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至高の弟子は召使い  作者: 十川アオイ
魔女の遺産
5/9

魔女の弟子は、魔女が認めている者だけでも、16人居る。


少し弟子入りして去った者は、魔女の記憶から削除された為、実際に何人居たのかは分かっていない。至高の魔女の弟子という箔が付く為、元弟子達(体験組)は未だに弟子を名乗っているのだが。


弟子の中でも、一番弟子と二番弟子は破格。三番弟子から七番弟子も格別の魔法使いである。

何故なら、この七人は才能を見込んで、魔女が直々に選んだからだ。


この七人は総じて、『至高の七弟子』と呼ばれている。


それ以外は権力や財力で、無理矢理捩じ込んできた弟子が大半だ。

そんな中でフランシアは、権力で弟子になった者に該当する。


魔女()に敬意を払わず、我が物顔で秘術を教えろ命令して、魔女にお仕置きを食らったり、召使いを扱き使って、七弟子にタコ殴りにされたり、好き勝手やっては痛い目をみる弟子だった。


それでも辞めずに居残っているので、根性と学びたいという意志はあるのかもしれない。




フランシアは兎に角、召使いが気に入らなかった。


召使いのくせに、魔女には我が子のように大事にされ、七弟子には可愛がられていた。ちやほやされるべきなのは自分なのに!と、フランシアは歯噛みして悔しがった。


命令すれば、何でも熟してしまうのも、気に食わなかった。

無理な事を頼むと、今度はきっぱり断ってくる。その際は、どんなに権力で脅しても、首を縦に振らない。それも気に入らなかった。


だから、魔女が亡くなり、後ろ楯が無くなった召使いなら、ローゼン家の権力を恐れて、どんな命令も聞かざるを得ないだろう。そう思ったのに…



「越権行為に屈する気はございません」



毅然とした態度で、召使いは言い放った。


頭に血が昇った。こんな生意気な召使いには、お仕置きをしてやらねば…と、死より恐ろしい目に遇わせてやろうと、召使いをある場所に転移させた。


S級魔物の銀色大狼(フェンリル)が居ると、噂になった森。しかし、銀色大狼を捕獲しようとした冒険者達が、ジャイアントオークの巣があるのを発見して、立ち入り禁止になった。


ジャイアントオークは一体ならA級だが、数十体も居る巣をとなると、SS級に格上げされるらしく、殲滅隊が編成され、現地に向かうまで放置されているのだ。更に人里から離れていて、放っておいても犠牲者が出ない為、後回しにされて数年経っている。


一部の貴族が私欲の為に、死刑場(・・・)にしているとも知らずに。


男なら生きたまま食い殺し、女なら死ぬまで犯し続けるジャイアントオークの生態を利用した死刑…いや、私刑に適した場所である。死体は残らないし、助けようとする人間は皆無。逃げ出せる人間も皆無である。



フランシアはそのジャイアントオークの巣に、召使いを転移させたのである。


「女の純潔を散らして、魔物の子を孕めば良いわ!」


フランシアは高笑いして、満足そうに玄関を入ろうとして…弾かれた。

扉は開いている。召使いが出てきた際、開けたままで立っていたからだ。


扉に触れようとして、また弾かれた。入れない。


「何なの!?」


試行錯誤している内に、他の弟子達も集まってきた。協力して中に入ろうとしたが、全て無駄だった。


どうやら、強力な結界が張ってあるらしい。いつからかは分からないが、召使いが出てこれたのだから、恐らくその後だろう。


「召使いなら通れたりして…」


弟子の一人が呟いた。確かに召使いには、弟子にない特権がある。家事を行う為、結界を素通り出来る鍵を持っていたのだ。


「取り上げておけば良かったわ…」


フランシアは一人呟いた。


そうこうしている内に、七弟子の二人がやって来た。推測が当たっていたのか、召使いを探し始める。


そして、問答の末、フランシアは七弟子の二人に拘束されていた。

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