表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/43

chapter 8 漢達の鎮魂歌 side:H 前編

『さあ、一体どうするのかしら?じっとしていたらすぐに死んじゃうわよ!?なにせその警棒には、人間なんて一撃で殺せるほどの電流が流れてるんだから!』

「兄貴、ここは取り敢えず逃げましょう!あれはマジでヤバいですよ!マジで死んじゃいますよ!さすがにこの俺でもあんなものにぶつかられればどうなるかわかったもんじゃないですよ一体どうすればいいんですかさすがに死にたくはないですよ!」

「おう、まずはお前が落ち着けよ!さすがにお前よりは僕は落ち着いているぞ!しかしさすがにあんなものにぶつかられればどうなるかわかったもんじゃない!」

『同じようなこと繰り返してますよ!二人ともまず落ち着け!』


 後ろからは容赦なく暴走した警備ロボが追いかけてくる。いや、暴走というよりは完全にあのハッキングナビ(以下ハック野郎)に操られているんだろう。そんなこと本人が言ってるし。

 かくして再び追いかけっこが始まってしまったわけだが、確かにトッコのいう通り一度冷静にならなくてはならない。メルトのことは心配ではあるが、ここで死んでしまっては元も子もない!それに先ほどの疲れも全く抜けていないのだ。長期戦は圧倒的に不利。


 しかし逃げ始めてからすぐに、再びスピーカーからハック野郎とは違う声が聞こえてきた。

『……よし、聞こえてるんだな?…………あちらの音も聞こえる。よしよし!』

 この声はハック野郎の前にスピーカーから聞こえていた声、つまり電課の人の声だ。どうやら乗っ取られていた機能を取り戻したらしい。といってもその声に混ざってハック野郎の舌打ちも聞こえてきたから、完全ではないようだけれど。

『見たか!電課を舐めるんじゃねえぜ!こちとらその手の能力が高いからという理由だけでスカウトされてきた連中を引き連れてるんだからな!何度その給料泥棒を辞めさせろといわれたかはわからんがな!』

「そんなことはどうでもいいから!さっさとアドバイスしてください!さっきとは状況が違います!」


 さすがに今ネガティブモードに入られるとこちらの体力が持たない。敵はもう隠す必要がないから先ほどよりも殺しにきているし。

『おお、すまない。先ず言っておくが、ハッキングナビがいっているのは嘘じゃないぞ。あの警棒は普段は対象を気絶させる程度の電流しか流れないし、流せない。だが今確認したところによると、完全にリミッターが外されている!触ったらかなり死ねるな。』

 冷静な分析はいいが、それはあまり役に立たない情報だ。わざとやっているのかこいつ。


「で、こいつを止めることはできないんですか!」

『難しいな。こちらもほとんどがまだ乗っ取られたままだ。ダウンされただけならまだしも、乗っ取られているからな……しかもよくわからないウイルスが暴れまわってやがる。増殖するタイプだ。ほおっとくと全部やられちまう。』

 敵は僕を狙うことを邪魔されないために、かなり準備してきているようだ。そうでなければこの厳重な(今回の様子を見る限りとても厳重とは思えないが!)セキュリティのある建物を好き放題はできないだろう。


『ああもううるさいわね!今は私がしゃべっているのよ。ゴミは黙っときなさいよね!全く、ここのセキュリティも、バンもトッコも、完全に私の計算外だわ!うざいったらありゃしない!』

「あいつ結構苛立ってますね!これはいい感じですよ!」

「ああいうタイプは自分が一番優れていることを信じて疑っていないのさ。だから想定外のことが起きるとイライラする。結局はお子様ってことだ!」

 まあ電課の抵抗はともかく、バンとかの乱入は完全に想定外だろうよ。僕でもそうなったらイライラするだろう。こいつらは見てるだけでもイライラさせるセンスを持っているからな。

 ともあれこれは好都合である。いくらナビとはいっても、ほぼ人間と同じなのだ。イライラすれば隙が見えてくるというもの。ここはどんどん煽らせてもらおう。必ず突破口は見つかる!見つからないと困る!


