学校の夕立
ざっ、と突然降った。
中庭を隔てた青く煙る校舎の窓際に、彼女の姿を見る。俺の中学時代のクラスメートだ。こちらに気がついたようで、ひらひらと手を振る。
雨は上がった。
ざっ、と今日も降った。
中庭のあっちの湿る校舎の窓際に、彼女の手を振る姿があった。ふと、知らない男子生徒が彼女に近付く。軽やかな足取り。何やら彼女に話し掛け始めた。
雨は上がった。
ざっ、とやはりその日も降った。
中庭越しの霞む校舎の窓際に、彼女がうつむいていた。座ったままのこちらに気付いてさらに面を陰らせる。知らない男子生徒が軽やかに近付く。
雨は上がった。
ざっ、とまた別の日。
中庭向こうの暗い校舎の窓際に、だれもいなかった。恋の終りが白く煙った。俺は座ったままだった。
雨は、上がる。
おしまい
ふらっと、瀨川です。
自ブログに発表済みの作品です。少し手を加えていますが。
小さな楽しみと、その終わり。
突然やって来て勝手に去っていく夕立のように。
そんなお話でした。