chapter 13 ラブ・エンカウント side:M 中編
相変わらず余裕そうにしてはいるが、彼女の顔から笑みは消える。あれはこちらを心底鬱陶しいと思っている顔だ。どうやら相当恨まれているらしい。
「ハッキングばっかりやっている本体は、どんな強さなのかしら?あまり運動は得意そうではないけれど。体の特徴的にも。特に胸のあたりが。」
「安心しなさい。人がたまに使う言葉で、動けるデブ、みたいなのがあるでしょう?あれ自体は差別的な発言でしかないと思うけれど、それと同じように、動けるナイスバディ、だって普通に存在するのよ、まな板さん。」
ほう、どうやら私を本気にさせたいらしい。別に怒ってはいないが。私は両手に武器を握る。もちろん愛しのデッキブラシと布団たたき。最初から二刀流でいく。どうせ知ってるだろうし。相手も剣を具現化する。それは真っ黒だったが、それ以外は何の変哲もないものだった。
「さあ、行くわよバカ姉さん。」
「来なさい、クソ妹。」
それが開始の合図。待ちはしない。ラブはその場を動かなかったので、ならばこちらからと、一気に距離を詰めて敵の目前に迫り、そこから飛び上がって両手に持った得物を振り上げる。前回の反省点を生かし、超高速で。
「これで、どうよ!」
そして一気に両方の武器を垂直に振り下ろした。二刀流の良さはでない攻撃かもしれないが、面倒くさいことは抜きだ。そして直後に手ごたえを感じるが、聞こえてきたのは、ガキン、という鈍い音だった。敵の体にあたった音ではない。
そう、受け止められたのだ、ラブの剣によって。しかも彼女は、片手で剣を持っている。それ以外の体の部位は、ほとんど動いていない。顔さえも、前を向いたままである。受け止められるのは予想していたが、これほど余裕でやられるとは思っていなかった。
「……。あらあら、プリティちゃんにやられて、多少マシになっているかと思ったのに、やっぱりこの程度なのね。」
至極残念、という声だった。そして次の瞬間には、私の得物は剣によって上にはじかれ、無防備になった私の体にその刃が……。
「甘い、まだまだ甘いわ!ダメ姉さん!」
届かない。私の体はそこにはない。ラブが切ったものは、すでに分身だった。彼女の能力が高いであろうということは、もう薄々感じていた。だからこそ、出し惜しみはなしなのだ。プリティ相手には出し惜しみした技もすぐに使う。そして自分の前にある分身に向かって剣を振るラブを確認して、後ろから一気に距離を詰める。
さあ、まずはその背中に、痛いの一発お見舞いしてやるわ……!それからが本番ってやつよね!
そうして突撃からの突きを繰り出そうとした、そのタイミングで。
「どっちが甘いのかしら、このクソゴミ妹さん。」
突然私の視界は黒いもので覆いつくされる。いや、正確には、ラブの足が、眼前に迫ってきていた。
「なっ……!」
まずい、と思った瞬間には、手遅れだった。攻撃態勢だった私には、瞬時に防ぐ術はない。そのまま顔に、蹴りを入れられる。
「ぐっ!。」
ダメージはもろに顔に来た。その痛みのせいで後ろにのけぞってしまう。何という反応速度だろうか、体は完全に前、意識も完全に前を向いていたはずなのに、瞬時に回し下痢を決められたのだ。これはプリティと同レベルのスピードかもしれない。
このレベルの敵相手では、厳しいか?いや、まだだ。彼女は必ず追い打ちをしてくるはず。このまま痛がっていれば、近づいてくるはず。そこにカウンターを決めてしまえば、こっちのものなのだ。強い奴は油断をする、というのが常である。
というわけでしばらくうつむいて呻いていたのだが(本当に痛いんだけどね)、一向にに気配を感じない。どうしたんだ、と顔を上げると、ラブは一歩も動かずに、先ほどと同じ場所にいた。
「……。あら、どうしたの?まさかカウンターなんか狙ってるの?さっきのもそうだけでど、あなたかなり卑怯よね。最初にプリティちゃんとやった時も、ほぼだまし討ちで勝ったようなもんだったじゃない。嫌なナビだわ。」
精神的に痛いところ突いてくる。それを言われてはおしまいなんだが、今更気にすることでもないだろう。相手が自分よりも強いのであれば、正面から真面目にやり合っても勝てるわけがないのだ。だから。
「それが、どうしたって言うのよ!」
痛がるふりはやめて、再び一気に接近する。敵が不意打ちを読んでいるならば、攻めるしかない。
ラブも流石に私がこんなにすぐに開き直るとは思っていなかったのか、反応が一瞬遅れたように感じられた。だから、今度は二つの得物で突き崩す。正面から。
「綺麗事だけで、勝てるわけがないでしょうが!」
先ずは右手のデッキブラシを振るう。勿論敵は防御せざるを得ない。その手に持ったその剣で。だがその剣は、一本しかない!私のもう片方の手にある布団たたきを、隙ができたその瞬間にたたきつける!
