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即席小説

孤独の階段

作者: エントラル

これは作者が友達がいないときに、他の友達が仲良く話しているのを見て心の中で想像した構図です。今でも孤独を感じたときにこれを想像すると泣きそうになります。


尚、個人的な意見を形にしているのであまり言及しないで下さい。

私は一人で階段を上がる。誰にも助けられることなく。


目の前に立ちはだかるは無限に続くかに思われる上へとつづく螺旋階段。所どころには大きな段差もあってショートカットも出来る。(一体どんな構造かって?それは読者が想像して下さい)


でも私にはそれが出来ない。


なぜならその段差は一人では向こうに手が届くことすらままならないほど、高いものだから……。


それこそ、仲間がいなければ……上がれない。


だから私は地道に上っていくしか方法がない。


一歩一歩上へ……休憩を繰り返しながら……。





そんなとき、私は同じように階段を上がる人を見た。私のいる場所よりも下から来たのだから、上り始めたときは恐らく私よりは遅いだろう。


何故それが分かるのか?


それは私が他の人を追い越したことが一度としてなかったからだ。


逆に……。


その人は一人ではなかった。何人もの仲間を連れて、お互いに話し掛けて励まし合いながら……。


私は一人で階段の段差の上で休む。一人で昇ってきたのだ。たまには休みたい。誰にも助けられることのなく、一人で昇ってきたから。


その間にその仲間達は私の傍を通り過ぎる。挨拶とちょっとした会話を交わしたが、それきりですぐに先へと進んでいく。


私はそれを見送った。そして彼らは私の上る階段とは少し外れた場所に向かう。


それは私一人では登れない高い段差だった。


彼らの歩みが当然止まる。段差なのだから。しかし、そこからは私のように諦めたりしない。


彼らは協力して肩車になり、段差に向かっていった。すると上の階に彼らの手が届き、あっという間に上にいた一人が段差に乗ることに成功した。


そして彼らは同じようにして一人、また一人と手を取り合い段差を乗り越えていく。最後の一人は持参していた長いロープでみんなの協力の元、引っ張り上げられていった。


こうして彼らはショートカットに成功した。彼らの姿は階段を支える支柱の陰に隠れてすぐに見えなくなった。


だが、私は追い越され一人にされる。残ったのは私だけ。


私は他の人を追い越したことが一度としてない。


しかし逆に追い越されることは幾らでもあった。こうした仲間を連れた集団に……呆気なく。


私は立ち上がった。


休憩は終わり。私も先に行かなければいけない。頑張らないと。


そうして低い段差という名の階段を黙々と上がっていく。目の前を通り過ぎた彼らには追いつくことなど出来ないだろう。それでも。


私は階段を上る。


彼らのように追い越していく人たちを横目に、寂しく眺めながら……。ずっと。

自分だけの仲間が欲しい。そんな欲求が渦巻いている短編小説でした。


孤独を感じると、作者はこんな小説を書きます。ストレス解消法の中の昇華という方法ですね。

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