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物置で埃を被っていた伝説(偽)の剣

 食事も終わったので手早く片付けて、物置になっている部屋を探す。

 一応は整理しているので、程なく目的の物を見つけた。


 幼女以外には厳しい呪いの剣。

 まあ、苦労するのはアレなので全く困らないのだが、そのまま渡すと直ぐとって返して文句を言われそうだからどうしたものか。


「警備員?」


「呼んだか幼女よ?」


 ぼそりと言っただけだが、背後から声がしたので、手に持った剣を抜き放って切り付ける。

 まあ予想通りだが居ると思った所には居なく空振りして、勢い余って棚とそこに収めてあった物が切れた。


「やはり、この変態も早めに駆除しないとな...」


「何?駆除しなければいけない変態がいるのか、それは大変だ。どこのどいつだ?」


などといつ間にか横に立って供述しているので変質者を指をさして示してやった。


「???意味が解らないが、他人を指さしてはいけないな幼女よ。紳士だったから良かったが、これが冒険者などであれば襲って来るかもしれん」


 やはり変態だけあって何を言っても理解しないらしい。

 どうにかしたいものだ。


「まあその辺りはおいおい考えるとして、あの勇者にこの剣を渡すんだけど呪われてるからね。返品と苦情が入らないようにするにはどうしたらいいかな?」


 どうもアレはこの変態と何か同じモノを持っているようで、いろいろ理解している節がある。

 思いつかないのだから、変態の専門家に助言を貰うのが速そうだ。


「何やらゾクゾクする視線を感じるが、そういう事なら喜んで幼女に助言しよう。まず一つ、あれはその武器その物よりも端的に幼女を手に入れたがっている」


「ああ、言動からして頭がオカシイオカシイとは思ってたけどやっぱりそういう話の流れだったのか」


「うむ、説明するのが難しいがアレは自分が英雄譚に出てくるような英雄で神に選ばれたのだと思い込んでいる。そこから派生して、世界は自分の思う通りになると思ってるんだろうな。だからこそ自分が手元に欲しいと思ったものは、何かしらの過程があるとしても必ず手に入るとそういった考えをもってるんだろうよ」


「うむ?」


「予言という事である程度誘導もされているんだろうが、ここに来てからもなんだかんだと自分の思う通りにこれまで進んだから余計に現実が解っていない。性質が悪い事にそこそこ腕もあるから、障害らしい障害がなかったんだろうな。そんな中で幼女に目をつけ、これは自分の手に入ると思った訳だ」


なんというか、思った以上に残念な頭だったようだ。

しかし、変態とはいえコレにそこそこの腕と言わせるとは腕力はともかく本格的な争いになると勝てないとかになるのかね。


「まあ、厄介ではあるが頭は悪いからなんとかなるだろう」


「そうそう、そこが大事だ」


「ふむ、一番簡単なのは手紙でも添えて誰かにわたしてもらえばいい」


「渡すだけじゃ諦めないんじゃ?警備員の言うような性格なら」


「ああ、それを作る過程で命を込めたから死んだとでもしておけばいい」


「いくらなんでもそんなんで誤魔化せるの?子供じゃないんだからさ......」


いやいや、今のご時世子供でもよっぽど騙せない。考える事を知らない幼児ぐらいだろうそんなの信じるのは。


「それに、遺体が見たいとか言われたらどうするんだよ。すぐばれるだろ」


「なら、少し設定を変えてそれを作る仕上げとして材料の一部になったとでも言うか。合わせて、呪いの部分の不都合はやがて使いこなせるようになりその時は改めて剣の精霊として仕える事ができると」


「なんだそれは、いやいやどう考えてもそんな三流喜劇にも無さそうな話じゃ言い包めれないだろ」


「うむ、しかしアレは『特別』な事であればかなり粗のある話でも鵜呑みにするぞ。なんせ自身が特別だと信じ切っているんだからな。有り得ない与太話のような話でも自分が特別だからあり得るのだと」


「.........。うん任せていいかな?頭が痛くなってきた」


「そうさな、幼女の頼みだこちらで処理しておこう。一応ギルド経由で話をしておく、何事もリアリティがあった方がいいからな」


 なにやら黒い笑みを浮かべているが、どうでもいい。私の日常にあんなものと関わる無駄な時間は無いわけだし。

 警備員ならなんだかんだと、上手くやるだろう。変態だがそういった能力は高いと思うし。

 いざという時の為に毒薬かなにかをスフィアさんに調合しておいてもらおう、変態対策にもなるし無駄にはならないだろう。

 今日はもう彫刻でも彫って癒されようっと。


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