「ちっ!」
致命傷にはならない。敵もこちらの攻撃など読めているだろうし、こちらも二つ武器を使う以上、片方の威力は下がってしまう。しかし素早い攻撃で敵の態勢を崩すことはできた。ならもうこっちのものだ。連撃なら、お手の物だ!
「そら、そらそらそらあ!」
敵も黙ってはいない。恐ろしい剣さばきでこちらの攻撃をはじいてくる。だがプリティの時のようにならないために、こちらも短い時間ではあるが、機能を改良してきたのだ。敵が攻撃をはじいたとしても、体勢を崩さず、隙を作らずに、間髪入れずに攻め込む!
「余裕ぶっこいてるから、こんなことになるのよ、馬鹿姉さん!」
攻撃の手は休めない。ラブは防戦一方だった。反撃の隙を与えないのだから当然ではあるが。ガードも段々と甘くなってくる。しかし容赦なんてするつもりは全くない、というか容赦している余裕も、恐らくないだろう。だから攻め続ける。
そしてとうとう、ラブがよろめく。その隙を逃さず、思いっきりデッキブラシを振り抜いた。
「飛んでけっ!」
体勢を崩していたラブは、その攻撃を防ぐことが出来ずに、もろに体にくらって、そのまま上に吹っ飛ぶ。今度こそ手ごたえがあった。気持ちいいホームラン。そしてそのままラブは空中をくるくると四回転し……着地した。
「……………。」
見事な着地だった……ではなくて、なんだかまだかなり余裕そうだった。追撃しておけばよかったかもしれない。久しぶりに気持ちよく敵を殴れたから満足してしまって……。そんなことよりラブは着地した後全く動かない。俯いたままであるが、もしかして結構効いたのだろうか?
