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序 どうせならでっかいことを

どうせならでっかいことをやろうと思い立った今、俺は45階に来た。

45階。なんていい響きなんだろう。

我が家は昔ながらの2階建て。来る日も来る日も空を眺めては街を見下ろす想像をしていた。

45階から見る景色はさぞ素晴らしいのだろうなと子どもの頃から思いふけっていた。

街はおもちゃに見えるのかなとか、道路はどうやって繋がっているのかとか、星は少しでま大きく見えるのかなとか、人はやっぱりゴミの様に見えるのかなとか。

いつもワクワクしながら空を見ていた。


そんな俺がついに45階にやって来た。

はやる気持ちはもう抑えられない。

この街で最も高いこのビル。

これより上はないのだ。

思いこがれた最上階。俺は屋上に出るための扉に手をかけた。


ガチャリと開いたドアを抜け、45階の屋上に出た。


最初の印象は、風が思った以上に強い、だった。

下とは全然違う。

風の強さもさることながら、もう空気そのものが違う。

澄んでいる。どこまでも、どこまでも。

下の様に濁った色もしていない。空気がおいしい。

空が透明に見える。遠くまで見える!


ああ、なんでもっと早くここに来なかったのか。

悔やんでも仕方がないが、今はここにいるのだ。

この際全て忘れて思い切り堪能しよう。45階を。


手すりに手をかけ、街を見下ろす。

想像したよりも街は大きく見えたがやはりどことなく建物はおもちゃに見える。

人は見えない。人ってこんなに小さいのかと驚くとともに、俺もそんな人の中の1人だと思うと少し虚しくなった。

懸命に生きたところで上から見ればこんなものなのか。


そんな感情も湧いて来たが、まあいいだろう。

俺の存在が小さくとも、でっかいことをやれば何かしらはここに残せるはずだ。

そのために45階に来たのだから。


さて、ではやりますか。

俺は右手を空に上げた。

丁度授業中に挙手をする様な感じで。


よしよし。だんだん集まってきた。

空漂う空気、チリ、匂い、光。

それらがうねりを上げて少しずつ俺の右手に集まってきた。

それは最初は遠慮気味に。しかしだんだんと勢いをつけ最終的には物凄い速さで集まってきた。


シュシュシュシュシュシュ。


風切り音の様な、新幹線が目の前を通り過ぎた様な、そんな音を立てて集まったそれらは渦を巻く。

そろそろいい感じだ。

俺は右手に集まったそれを圧縮させるために気を込めた。

くっと力を入れるとそれは弾けて、一本の棒になった。長さは大体1m50cmくらいか。色は黒色。


この棒を使って俺は帰る。

元いた世界に。

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