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施工

 今日から柵造りの作業開始だ。その日も勤労意欲に溢れる私は朝から起きて準備を始めた。まずは作業内容をもう一度確認するところから。

 前日までに考えていた事だが、策作りは畑の拡張もかねて少し広めに作る事にする。その拡張予定も含めた作業ラインをまずは実際に見ながら、地面に枝で線を引いて確定させていく。


 家の周りは必要分以外は木が立っているので、拡張に合わせてそのあたりも伐採が必要だろう。

 一通りの目印と伐採予定に入る木を確認する。


 次に柵の作成に必要な木材の量の概算を出す。柵自体作りは獣が入れないようにする事だ。柵の形状を思い浮かべながら材料の加工方法と材料数を出す。

柵の造りに関してはこの間親方に助言を貰ったのでそれを基に作ることにした。

ある程度準備がまとまったところで作業を始める。


 初日は木の伐採から始める事にする。邪魔な木を片端から伐採して行く。慣れた作業なので斧を担いで猛スピードで片づけていく。一応伐採したものは材料として使う予定なので邪魔にならない場所に積んでおく。最終使えなくても薪やら増築やら使い道はいろいろあるだろう。

 初日は結構な勢いでやったので伐採は終了した。日はまだ少しあるが流石に張り切りすぎたせいで疲れたのでここまでときりよく作業を終了した。



 翌日は堀づくりである。シャベルとツルハシを駆使して少し深めに柵の外側になる処を掘り進める。掻き出した土は柵を打ち込む内側に積んで高くする。

 これで高低差ができるし更に親友し辛くなるだろう。

 案外始めるとこの作業も楽しくて、気が付くと夕方になっていた。一日ではさすがに終わらなかったがそれでもあと数日で穴掘り作業が終わるだろう。

 今日もいい汗を掻いた。



「さーて今日も頑張るぞー」


 堀の作成がひと段落、次は本命の柵作りに取り掛かる。今回は木材を杭状にしてそれを組み合わせた形状にするつもりだ。

 そのため初日に切り倒した木の他に必要分の木の伐採作業に入る。大まかな数は概算で出していたのだ足りない分を取りに森へ行く。


この作業も採取場所を近場と決めていたので割と早く作業が終わった。


「さてここからが本番かな、まずは木の加工から初めてかないと」


 丸太の先を削ったり埋め込みやすいように加工して、打ち付けるようにして打ち立てていく。

 その作業を一工程ずつ順番に纏めてやっていくのだがこれが結構手間暇かかり時間がかかった。

 結構集中して作業ができていた筈なのだが、慣れない分の作業が原因でどうしても手間取ってしまう。

 なあそれでも結構いい感じに仕上がってきた。

 最後に出入り口で材料の数を調整して完成だ。


 完成後に見て回ってぐらつきやらが無いことも確認できたので、柵については完成だろう。

 ここまでで予定していた日数を使い切ってしまったので本来出入り口が開いたままの状態になるはずだったのだが。


「幼女よ、門が出来上がったぞ」


警備員がそういって報告にきた。初日の方から顔を出し出来上がり予定の話をしたら入口は任せろと手伝いに入ってきた。


「ありがと、しかしよくあんな本格的なもの作れたな」


 途中経過はちょくちょく目にしているので、完成品を見ていないが仰々しい感じのものが仕上がっているのは予想できる。

 本職は狩人かと思っていたのだが恐ろしい才能だ。本人の自宅は洞窟を利用したもっと簡素なものだというのに。


「俺による幼女の為の門だ。ちゃんと幼女の言っていた”柵”に合わせた造りにしてある」


 自分の伝統ある形式の門だといっていたが、見たことの無い様式だ。いったいどんな遠くから来たのやら。

 それはさておき予定日を目一杯つかってなんとか完成にたどり着いた。


 風雨に晒されると脆い部分が出てくるかもしれないが都度修復する事で今回は良しとした。これなら出費覚悟で手伝いを呼んだ方が良かったかもしれない。

 時間か金銭かといった比較問題だったが、もう少し懐が暖かければ選択の余地があったのに。何はともあれ一応の害獣対策が出来た。


 出来れば家の方も外壁やらに手を加えたかったのだが、また今度の機会になるだろう。今以上の強化になると壁の二重化や煉瓦か石造りを導入しなければならない。今回の手間暇を考えるとさらに時間がかかりそうなので、当分先になりそうなのだが。


 明日からは荒らされた分の畑の手入れや通路用の場所の手入れなりなんなりでりまた忙しくなるだろう。


「さて、手伝ってくれたんだ。今日はご馳走するぞ」


「労働の後の幼女の手料理か、なんという嗜好か!!」


 やはりこのまま追い出すべきだったろうか・・・。

 でもあれだけの手伝いをして貰ってそれは余りにも酷い気もする。常識が色々邪魔をして困ったものだ。


「畑には今度何を植えようかな」


 そんな事を口に出しながら食事の準備をしに家に向かった。

アルシェ「いい出来に仕上がったでしょ?」

警備員「なあ、これって・・・」

アルシェ「なに?」

警備員「柵っていうより、砦の防壁でよく見るやつだよな」

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