 しかしこちらの予想と反して、次に聞こえてきた声は穏やかなものだつた。

『でも、確かに簡単に成就する願いというものは、価値がないわよね。これは神様が私に与えてくださった試練なんだわ。ああ、神様、私はこの試練を乗り越えて、無事願いをかなえて見せます!』

『……兄貴、これはかなり厄介みたいですよ。』

 トッコのあきれた声が聞こえてくるが、それは僕が一番感じている。

『とういわけで凡人さん。あなたの作戦は通用しないわ。知っていますもの、あなたが油断した相手に不意打ちを仕掛けるのが好きだってことは。オンラインゲームだって、ギルドバトルは終了時間ぎりぎりまで手を抜いて、相手が油断した所を一気に押し切るのが好きですものね?ああ、いやらしいわあ!』

 なんであいつはそんなこと知っているんだ!いや別にそんな卑怯なことは僕は好きではない!戦術である人聞きの悪い!そんな目で見るなバン!それどころじゃないだろう!


「で、あのロボットのバッテリー切れとかはないんですか!」

『話をそらしたね凡人君。もちろんその可能性は考えた、だがあれもウチの技術力が詰まってるんだよ?そんな低燃費なわけないじゃないか!』

「つまりは、無理ってことでしょ!そうならそうと言ってください!」

 ということは持久戦は不可能というわけ。なら選択肢は、電課が何とかしてくれるまで逃げ切る、またはあいつをぶっ壊す、外に逃げるのいずれかしかない!

『うふん、よく逃げるわね…………なら次の段階、行っちゃう?』


 なにやら不吉な声が聞こえてきたが、逃げるのに精いっぱいで気にしていられない!

 するとどこかで何かが動く音が聞こえてきた。

「兄貴、なんかどっかで、動いてる、音がしますよ!」

「分かってる!何の音かはわかるか、トッコ?」

『うーん、この音は、ドアが開くような、そんな音じゃないでしょうか?つっても、でかいゲートが開くような音ですけどね。』

 この建物にそんなものがあるとするならば、それは…………。

『これは……階段を封鎖していた隔壁が開いているぞ!そんなところまで乗っ取られているってのか、この野郎!』

 スピーカーから悪態をつく電課の人の声が聞こえてくる。


 隔壁。なるほど、さっきから走っているのに、壁にはドアしかなかったが、階段は隔壁によって完全に閉鎖されていたわけだ。まあこの建物、良く見れば五階建てくらいだから、階段がないというのも良く考えればおかしい。

「兄貴、これで、二階に、逃げれるんじゃないですか?あのロボットも、階段は登れないでしょう!」

「頑張ったら登れるかもしれないけれど、時間はかかるだろうな。引き離して作戦を考えるには十分だ!」

 上をとってしまえば、階段を上ってくるところに何かを投げつければいい。それだけで階段から落ちるだろう。そうなればあのロボットもただでは済むまい。

 そして曲がり角を曲がると、その先に壁が一部なくなっているところが見えた。あそこが隔壁が上がったところだろう。ならばあそこに階段があるはず!

「よし、もうすこしで、何とかなる…………!」


 しかし再び別の音が聞こえてきた。ガシン、ガシン……と。まるで何かが、一段ずつ階段を下りているかのような、そんな音が。

 そして理解をする。そういえば隔壁を上げたのは誰だ?電課の人たちではない。ならそれはこの場合、ハック野郎以外ありえない。ではどうしてハック野郎は隔壁を上げた?僕達を逃がすためか?そんなわけはない。ではじわじわと追い詰めていこうとしている?それならあり得るかもしれない。

