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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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滅びの黒龍戦 前編

 調査団を残し、山賊の拠点があった湖の北まで帰ってきた。道中はやはりモンスターを積極的に狩った。


 第1公子が送る援軍がどのルートを通るか分からないが、モンスターの数が少なくなって困る事は無い。


 それに幾ら雑魚とはいえ、俺に取ってはレベルアップするための経験値だ。公子に渡すのは惜しい。


「ご主人様、残念ながら追加の情報は得られませんでした」


「気にするな」


 サリスが申し訳無さそうに言う。


 山賊の拠点に俺達の後に誰か来たのか確認したかった。


 精霊は現在の情報を聞く分には良いのだが、過去の情報を聞くのは困難だ。


 10日以上前に自我を持ち、尚且つ拠点の近くで活動していた精霊など中々見つからない。サリスは近くに居る精霊に片っ端から情報を集めているが、当たりを引けるかは完全に運任せだ。


 サリスの呪いが解ければ、精霊を使役し、拠点を監視する様に命じる事も出来た。それに集まる情報もある程度検索出来る様になる。そうなれば、サリスの有用性は大いに増す。


 そもそも湖の北に来たのもサリスの解呪が狙いだった。そこにたまたま山賊の拠点があり、なし崩し的にクローディアと関わってしまった。


 この場所を選んだのも、人族とモンスターが大量にいる場所から遠いからだ。サリスは簡単に解呪出来ると思っている。解呪そのものは俺の《光魔法》で簡単に出来る。


 俺は罠の心配をしている。自爆系なら押さえ込める。自殺系なら治療する。されど、人目に付く所ではやりたくない。ポルルとニコルに見られるのは懸念材料だが、何事も全て思い通りにはいかないもの。


 湖のほとりで一晩休み、朝早くから行動を開始する。


「サリス、近くに面倒な存在はいないな?」


「いません」


「なら、呪いを解除する。何か感じたらすぐに言え!」


「分かりました」


 俺は《光魔法》に必要以上の力を入れて、解呪の呪文を唱える。


「リベレーション!」


 光の筋が俺の指先からサリスの奴隷紋に伸びる。


バチバチ


 火花の様な物が爆ぜる。


 間違いなく、何かおかしい。


 だが、ここでやめるわけにはいかない。


 俺は更に力を込める。


バキバキバキ


 何かを食い破る様な音がする。


「サリス?」


「大丈夫です。体には異常はありません」


 サリスも困惑しているが、直接影響は無いみたいだ。


バキィィン!


 轟音とともに、1条の黒いビームが奴隷紋から放出される。


 俺は咄嗟にかわす。


「ご主人様!」


「大丈夫だ。俺は無傷だ」


 そして背後から悪寒がした。


 振り返った俺の前には巨大な黒い塊があった。


「なんだ、これは?」


 俺は咄嗟に言う。


「闇……です」


 サリスも分からない。


 ポルルは臨戦態勢で拳を構えている。ニコルはただ震えている。


 闇が動く。


 それは塊では無く龍が丸まった姿だった。


「まさか、滅びの黒龍!」


 サリスが有り得ない、と言う顔で言う。


「サリス!」


 俺は説明を求める。


 こいつはやばい。


 贔屓目に見てもレッサードラゴン数百匹分の強さだ。


 完全に覚醒する前に、せめて正体でも分からないと勝てない!


「滅びの黒龍は2000年前に大陸を統一していた大帝国を一瞬にして滅ぼした存在です」


 これが!?


 俺も資料では読んだ事がある。


 南方にあった大帝国の首都を一撃で消滅させ、その余波で南方全部が砂漠化した。2000年経った今でも砂漠化したままだ。


 その後は破壊の限りを尽くし、20年経ったある日、勇者の一人が相打ちで倒したとされる。倒したのではなく封印した、という説もあった。どうやら封印説の方が正しかったみたいだ。


 魔王と戦う前に裏ボスが出て来たか。


「こいつは面倒だ」


「ご主人様、逃げてください! 私が時間を稼ぎます!」


「無駄だ。《ドラゴンスレイヤー》を見逃す事は有り得ない」


 この称号には苦労させられる。


 だが、3人娘を狙う前に俺を狙うはず。


 それだけが救いだ。


「グオォォォ!」


 黒龍が雄叫びをあげる。


 全長は超弩級戦艦3隻分と言ったところか。公国最大級のレッサードラゴンが豆粒にしか見えない。体は真っ黒だ。おそらく《闇魔法》で覆っているのだろう。体全体が闇で出来ている可能性もある。一回斬りつけたら分かるか。


 想定される攻撃は口からのブレスと体当たり。他にも常識外の攻撃が来ると思っておこう。


 勝ち筋は……無い! だが勝つ。勝たねばならない。


 妹が来る前に世界が滅んではまずい。《シスコン》の力、今こそ見せる時!


「サリス、精霊結界を3人に張れ!」


「ご主人様は!?」


 サリスは心配するも、瞬時に命令通りに動く。


 俺を信頼しての事。


 それに、この強敵相手に一瞬のミスも許されない。


「今晩の夕飯は黒蛇のさば焼きだ。ちょっと狩って来る!」


「主様、駄目!」


 ポルルが前に出ようとするが、結界に阻まれて動けない。


「ライ様、無理ですよぉ!」


 ニコルが泣きながら俺を心配している。


「大丈夫だ。まあ見ておけ」


 俺は何事も無い様に言う。


 実際は震えて立っているのもやっとだが、3人娘に格好悪い所は見せられない。


 黒龍はブレスを放つ体制に入った。チャージに少し時間がいるみたいだ。


 狙いは俺だ。


「サリス、結果は持つか?」


「持ちません」


 サリスは鎮痛の表情を浮かべて言う。


 最強絶対無敵の精霊結界でも無理か。


「そうか。なら俺に任せておけ」


 出来れば見せたくは無かった。


 最後まで人でありたかった。


「モォォォードォ! 《プゥロォォトゥ・ブゥレイヴァー》!!」


 俺の叫びが空気を震撼させ、大地を揺らす。


 声に出す必要は一切無かった。


 俺の心の中でけじめをつけるためだ。


 光り輝く鎧が体を覆う。ポルルとの戦いを経て、魔力を鎧の様に纏えないか考えていた。これがその答えだ。


 黒龍がもっとも嫌う属性。更に注意を引けるだろう。


 黒龍は勇者の存在を認めたのか、さらにチャージをする。


 どうやら全力のビームを俺に叩き込むつもりだ。


 俺は笑みを浮かべる。


「想定通りだ」


 広範囲ブレスは精霊結界で防げた。


 圧縮されたビームは防げない。


 俺でも防ごうと思えば原子の塵となる。


 それでも、最初の一手は俺の勝ちだ!


 さあ、始めるぞ黒龍!


 ここからは勇者のショータイムだ!

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