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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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奴隷商 前編

 次の2日は俺の方で業者に声を掛けたり、ニコルの案内で観光名所を回ったりした。これも情報収集の一環だ。レベル上げは屋敷が整ってから一月前後の遠征を敢行して上げる。白の者では無いが、急がば回れだ。


 人が多い場所を多く回ったのは新しいスキルに慣れるためだ。《スキル希少》は一度も反応しなかったが、残り二つの使い勝手は分かった。一瞬の油断が命取りになる実戦では使い辛いが、数秒掛けてスキルの有無を確認出来る余裕があるなら、相手が保有するスキルを大抵見抜ける。


 支払いを受け取る日になったので、早速商会に向かう。ニコルには来なくて良いと釘を刺しておいた。彼女にこれから行う事を余り見せたくない。


 公国なら当たり前の事なのだが、ニコルだって一つ間違えれば商品の側に回っていた。彼女の知っている顔が並ぶ可能性もある。


『結構大事にしているじゃない』


『夢を壊したく無いだけだ』


 夢からはいつか覚めるもの。しかし、死ぬまで夢を見続ける者もいる。俺は無理に起こす気は無い者だ。


 受付に行くと、書類と皮袋を渡された。総額420,000G。袋には差額の370,000Gが入っていた。


 魔法ワイバーンが高値で売れたみたいだ。


 当然、口止め料込み。


『ワイバーンロードだったのね』


『新種扱いだろう。モンスター辞典には載っていなかった』


 受付に促されて8番の扉に入る。どうやらここから奴隷商に行けるみたいだ。


「お待ちしておりました、ライ様! 私は支店長のイブゲスと申します」


「支店長自らとは痛み入る」


 フィネガンも支店長だったな。そうなると各部門に支店長がいるのか。あの受付だけが本店扱いで、扉を潜ると支店に入るのか。リスク分散のためか?


「当商会に取っては大事な取引相手。最高のお持て成しをするのは当然です」


 イブゲスに案内されて高そうなソファーに座る。テーブルには高そうなワインや珍しい食材が並んでいる。


『これは凄いね』


『買えと言う無言のプレッシャー付きだがな』


『ニコルは外して良かったね』


『ああ』


 俺は半裸の女性が注いだワイングラスを手に取り、軽く飲む。


『毒とかは無いみたいだよ』


『上客である限り、変な真似はするまい』


 この時点から勝負が始まっているのか。これは気を引き締めないと稼ぎを全部持っていかれる。


 剣一本で斬り抜けられない場は面倒だ。何か交渉に役立つスキルを取るか? まずは様子見だ。


 最初に入って来た女性陣は20歳から30歳弱だった。愛玩用にしては歳を取っている気がする。見た目は素晴らしいが、俺の興味を引く者はいない。


「こちらは皆、血統が良い産経婦の奴隷となっております」


 イブゲスが解説する。


 なるほど。まずはこのタイプか。


 死が近い世界だ。


 子供を残すの重要だ。


 王や上級貴族になると最重要課題だ。俺が生かされたもそのおかげだ。


 生んだ実績がある女性は好まれる。


 貴族相手の初手としては100点だ。


 俺は普通の貴族では無い。故に0点だ。


 おかげで頭が少し冷えた。


 気付かない内に雰囲気に飲まれていたか。


 灯りや部屋の模様を含め、部屋全体が購入意欲をそそる様に作られているのだろう。まさしく巧みの技だ。《精神耐性》スキルが手に入ったのは上々か。


「まだ子を作る気は無い。次を頼む」


 俺は無碍も無く断る。


 イブゲスは事務的に対応する。この段階で思う事は無いだろう。


 「次は血統が良い処女の奴隷となっております」


 こっちは10代後半から20代前半だ。


 処女信仰は王国を含めた北方には無い。文献では勇者は処女が好きとなっている。現在5歳から10歳の子は勇者のために仕込まれている、と見るべきか。


 「如何でしょう」


 「悪くは無い。何が出来る? 綺麗なだけの女性は求めていない」


 多少興味がある素振りを見せる。イブゲスはしっかりと食い付いた。


 一頻り説明を聞く。


 政争に敗れた帝国の伯爵家の娘。歌姫として活躍していたが実家が商売に失敗した男爵家の庶子。この二人は多少気になった。


 他の女性も似たり寄ったりだ。しかし、全部を養う気は無い。


 二人は後でもう一度見せて貰う事にして、とにかく次の一団を見せて貰った。


 血統不明の綺麗所、娼婦落ち前提の女性、見た目が綺麗では無い女性。色々見せられた。最後のは貴族にはブス専がいるためだ。


 俺の妹の可愛さの前では全員普通以下なのは言うまでも無い。


 血統の良い男も一通り見たが、野心を持つやつか抜け殻しかいなかったので遠慮しておいた。もうちょっと身を固めた後なら、野心持ちは抱え込めるかもしれない。


 イブゲスが売りつけたい奴隷ラッシュが終わったので、俺の方から希望を伝える事にした。


「新市街に屋敷を買ったのだ。任せられるスタッフはいるか?」


「少々お待ちください。すぐに準備してまいります」


 イブゲスがいそいそと出て行った。


 準備と同時に次の手を打つのだろう。


 100人弱で候補が2人。


 さぞ胃が痛いだろう。


 屋敷のスタッフで金を落とせば、イブゲスとしても多少気を良くする。そうしたらイブゲスが出し渋る奴隷も見せて貰える。

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