 だが奴はさっき電課の抵抗は予想外だといっていた。そんな奴が襲撃を長引かせて、電課の反撃のチャンスを作るだろうか?可能性は薄そうだ。なら残るは…………。


「バン!階段には近づくんじゃない!」

 僕の前を走っていて、まさに階段を登ろうとしたバンは、僕の声を聞いて、一瞬でさっとその場から離れた。

 そしてその次の瞬間、階段の上から転がってきたのは…………。


「おいおい、マジかよ…………。」

 ドラム缶のように転がってきたのは、まさに今僕達の後ろから追いかけてきているものと、全く同じものだった。今は上から転がってきたので横になっているが、その胴体から伸びているアームは、完全に一緒だった。

「二体に増えてるのかよおおおお!」

 すでに立ち上がろうとし始めた二体目を見て、再び廊下を走り始める。後ろかろは一体目もきているし、どのみち立ち止まっている暇はない。

「ちょっと、これはどうなってるんですか!聞いてねえですよ二体目があるなんてことはさあ!」

『む、すまない……。予想外だった。こんなことになるとは。奴め、我々が部屋から出ることができないと考えて、各階の封鎖を解除しやがったな…………。そう、そいつは完全に同型の二体目さ。この建物は五階建てだから、各階に一体ずつ配置しているんだよ!それはもちろん君が考えている通りだと思うが、そいつらは階段を登るのが苦手だからね。だから各階一体ずつさ。費用のことなんて度外視よね。』

「でも今一つのフロアに二体いるじゃないですか!」

『舐めちゃいかんのだよ。そいつの耐久力はなかなかのもんだ。階段を転げ落ちるくらいなら大してダメージはない、つまりは登るのは遅いが、落ちるのは早いってことさ!』


 自慢気に語りやがって、こっちはもうそれどころじゃねえんだぞ。後ろから聞こえてくる車輪の音が二倍になって精神的にも追い詰められているじゃあないか。

「で、何かアドバイスはないんですか!?そろそろ弱点とか教えてくれてもいいころだと、思うんですがね!」

 先ほどから有益な情報を何一つもらっていないので、かなり腹が立ってきた。

『むむ……こちらだって、何かしたいのはやまやまなんだよ!でもね、残念ながら言えることはほとんどないんだ!警備ロボットはシンプルな作りゆえに目立った弱点はない!手助けしようにも乗っ取られたままだ!くそう、テクノロジーめえ!』

 お前がそれを言ったらもう元も子もないんじゃないか。


「でも兄貴、追いかけてくる奴が二体になっても、大して変わらないんじゃないんですかね!」

 確かにバンの言う通りだ。追いかけっこで鬼が二人になったからといって、そんなに問題はないんじゃないだろうか。挟み撃ちにでもしない限りは……。

「いや、待てよ……嫌な予感が、するぞ…………。」

『兄貴、後ろ、いつの間にか一体になってませんか?やっぱり、落ちたダメージでお陀仏になったんじゃないんですかね!』

 トッコが喜々として語ってはいるが、おそらくは違うだろう。

 敵は監視カメラを使って建物内部の構造を簡単に把握できる。そしてここの廊下の性質上、最も有効な手段はもちろん…………。


「挟み撃ち、だわな!」

曲がり角を曲がった時、廊下の先に現れたものがあった。それはもちろん、どこで反転したのか知らないが、先ほど上から降りてきたロボットだった。

 一直線の廊下、避けられる場所はない。そして後ろからはもう一体が依然追いかけてきている!

「兄貴!挟まれてますよ、こいつは!」

『うふふ、さあ、どうするのかしら…………今なら、泣き叫べば助けてあげないこともないことはないわよ。』

 それは助けてくれないということではないのか。

 

 考えろ!このピンチに思いつく手段は単純なものしかない。敵に対処される可能性もあるが、何もしないりはいく分マシだ。

「バン!こっちによって来い!」

「良く分からないけど了解っす!」

 僕とバンは走りながら廊下の真ん中に寄り合った。もちろん走りにくいのでスピードは落ちるが、挟まれている今スピードもクソもない.

