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至高の弟子は召使い  作者: 十川アオイ
森を抜けて
8/9

出来れば無双したい…

至高の魔女の召使いリヴは、転移先に居たものを見て、嫌悪感をあからさまにして、死んだような目をした。


巨大な二足歩行の大豚(オーク)が数体、突然現れたリヴに、警戒心は微塵もない…寧ろ、歓喜している様子で、掴み掛かろうしてきた。


体臭か口臭か、酷い臭いがする。下半身の一物が勃っているのは、見たくなかった。冷静に状況分析してしまった自分を、小一時間責めたい。


正直、気持ち悪いの一言であり、思わず目の前のオークを蹴り飛ばした。華奢な体躯のリヴに蹴り飛ばされたにも関わらず、オークの巨体は宙に浮き、軽く3メートルは吹っ飛び、地面に落ちた時の打ち所が悪かったのか、そのまま動かなくなった。


仲間を殺られて、オーク達は警戒…することも無く、我先にとリヴに襲い掛かった。知能が低い為、か弱そうな外見だから、勝てると思っているのだ。一体殺られたくらい気にしない。実際、負けたことは殆んどない。


だから、規格外の相手(リヴ)が目の前に現れても、気が付けなかった。


リヴは冷静に、攻撃魔法の魔法文(マギカ)を書きあげる。


ゴウッ!と爆発するように燃え上がるオーク達。瞬く間に燃え尽きたオーク達を後目に、リヴはすたすたと歩き出す。


どうやら、オークの巣にいるようだ。否、大きさから言って、巨大種のオーク(ジャイアントオーク)と言った所か。まぁ、違うのは大きさだけ(・・)で、普通のオークと変わらない(・・・・・)から問題ない(・・・・)


余談だが、一般的なオークがE級、ジャイアントオーク単体がA級、ジャイアントオークの一群はS級である。

普通のオークとジャイアントオークに、天と地ほどの階級差がある事に、物申したい人間は此処に居ない。


そんな事は、露知らず…リヴは別の問題に頭を悩ませていた。


オークの類いは、例え異性の格好をしていようとも、本来の性別を見抜くという。オークは雄しか生まれない為、一人でも多くの人類種の雌が必要だからだ。

目的は言わずもなが、子供を産ませる為である。


そう、聞いた事があった。ならば何故、ジャイアントオークは興奮しながら、自分(リヴ)に襲い掛かってきたのだろうか?


リヴは体も心も男である。服装がメイド服なだけで。

なのに、性的な意味で襲われそうになった。これは明らかに女性と思われていたという事だ。

襲われそうになった事もショックだが、性別を判別出来るものに、性別を間違えられた事もショックである。




「いやぁああああっっ!!」




叫び声が聞こえた。


まさか、ジャイアントオークの巣のど真ん中に、他に人が居るのか?

リヴは駆け出す。叫び声は女性のものだった。


悲鳴が木霊する洞窟に飛び込むと、身重の女がジャイアントオークに足を掴まれ、胸元の服を引き裂かれていた。


女に覆い被さり、事をなそうとしているジャイアントオークに、リヴは即座に飛び蹴りを食らわせる。

ジャイアントオークは洞窟の奥に吹っ飛んだ。


襲われていた女は、状況についていけなかったらしく、ぽかんとしている。


「まったく…身重の女性に暴行なんて、非道極まりないですね。地獄に堕ちやがれ、です」


リヴは良い事をした!と、清々しい笑顔で、かいてもいない汗を拭ってみせた。


「大丈夫ですか?」


リヴは何処からともなく毛布を取り出して、女性の肩に掛けて、服が破られ露出した肌を隠してやる。

リヴがメイド服の胸元に着けているブローチは、至高の魔女お手製の魔道具なのである。機能として、『万能収納』や『防御結界術式』等に加えて、『盗難防止機能』も付いている。その内の『万能収納』から、毛布を取り出したのだ。


「あ、ありがとう…」


まだ困惑しているのか、女性は上の空で礼を言った。

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