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至高の弟子は召使い  作者: 十川アオイ
魔女の遺産
7/9

『罰するくらいは出来る』と、告げたクレハを全員が見る。


「…実はな、知られていないが、私はとある国の皇族なんだ」


「………え?」


フランシアはキョトンとした。


「待て。俺も初耳なんだが!」


「なんてこった…」


弟子時代に兄弟子として扱きまくった思い出が、走馬灯の如くフラッシュバックした一番弟子と二番弟子。


「此処から東に行った果て、地図に記せない程小さな国だが、この国とは国交がある。私が魔女に弟子入りした時からな。白夜(ハクヤ)皇国という」


「白夜皇国?皇族…?そんな…」


「私は白夜皇国セキサキ皇王が一子、クレハ。魔女の弟子の中で、一番権力が有ると自負している」


「そんな!」


「まぁ、私は権力争いが苦手で逃げ出してきたのだが。ヴァーニャ兄。正式な書面にするから、国王に渡してくれるか」


「国王陛下に!?止めて!わ、わたくしの家が!お父様に殺される!!」


魔女にお仕置きをされて以来、国王は魔女に頭が上がらない。それ所か、国を何度も救ってくれた魔女に、絶対の信頼を寄せていた。


貴族なら、たかが召使い一人と捨て置く罪だが、魔女をリスペクトする国王に知られたら、軽い罪でもさじ加減一つで重くなる。


『使用人は、雇用主の財産・・である。誘拐・殺人は窃盗・損壊罪に該当する。但し、誘拐・殺人の罪に問われている場合は、これに該当しない』


そんな法が、この国にある。まともな人間なら、殺人なら殺人の罪で裁かれる。だが、貴族にとっては、召使いなんて使い捨ての道具なのだ。使用人(道具)殺した(壊した)くらいで、殺人などと言われるのはお門違いなのだ。


『壊れたなら、新しいのを買えば良い』


それが貴族の本音である。


だが、今回はそうもいかない。召使いは召使いでも、至高の魔女の召使いである。無駄にハイスペックな人材である。財産の損壊罪として裁かれても、重いものになるだろう。


また、国王の不信を買うのは目に見えている。信用ががた落ちし、ローゼン家の威光を損ねるなんて事になれば、今度はフランシア自身がジャイアントオークの餌食になるかもしれない。実際、平民の子供を身籠った姉が、ジャイアントオークの巣に捨てられたばかりだ。


「財産なんて!あれは下賤な召使いよ!魔女の後ろ楯もない生意気なだけの…後ろ楯が、ない…?」


「あら、気が付いたの?貴女は根本的な事を間違えてるものねー?」


「そうか!現在、召使いに主人は居ない。再雇用もされてない!損壊罪では済まされないぞ!」


「それが…何よ?平民なんて…死んでも、お父様に言えば、揉み消して…」


「まだ、揉み消せると、思ってるの?」


「い、いや…いやぁああああぁあっっ!!」


ルシアの一言で、フランシアは絶望して、泣き崩れた。




フランシアを軍の憲兵に預け、四人は魔女の家に戻ってきた。


「ルシア、先生の家を丸ごと凍らせておけるか?クレハはその間に結界の魔道具を解除する」


「ん。先生が腐ったら悲しい」


「ああ…これか。この魔道具なら、3日あれば何とかなりそうだ」


「じゃあ、私は葬儀の準備をしておくわ。ヴァーニャはどうするのー?」


「国王の所に行ってくる。…来る時、半ば放置してきた」


ああ、これから説教か…と、三人が憐れみの目で、イヴァンを見た。


「で、どうする?召使いは助けに行くのか?」


「必要ない、気がする…」


「そうねー。でも、犯されそうになって、怖がってるかもしれないから、迎えは寄越した方が良いんじゃなーい?」


コロコロ笑うオートリィに、三人は苦笑いした。


「犯されそうにって…お前…」


「確かに有り得そうだが…いや、そうなったら二重にショックだろう?あの子は…」


「可愛いは正義。時に罪」


「誰が上手いこと言えと」


「何にしろ、ジャイアントオークの巣は、早めに潰してもらえ」


「それも、必要ない、気がする…」


「念の為だ」


結論、助けに行く必要はないだろうが、ジャイアントオークは殲滅隊を出そう。ついでに捜索もしてもらおう。


「まぁ、大丈夫だろう。あの子はハイスペックだし、可憐な外観をしてるが…」














男なんだし。

次から、召使い視点です!

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