 そして敵に聞こえないように作戦を伝える。

「え、そんな簡単な方法でいけるんですか?」

「やらなきゃわかんないだろ!」

 そうこうしているともう目の前と真後ろにロボットが迫ってくる。接触までもう数秒しかない!

『こそこそ内緒話とは、関心しないわね……そっちの気もある人だったかしら?』

「いくぞ、三、二、一……今!」


 敵の戯言になど耳を貸さず(心には刻んだ)、前からくる奴と後ろからくる奴に激突する瞬間、廊下の真ん中を走っていたバンと僕はお互いの体を突き飛ばし、互いに廊下の端に転がった。

 そしてもちろんロボはどうなったかというと…………。

 ガシン!という大きな音とともに、思いっきり激突して、転がった。

『な……!』


 そう、きわめて単純。だが、シンプルイズベストなこの警備ロボットは、対象を追いかけることが何よりも大事なのだ。対象が廊下の真ん中によれば追跡する。向こう側で味方が同じ動きをしていることなど気にするわけがない!

「しかも車輪で動いてるからな!急には止まれないし、いくらお前が操ってても、デリケートな動きはできないだろうよ!」

 さらにあのロボは装甲が硬そうだった。なら硬いものどうしぶつけてしまえというのは、ゲームなどではおなじみの発想である。

「二体に増やしたのが、間違いだったな。」

「流石ですよ兄貴!」

「やはり僕は頭脳派ということだ。そして肉体派のバンとコンビを組めば、それはもう無敵ということだ!わかったかこのハッキング野郎!」

 おそらく見ているであろう監視カメラに向かって息を切らしながら叫ぶ。スピーカーは沈黙している(正確には役に立たない電課の男の声が時々聞こえるけど、役に立たないのだから聞いても仕方がない)。しかしこの静けさは、嫌な感じがしないでもない。……いや、考えすぎだろう。あの速度でぶつかったんだから、硬いもの同士でロボットもぺちゃんこ……。


 ではなかった、監視カメラから目を離してそちらを向くと、もう立ち上がろうとしていた。多少へこんでいるように見えるが、まだまだ戦えるぜのオーラがにじみ出ている。

『……ふふふ、頭脳派といっても、子供の中での話みたいね?強がっちゃって、可愛いわ……。でも、大人の世界は、そんなには甘くないわよ?』

『何度も言わせるんじゃないよ凡人君。そのロボットを舐めちゃいけない。ちょっと何かにぶつかったぐらいじゃ止まらないの!それに今のぶつかり方だと、後ろに衝撃が逃げちゃうでしょ。それを壊したいなら、もっと硬いものをもっとスピードをつけてぶつけて、壁との間に挟むくらいしないとなあ!』

 ……さっきから考えているが、こいつらグルなんじゃないのか?なら全部つじつまが合うような、合わないような。


「仕方ない、もう一度逃げるぞ、バン……。」

 ガシン!逃げ始めようとしたその時、再び大きな音が廊下の向こうから聞こえてきた。しかも連続でなっている。この音は……。

「つまり、もう時間は残されていない、ということか……。」

「どうしたんですか兄貴!まさか限界ですか!?まあ俺もかなりつらいですけど頑張りましょうよ!彼女もできないまま人生終わらせるなんてやめた方がいいですぜ!」

「うるせえそんなこというんじゃねえわかってるよ悲しくなるだろうが!てかそんな話をしてる場合じゃない。この音、聞こえるだろう?これはもちろん、上の階からさらに警備ロボが落ちてきている音だよ!」

「な、なんですって!じゃあ各階の奴が全部カチコミにくるわけですか!?ヤバくないですかそれ!?」


 五階建ての建物だから当然五体いるのだろう。さすがにそんなに増えられると、勝ち目は薄い。一体すら倒せていないのに。そしてたとえ敵が二体のままだとしても。こちらの体力は限界に近い。このままでは確実に終わる。

