↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/45

第39話 対戦、コボル!

 ヌージィガ、白い月を解放したプレアデスは最後の星、赤い月の攻略に向かっていた。

 

 その行く手を阻むのはジェミ軍事同盟の重巡洋艦パール。

 指揮官はアルゴン死亡にともない、空席が発生したカテゴリ1に昇格したボロンだ。


 この星系では人が住む星が密になっているため、プレアデスの主砲ギガフレアは使えない。

 さらにこの宙域には過去の戦いにより多くの艦船の残骸が散らばっているため、艦の航行に支障がある。戦いは艦載機同士の宇宙戦となることは確実だ。


「ヘリウス軍の残骸か……あいつの墓場が俺たちの戦場になるとはな」


「ボロン、珍しいじゃないか。感慨深そうだ」


「あいつの下からここまで上り詰めたんだなぁってよ。

 ……ちょっとおセンチだったな」


 「さて、」ボロンは振り返って、兵たちの方向を向く。


「フェルミの後ろ楯を無くしたとはいえ、プレアデスは恐るべき敵だ」

 

 ボロンは部下に最大限の警戒を呼び掛ける。

 

「ただし、こちらにも人型兵器ディアマンドがある。諸君らは自信を持って敵にあたってくれ」


 右の拳を突き上げ、兵たちを鼓舞する。


「オォォォォォッ!」


 パールの乗員たちはボロンの呼びかけに大きな声で応えた。




 

「パールか……、またコボルが居るのか」

 

 ソウコウは苦々しく吐き捨てた。

 

「敵艦載機発艦を確認。数は二〇機」


 サーシャが敵の発艦を察知し報告する。

 

「やってやろうじゃねぇか! 行くぜこちらも全機発艦だ!」



 プレアデスから六機の艦載機が発艦する。

 

 プレアデス側のオーダーは以下の通りだ。

 一号機マイア    ソウコウ

 二号機エレクトラ  サトシ

 三号機タユゲテ   アイラ 

 四号機アルキュオネ アルデ

 六号機アステロペ  吉川

 七号機メロペ    西野

 

 五号機のケライノはマァルがかつて使用していたが、マァルが死亡したので今はパイロット不在だ。

 

「ソウコウ、あんたはコボルを頼む。あとの連中は俺たちで何とかする!」

 

 サトシがソウコウにコボルの相手をするように促す。


 

 ソウコウは初っぱなから全方位雷撃魔法で敵を牽制する。目指すは黒い宇宙迷彩の敵の中に一機だけ目立つ白い火の玉ペイントの機体、コボルの機体だ。


 

 

 

「敵の数およそ三倍強、囲まれないように動き回れ!」

 

 サトシは各機に指示する。

 

 両軍の機体は黒くペイントされている。

 宇宙空間において黒いペイントは高い迷彩効果を持つ。

 

「むぅ、見えんと何ともならんのう!」

 

 アルデが光球魔法を放つと、周囲の空間が明るく照らされる。

 敵は球状の陣形を取っているようだ。

 球の一番後ろの方に白い機体が見える。

 

「俺、敵殺ス」

 

 両手に鎖を構えた吉川が突撃する。


「待てよ! 吉川!」

 

 西野は吉川を速射火炎魔法でフォローする。

 

「皆殺シ……」

 

 吉川は鎖の先に爆発魔法を生成し、それを振り回す。

 敵の機体に触れるたび、鎖は大きな爆発を起こす。

 初撃で二機を落とした。 


 

 

  

 赤い稲妻ペイントが施されたソウコウの機体マイアは、コボル目がけ敵陣を突っ切る。コボルもまたソウコウに向かって直進する。

 

 二機が火花を散らしてすれ違う。

 すれ違いざまに同時に斬りあったのだ。

 

「落ちろ! コボル!」

 

 マイアは振り返り速射火炎魔法をディアマンドに放つ。

 

「当たるかよ!」


 ディアマンドは全速の旋回でそれをかわし、振動剣を構えて再度マイアに向かいジグザグに襲いかかる。

 

「速いな……だがっ!」

 

 マイアは垂直方向に舞い上がりながら方向転換、ディアマンドを正面に捉え、高熱剣を構えディアマンドに直進する。

 ディアマンドの脚部に搭載された機関銃がマイアに無数の銃弾を浴びせる。

 

反射魔法リフレクト!」

 

 マイアの正面に光の壁が作られる。銃弾は光の壁に跳ね返され、ディアマンドの方向に逆走する。

 

「魔法! でもっ!」

 

 ディアマンドはシールドで銃弾を受け止める。シールドの表面が蜂の巣状に窪む。シールドを構えたままマイアに直進する。

 

「落ちろ! 赤い稲妻!」

 

 振動剣はマイアの右脚をかすめた。

 

「浅いかっ!」

 

「舐めるなっ!」

 

 マイアが超至近距離で雷撃魔法を放つ。暗い宇宙に閃光が走る。

 コボルは光に視界を奪われる。

 

「この光に乗じた攻撃が来る」

 

 コボルは直感でシールドを正面に構える。しかし、果たしてその「一撃」は来なかった。

 コボルはマイアを見失う。


「いない! 上か?」

 

 賭けだった。ディアマンドのメインカメラが上方を映す。

 そこにマイアは居ない。

 

 衝撃。

 

 ディアマンドの後部スラスタから右脇腹辺りにマイアの高熱剣の胴切り一撃が入った。

 

「もらったぁ!」

 

 爆発する後部スラスタ。その爆風で姿勢制御を失うディアマンド。

 コボルは死を覚悟した。

 

「あっけないな……これで終わりか」

 

 メインカメラにはとどめを刺すべく向かってくるマイアの姿が映る。

 自分の最後を見届けるつもりでコボルは目を見開いた。

 その視界を黒い機体が遮る。

 

「隊長! 逃げてください!」

 

 コボルの部下が、マイアとディアマンドの間に機体をねじ込んでいる。

 別の部下がコボルの機体を支え、母艦パールに向かって全速で撤退する。

 

 後方で先程の部下の機体が大破するのを眺めながら、コボルは唇を噛んだ。血が滲む。


 

 コボル離脱に勢いづいたプレアデス側は、残る敵機を撃破。

 

 この戦局はプレアデスの勝利に収まった。

 

 

 

 

 ジェミ重巡洋艦パール――。

 帰艦したコボルは無言で作戦室に戻る。

 

「散々だったな、コボル」

 

「済まない……」

 

「仕方ねぇよ。敵の機体は強い

 だが……パイロット性能はお前の方が上だ」

 

「何が言いたい?」

 

「ディアマンドの機体性能向上、装備の改良も必要だ……

 人型兵器の生産を拡大する。

 今の俺たちは昔の俺たちとは違う。力がある、利用できる兵もいる。

 この力、利用してやろうや」


「ボロン……」


「言ったろ? 俺はお前に期待してるんだよ

 俺はカテゴリ1がゴールだとは思っちゃいねぇ。

 お前はもっと高いところに俺たちを運んでくれると思ってるぜ」


「わかったよ、ボロン」





 パールとの戦いに勝ったプレアデス。

 

 目指すは「赤い月」。

 待ち受けるはカテゴリ1のティターン。


「さぁ、赤い月に上陸するぞ」


 ソウコウの声が響く。

 乗員たちは激しい戦いの予感を感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。