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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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妖精

『信じられない! なんて地獄に永久就職したのかしら!』


 何処かのブラック企業に入社した様に羽虫がのた打ち回る。


「MPの支払いはちゃんとしているだろう?」


 羽虫に寄生されて数日、俺はちゃんと契約を尊守している。定期的に襲ってくるモンスター相手にも油断無く相対し、危なげなく勝っている。


『そういう問題じゃない!』


 俺はこの世の理に反する存在らしく、門以外にも用途不明なパーツが多く埋まっている。最初は霊脈が余りにもズタズタだったため気付けなかったらしい。


「どうしてもと言うのなら、契約解除するが?」


『出来ないのを知って言ってるのね! この外道が!』


 俺のせいでは無い。羽虫は俺の中で作業していたらブラッドフェアリーなるレア妖精にクラスチェンジした。血液に寄生するのに特化していて、外での活動能力が大幅に減じている。民間伝承では悪魔の使いと言われる存在で、これには流石の羽虫もショックを受けていた。


 白髪赤眼と血の妖精。見た目だけなら弁解不可能なほどの悪魔コンビだ。その正体がシスコンと羽虫だとは誰も思うまい。


「体の調子が良くなるなら、俺は気にしない」


『きぃぃぃ!』


 そんな取り留めない話をしながら数日が経った。体の当面の危機は去った。


 そこで、忙しくて放置した問題に立ち返った。


「ライが死んで即アンデッド化した理由があるのか」


 ライのアンデッド化の件はやはり異常だ。羽虫の知識では、死んですぐにアンデッドにはならない。


 俺が確認した限り、ライの護衛の死体はまだ暖かかった。時間的に、死後2時間を越える事は無い。


『この用途不明のパーツとその白髪が生来の物と仮定するなら』


 羽虫には俺が異世界から来た事は既に伝えた。隠し立てする程の事では無い。一般にばれたらばれたで対応出来る。そのためにここで修行している。


 羽虫の考えでは、ライは一度死に掛けた。それも母の腹の中にいる状態で。死ぬはずが何らかの理由で故意にギリギリ生かされた。


「豚が何かしたのか?」


 ライの考えではそうとしか思えなかった。《復讐者》の称号が一層強く復讐を叫ぶ。俺はその想いを無視し、当面の事を優先する。


『指向性のある生命強奪、更には死なない程度に生かすなんて赤ん坊には無理だよ』


 羽虫がもっともな事を言う。しかし、俺は反証を知っている。羽虫そのものだ。


『私だって無理だよ!』


 必至に弁明する所が怪しい。しかし羽虫の言っている事も一理ある。


「心当たりは?」


『魔虫の変種とか?』


 寄生虫の一種か? 王国に生息していると聞いた事があるが、こんな大それた事を出来る変種は初耳だ。公国には大きな図書館がある。そこで調査だ。


「用途不明のパーツは?」


『全部取り外している最中だよ。一月はかかる』


「分かった」


 現在は動いていないが、以前は擬似的な生命維持装置の役割を果たしていたらしい。羽虫の考えでは、赤ん坊時代が終わると同時に機能停止し、そのまま体の中にパーツが残された状態だった。


 皮肉な事だ。俺は赤ん坊時代が終わると同時に一種のアンデッドになっていた。もちろん、見た目は人間そのもので、検査しても異常は出なかった。動く死体ならぬ、生きている死体だ。


 実際に死んだら、長く死んでいただけあって、即アンデッドになった。パーツを再起動すれば、また生きた死体に戻れるかもしれない。


 羽虫と言う代役がいる今、不要だ。


 豚に即仕掛けないで良かった。ただの人間なら、負ける要素は無い。勇者システムで底上げしたステータスなら真っ向勝負で勝てる。しかし、決戦時に外部から生命時装置を止められては堪らない。


 この様な常識外の切り札があるなら、勝てる戦いも負ける可能性がある。殺し切れなければ、政治的に死ぬ。なら、殺す機会は一回。しくじる事は出来ない。


 豚は試作勇者か? 胎児の状態から行動出来るなら有り得る。しかし、それだと今の無能を説明出来ない。


 最悪のケースを想定だ。底辺中学生が王国最強の伯爵家の嫡男として転生。我侭し放題で腐った。そして余りの無能に育ったから廃嫡の危機に。


 有り得ない。豚でも勇者システムを使って、簡単に現状を引っ繰り返せる。ポイントが残っていないなら、金と権力をかさにパワーレベリング出来る。


 今は豚が試作勇者では無い可能性が限り無く高いと分かっただけで満足しておく。豚が何であろうと、圧倒的な力で叩き潰す。


 俺は決意を新たに、強い敵を求めて更に奥に進む。

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