『すまない、あとちょっとで何とかなりそうなんだが……どんどんウイルスが増えていくんだ!増殖タイプとはタチが悪い!ちなみに相変わらず外から助けはきそうにない!』

「ご丁寧に無益な情報をどーも。」


 つまりはほぼ万事休す、といったところか。どこかに抜け穴とかはないのだろうか。奴の狙いは完全に僕であるようだ。せめてバンだけでも逃がしてやらないといけない。

 にしてもバンもバンで不幸なやつだ。わざわざ警察の目につかないように助けに来てくれたというのに、こんなことに巻き込まれてしまうとは。折角のトッコの頑張りもあまり意味がなくなってしまった。三日かけて窓一つを開けたというのに。……窓?


「……そうか、思いだしたぞ。さっきは逃げるのに夢中で無視したが、そういえば窓が開いてるじゃないか!トッコがシステムをいじって開けたのだから、あいつが干渉していない可能性は高い!そこから外へ出られるぞ!」

 もはやこの状況を乗り切るには、多少の危険を覚悟してでもあそこから外に出るしかない。

「なるほど、盲点でした!さすが兄貴、こんな状況でそれを思いつくとは!早く行きましょう!」

 幸い二体は立ち上がったばかりなので、まだ挟み撃ちにはされない。今なら逃げ切れる!

そう思って二人で走り始めたとき、スピーカーから再び声が聞こえた。

『……うふふふふふふ。急に元気になったわね。何かいいことでもあったのかしら?』

「だれが教えるかこのクソ野郎!」

『まあおおむね、窓が開いてるのを思いだしたとか、そんなところかしら?』

「なっ!」

 知ってやがったのかこいつ。ならもうとっくに……。


『ああ、安心して。あそこの窓は閉じていないわ。なんてったって、なんだかめんどくさそうだったんですもの。私は手間のかかることは嫌いよ。』

「兄貴!まだ閉じてないらしいですよ!こりゃラッキーですね!早くいきましょう!」

 横でバンが顔を輝かしているが、そんな単純な話しなわけがない。ここまで準備をきちんとしている奴が、面倒くさいからってそんな隙を見せるわけがない。

「オイ!何考えてやがる!こっちにはお見通しだぞ!」

『あら、何も変なことは考えてないわよ?ただ私は、あなたがどこへ逃げようとも、追いかけ続けるだけよ。もちろん外に出られたとしてもね。』

「そんなわけあるか!絶対何か企んでるだろ!」

『何もないって。信じてほしいわ。でも、仮にあなたが外に逃げたとすると、私はあなたを追いかける手段を変える必要が出てくるわね。こんな警備ロボじゃなくて、そうね、例えば、車とかね?』

 とても楽しそうにハック野郎がそう言った時、コイツの考えていることがぼんやりとだが分かり始めた。


『まあ外なら車なんて捨てるほどあるしね。それにその他の機械もたくさんあるわ。前回はあなたを襲うのに一台しか使わなかったけれど、今回は派手に暴走させまくるわよ!あなたを驚かせるには、必要なことだわ!』

 そして確信する。こいつがいっているのは、つまり……。

「……つまり、僕が外に出ていくと、外が大変なことになる、そう言いたいんだな?」

 車やその他のものをこいつが本気で暴れさせたら、前回の比ではないぐらい被害が出るだろう。死者だって出てもおかしくない。

「何さっきからごちゃごちゃいってるんですか!早く行きましょうよ!」

『バカ野郎!兄貴はよ、今、いうなれば町の人間全員を、人質に取られてるってことなんだよ!』

そう、トッコの言う通り。まさに人質。確実に死ぬわけではない。そして僕のせいで死んだとも思わないだろう。しかしこの場合、原因は確実に僕にある。

 そして知っているのだ、コイツは。僕が人を犠牲にしてまで生き延びるという決断をするほど、勇気を持っていないことも。

 すでにこちらは、完全に奴の掌で踊らされてるようだった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