「……ダメだわ。全然ダメ。」
しかしよく耳を澄ますと何かを呟いている。
「何?何言ってるか聞こえないわよ?」
「全然ダメだって言ってるのよ、このポンコツ妹さん。」
そこでラブは顔を上げた。その顔は、先ほどまでのうっすら笑っている余裕のあるものではなく、かなり不機嫌そうなものだった。攻撃をもらったから、という雰囲気ではない。心底こちらを憎そうに見ている。
「何がよ。今の場面だけ見たのなら、アンタの方がダメダメだと思うけれどね。」
「そんなこと言ってるんじゃないわよ。確かに、あなたは戦闘能力はなかなかのもののようね。無理な改造をしていないにも関わらず、そこまで動けるとは大したものだわ。まあすごいのは凡人さんのおかげ、ということを忘れてはいけないけれど。」
そう言っている間にもどんどんラブの顔が歪んでいく。だが何故彼女がそこまで怒っているのかさっぱり分からない。いや、凡人に関することで怒っているのだろうが。
「私が言ってるのは、あなたが凡人さんのナビとして、全くふさわしくない、ということよ。」
「……は?」
吐き出された場違いな発言に、私は呆気に取られてしまう。そんな話をしていたのか?いや、彼女なら、彼女だからそうなのか。こんな場面でも、考えることは一つ、ということなのか。
「何もふさわしくないわ。下品な発言、単純な思考回路、歪に曲がった性格……。何もかもが不合格。もはや存在している意味がわからないレベルだわ。どうしてあなたは居るの?何のために要るの?あなたの存在は凡人さんにとって毒にしかならないわ。」
ものすごい言われようである。まあ自覚しているところもないといえば嘘になるが、面と向かってここまで言われなければならないのだろうか。そこまでダメなのだろうか。いやダメなのはウチの主人ではないのだろうか。いや、そんな話をしている場合じゃない。
「うるさいわよ、今はそういうことを言う時じゃないでしょうが。確かにあなたには同情するわ、あのクソみたいな主人のせいで、不良品のレッテルを張られて処分された。あなたは何も悪くないのにね。何なら今からアンタがアタシの代わりに家に帰った方がいいんじゃないかと思うわ。でもね、アンタは悪いことをしたのよ。恨み言なら後で聞くから、取り敢えず捕まりなさいよ。」
そう、彼女の怒りはもっともだ。だが今はその話をする場面ではないのだ。だが彼女の怒りは収まらないようだった。火がついてしまった導火線と同じだ。それに女の執念深さは漢が考えているよりも深いものなのだ。
「あら、優しいことを言ってくれるじゃない。自分の存在がどれほど私を苦しめているのかちっともわかっていないのね?可愛い外見以外は何らいいところのないあなたと、必死に努力している私。どう考えても私の方が優れているはずなのに、あの人が見ているのはあなただけ。これって悲しいと思わない?思うわよね?」
彼女の口は止まらない。それほどまでに、彼女の心の中には不満が溜まっていたのだろう。だがその言葉を聞いていても埒が明かない。
「分かったから、罪を償ったら聞いてあげるから、今は殴られときなさい!」
もうこちらも限界だった。大体あんなに色々言われればさすがにイライラしてしまう。なので再度突撃を開始した。敵が怒って冷静さを失っているので、こちらにとってはチャンスだし。相変わらず汚い手ではあるけれど。
瞬時に目の前に飛ぶ。そして先ほどと同じように、攻撃しようとした。のだが。
「……!?」
攻撃は届かなかった。いや正確には、避けられたのだろうか。こちらの武器が当たる直前に、ラブは軽やかに後ろにステップして、こちらの攻撃をかわしたのだ。まあ彼女は早い、だから外れたのだろう。
「あなたは強いわ。プリティと戦っている時よりもさらに強くなっている。でもそれは修行で得た力ではないでしょう?性格だって同じよ。今のあなたのガサツな性格は、調整したらどうにかなるものじゃないわ。」
ラブは話し続ける。まるで攻撃してくださいと言わんばかりに。だから私も攻撃を続ける。今度は後ろに回り込んで、武器をつきだす。しかしまた回避される。先ほどと同じように、ステップで。
「今の私は完璧。確かに一度は捨てられたわ。でもね、今考えれば、あれは仕方のないことだったの。相手のことを考えていなかった私が悪いわ。あの人に不快な思いもさせてしまったでしょう。深く反省をしている。だから私は生まれ変わったのよ。あの人にふさわしい人になるために。」
次の攻撃も、その次の攻撃も。色々な方法を試してみるが、当たらない。どの攻撃も、直前で外れる。敵の回避は、優雅なものだった。何かがおかしい。普通に考えれば、敵の動きが早くなっているのが原因だろう。さっきは本気ではなかった、というkとだ。だが違和感を感じる。
「けれどもあの人が見るのはあなただけ。知ってる?あの人はあなたのことを面倒くさいと思っているように見えるけれど、内心十分心配しているのよ?あなたのことが気になって気になって仕方がないの。あなたのことで頭がいっぱい、それ以外のことは後回し。それが許せないのよ、私は。」
「そんなわけあるか!」
ラブのわけのわからない発言にイライラしながら、攻撃を繰り返すが、ひらりひらりと交わされる。もはや当たる気がしなくなってきた。しかしここで攻撃を止めれば、今度ああちらの番になるだろう。そうなってしまえばどうしようもない気しかしない。
何故当たらない?何が悪い?読まれているのか?すべての行動はお見通しということなのか?いやそんなことよりも、どうして私はあいつの語りを聞かなければならないのか?どこにそんな義務があるって言うんだ、誰か教えて欲しい。
「ああもう、最高にイライラするわね!サッサと、くたばりなさいよ!」
そこでもう深く考えることはやめて、思いっきり武器を投げつけることにした。突撃するモーションからの、不意打ちの武器投擲。さすがに相手も驚いたようで、話すのをやめて、こちらを見た。だがもう遅い。私のデッキブラシは、奴の腹に命中……!
