周りからカリカリと音が鳴っている中、私はなかなか集中出来なかった。
ガラガラ!
と音を立てて入ってきたのは古文の先生。
「おはようございます」
と静かに挨拶。
集中出来なかった私はそんな静かな音さえ大きく聞こえて、仕方がないから集中できるまで、少し先生を眺めた。
(バチッ)
まるで閃光が走るかのように互いの目が合った。