表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
至高の弟子は召使い  作者: 十川アオイ
魔女の遺産
2/9

割と早めに続き書けた気がする。

けど、書き方がいまいち把握出来ない…

うん、頑張ります!(空元気)


魔女が亡くなった直後、ブウン…と低い羽音のような音が聞こえた。確か、結界の魔道具が発動する際の起動音だったか。


(いえ、今はそんなことより、魔女様の訃報をお知らせしなければ…)


召使いはふらふらと立ち上がり、遠くの相手に通信出来る魔道具で、一番弟子のイヴァンに連絡を取った。


『はい。此方、イヴァンです。久し振りですね、先生』


緊張した、けれど嬉しそうなイヴァンの声に、召使いはグッと胸が締め上げられる。


「…いえ。私です…」


『…ああ!リヴか。吃驚したよ。先生のお加減はどうだい?』


「っ!」


(ああ…泣いては駄目です。ちゃんと…ちゃんと伝えなければ…)


「魔女様は…先程お亡くなりになりました…」


『………え?』


「イヴァン様は国王陛下に御連絡を。葬儀の手続きもお願いします…」


『ま、待ってくれ!亡くなった?先生が!?』


「私は…遺品の整理を………します…」


一瞬気が遠くなり、ふらついて座り込む。鏡に映った自分の顔は、まるで幽鬼のように血の気がなく、蒼白で弱々しかった。


『リヴ!大丈夫か!?』


「私は…大丈夫です……大丈夫……ですからっ…」


堰を切ったように溢れた涙。けれど、召使いたとしての矜持が、それを悟らせまいとする。


『直ぐにそちらに向かうから!』


「…分かりました」


お客様(イヴァン様)が来る…。そうだ。出迎えの用意をしなければ…魔女様も綺麗に化粧をしてさしあげましょう…)


仕事を優先させる事で感情を誤魔化し、一度部屋から出て、湯を沸かす為に台所に向かう。暫くして、ガンガンと扉を叩く音が聞こえてきた。


(イヴァン様?少し早過ぎる気もしますが…)


玄関の扉を開けると、


「召使い!先生を呼んできなさい!」


其処に居たのは、弟子のフランシアだった。貴族の子女で、魔法の才能はあるのに努力を嫌い、『基礎習練は飽きた。それより秘術を教えてくれ』と強請る弟子の一人だ。


「魔女様は、お亡くなりになりました」


「はぁ?亡くなった?…まだ秘術習ってないのに!」


死を嘆くよりも、冥福を祈るよりも先に、言う言葉がそれなのか…と、召使いは目眩を覚えた。


「ふん…まぁ、良いわ!先生がくたばったのなら、その遺産はわたくし達弟子の物。さぁ、召使い!先ずは書庫に案内なさい!」


「お断りします」


何故、恩師が亡くなったというのに、そんな事を言えるのだろう。理解が出来ない。否、理解したくもない。


「なっ…召使いの分際で断るなんて!わたくしはローゼン家の娘なのよ!?たかが魔女の召使いの首なんて、撥ねるのは簡単なんだから!黙って従いなさい!」


「越権行為に屈する気はございません」


それ以前に、主人を侮辱する者に傅くなど、召使いには有り得ない。


「随分強気じゃない。飼い主が死んだ召使い(イヌ)なんか、誰も庇ってくれやしないわよ!」


フランシアがニタリと歪んだ笑みを浮かべ、空中に魔力をインク代わりにして、魔法文字(マギスペル)を綴り出す。その文字で書き出された魔法文(マギカ)を、側で至高の魔女の魔法を見続けてきた召使いは理解出来た。


転移の魔法文(マギカ)。一応、消費されるであろう魔力量や彼女の技術力から、転移先を計算してみるが、危険な場所ではないようだ。


ならば、良いか…と、召使いは受け入れる事にした。

遺言に従うならば、屋敷にある遺産(もの)は、全て召使い()に相続された事になる。つまり、所有者以外には扱えないようにしてある諸々は、弟子や他人が手に入れた所で、無用の長物でしかない。


所有者である召使いを通して、間接的にしか扱えないのだ。逆に言えば、召使いをどうにか出来れば、魔女の遺産が全て手に入ると言っていい。


フランシアの言う通り、主人を喪った今の召使いに、後ろ楯は無い。だから、傲慢で強欲な弟子に遺産を相続した事を知られる前に、何処か遠くに行きたいと思った。転移で飛ばしてくれるなら、寧ろ都合が良い。


(残念なのは、距離的に魔女様の葬儀には出られない事でしょうか…)


転移の魔法が発動し、魔法文(マギカ)が閃光を迸らせた。

数秒後、閃光が消えたその場所に、召使いの姿は無かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