「……本当にガサツ。デリカシーもない。気品もない。野蛮で下品で低俗でしかない。けれど何よりイライラするのは……。」
しなかった。何故か?避けられたのか?違う、もっと根本的な問題だった。だって私の武器は、まだ手の中にあるのだから。つまりは、投げていない。いや……投げることができない。手が、動かない!
「大した意志も持っていないのに、私と戦おうとする、その舐め切った態度なのよね!」
次の瞬間には、ラブの拳が目の前に迫っていた。勿論、私はそれが敵の攻撃であると瞬時に認識して、避けようとする。避けられない速度というわけでもない。だが、またしても動かない、今度は足が、いや体が動かない。全く動かせない!
そして当然の結果として、私は思いっきり殴られて、後ろに吹き飛んだ。
「な……どうなってんの、これ……!」
そして受け身も取れずに、後ろに倒れた。追撃されては敵わないため、すぐに立ち上がらないといけない。だが体は持ちあがらない。どうなってんの私の体、まさかここにきて不具合が起きているの?そうでなければ神の力?そりゃないわよこんな肝心なときに……。
と色々考えていると、こんどは勝手に体が持ち上がった。自分の意思ではないのに、立ち上がってしまったのだ。正面には、イライラしているのか楽しんでいるのか、なんとも言えない表情をしているラブが立っていて、こちらを見ていた。
「あなた、馬鹿よねえ。まあ一応の対策はしてきているみたいだけれど、私と間近で、しかも一対一で戦うってなると、そんな対策はゴミでしかないわ。無駄な装飾でしかないの。分かる?」
呆れたような声でラブはそういう。その言葉で、私は自分の身に何が起きているのかを理解する。そうだ、今までは自分で体験したことはなかったが、もう何度も見てきているじゃないか。つまりこれは、この状況は。
「アンタ、ハッキングしやがったわね……?」
そこで良く分からない顔がにやっと笑った。あたり、ということだろう。いや、もっと早く気付くべきだったのだ。いつからやられていたかは分からないが、恐らく攻撃が当たらなくなっていた時にはもう操られていたのだろう。敵が早いので当たらなかったのではない。こちらが遅くさせられていたのだ。だからすべて回避されたのだ。
「完全に操るんじゃなくて、微妙に遅くするなんて、アンタやっぱり性格悪いのね。いや、もう最悪って感じだわ。ああ本当に嫌になっちゃう。」
「んふふ、強がりかしら?声が震えてるわよ、私の可愛い妹ちゃん?」
認めたくはないが、かなりマズイ状況だ。操られているのに勝てるはずがない。かろうじて口は動いてくれているが、これだってアイツがわざとやっている可能性がある。口だけだと結局勝てないのだが。
しかし、こんなことにならないように、ハッキング対策は自分でかなり完璧に仕上げてきたと思っていたのだが、こうもあっさりやられてしまうとは、我ながら情けない。
「ねえ、なんであなたは負けちゃうんだと思う?前回プリティちゃんに負けた時だって、あなたはそこそこの準備をしていたんでしょう?でもダメだった。それは何故?相手を舐めていたから?違うわ。まあ自分でもわかっていると思うけれど、教えてあげる。」
ラブは完全に主導権を握っているので、ゆっくりと歩きながらこちらに語り掛けてくる。周りでは激しい戦闘が行われているというのに、ここだけは世界が違うような感じだった。
「さっきも言ったけれど、強い意志があなたにはないのよ。あなたは何しにここに来たの?私を止めようと思って?傷つけられた人のかたき討ちのために?まあそんなところでしょうが、そんな微妙な目的しかない奴に私は負けないわよ。」
「さっきから同じようなことをだらだら喋りやがって……。ウザいわよ、そういうの。」
分かっている。彼女は負ければそれで終わりなのだ、命懸けなのだ。遊ぶ要素は一切ない。勿論私も遊んでいないけれど、心構えは違ってくる。ナビ同士の戦闘において勝敗は油断以外は性能で決まるものだが、心構えがあるかどうかで、事前の準備などの気合の入り方も変わってくる。そこでもう差はついているのだ。
ラブはゆっくり近づいてくる。そして私の顔に自分の顔を近づける。息が当たる距離だ。そこまで来ると、改めてこのナビが如何に美人であるかを再認識させられる。
「最初にプリティちゃんに買った時は、友達を傷つけた犯人を絶対に逃がしてなるものか、許してなるものか、という思いが、あなたを勝利に導いたのよ。けど今は違う。私の絶対の意志は、あなたなんかと比べ物にならない。そうでしょう?ねえ、そうでしょう!」
そこで腹部に強い痛みを感じる。下を向けないから良く分からないが、腹を殴られたらしい。
「アンタなんかね、汚い泥棒猫みたいなもんなのよ、サッサト消えなさい!」
更に蹴りが飛んでくる。勿論回避できないので、もろにくらい、倒れてしまう。ダメだ、必死に抵抗しているが、せいぜい片手を動かせるかどうかである。ラブはさらに私の体を踏みつける。
「まあ自分で消えるのは難しいでしょうから、私がやってあげるわ……。姉妹ですものね。」
このままでは一方的にやられて終わりだ。この前からいいところが全然ない。そして今回も、普通に考えれば負けるのだろう。
しかし、ここで挫けるわけにはいかない。勿論ずっと前から命を懸けて準備してきたやつに勝てる可能性は低いし、コイツに比べれば意志の強さというやつもこちらの方が弱いだろう。
だが、さっきブレイブと約束したのだ、最低でも彼が来るまでは、コイツを足止めすると。そしてここでこいつを食い止めなければ、更なる悲劇が起こる。また誰かが傷つけられる。
「……あら?」
ラブが少し予想外、という感じの声を上げる。それもそのはず、動かないはず(と思っている)私の腕が、ラブの足を、掴んでいたのだから。
「……戦いに負けること自体は、仕方のないことでしょうよ。でもね、悪あがきぐらいはさせてもらうわよ。一分一秒でも、ここにアンタを釘付けにするのが、今日のアタシの仕事なのよ。」
「……私に限った話ではないと思うけれど、諦めの悪い人って、ほとんどの場合は面倒くさい奴だから嫌いなのよ。腕一本しか動かないんでしょう?そこまで頑張る必要はなくない?理由なんて、大したことないでしょう?」
ああそうだ、腕しか動かない、他は動かない。私だってこんな状態でやるのは、往生際が悪いと思うさ。でも、やれることはある。それに何より、ここで倒れてしまうと、前回と同じではないか。それはマズイ。
「理由?あるわよ。それはね。」
そこで、一気に腕の握力を強める。ラブは少し苦痛だったようで顔を歪ませる。
「アタシだって、少しは見せ場をもらわないと、不公平じゃない?」




