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規制と保護区

更新が大分伸び伸びになり申し訳なかったです。

諸事情等ありましたが、ちょっとペースを落としてですが更新していきますので

宜しくお願いします。

 訪ねてきた警備員は相変わらず仕留めた獲物を差し入れに持ってきていた。


「これで数日分はあるだろう幼女よ」


 子狼から、青年狼ぐらいに成長したシルクが食べるのでいつもより食事の減りが早い。

 その為警備員の差し入れ頻度も前より確実に上がって、家でご飯を食べていく頻度もなし崩し的に増えた。


「血抜きは終わってるだろうから、冷蔵倉庫に入れて置いて。ちょっとこれから出かけなきゃいけないから」


「解ったぞ幼女」


 幼女じゃないと言い返したい所だが、未だ肉体的に成長が見られない。

 成長どまりではないかと危惧するぐらいなのだが、いやしかしまだ成長期だ。


 まあ放っておいて町に行こう。親方から呼び出しがあったのだ。

 移動はもう馴染みになったダンジョン前の定期便に乗る。

 未だ攻略済みになっていないのと、攻略が進む毎に発見される有用資源のおかげで往来の本数が増えた。

 前に比べて町に行くのが楽になった。


シルクも運動不足に懲りたようで、基本私が出かけるときは一緒に着いてくる。馬車に乗る時は横を追走して着いてくる。乗ってもいいのだが、町まで走るのは楽しい様だ。



今日の用事は親方が話があるとかで町まで来たので到着後にそのまま工房へ向かう。


「親方こんにちは」


「おう、アルシェ。わざわざ悪かったな」


「大丈夫だよ、それで用件は?」


「おう、それなんだがな...」


何やら歯切れが悪い、言いにくい事なんだろうか。


「なにか悪い知らせなのかな?」


「うむ、実はな木材の買い取りについてなんだ」


「木材の?今でも大分量増えてたけど、更に納品量が増えるとか?」


「いや、実はだなその逆で森からの供給をストップせにゃならんくなりそうでな」


「え、ええ!!どうゆう事よそれは」


ダンジョン周りはまだまだ建設ラッシュは続いていて、未だに納品はダンジョン前に直納している状態だ。

それなのに納品が出来ないとはどういうことか。


「理由は二つあってな、一つはダンジョンが問題だ」


「ダンジョンが?でもダンジョンが有るからこそ、今の好景気とそれに伴う建築依頼増加なんでしょ」


「実はそのダンジョンからの最新層から資源として木材が採れる事が確認されたんだ」


 親方の言葉に思い当る事があった。ダンジョンとは本当様々な階層がある。中には信じられない事に砂漠や大森林、果ては湖なんてものまであるらしい。

 木材についての影響からいくと森林の階層が見つかったという事だろうか。それにしても今の段階だと大分下の階層での事の筈で、建築に使うような木材は持ち運びがかなり難しいと思うのだが。


「その顔だと知ってそうだが、森林の階層が見つかって更にそこで木の魔物が見つかったらしい。木材に転用できる良質の物が採れるようになるそうだ」


「でも今の時分確認できたってことは大分下の階層なんだよね。それだと木材に使える大型の木材は運ぶのが難しいんじゃないの?」


 建築に使う木材は基本は丸太などに見られる様に大きく太い物を使う。強度の問題があるからだ。

 そしてそんな大きなものを横ではなく縦に運ぼうと思うとかなりの労力だ。そしてダンジョン内は階層にもよるが入り組んだ迷路のような構造もある。労力の割に供給量が確保できずに割高になる筈なのだ。

 つまり一般の建物に使うには高価な資材という事になる。


「それがな、最近開発された『道具袋』という魔法具でその問題が解決されていたらしくてな」


「そうなの?」


「うむ、使うのにダンジョンの魔素が必要不可欠じゃから地上の流通では今の所使えんのじゃが。それでもダンジョン内ではそれが出来るようになったらしい」


「そうなんだ」


「それもあって、ダンジョン前の建築にもそれが使えるんじゃ」


「でもそれだと別に森の木をストップする理由になるのかな?」


 ダンジョンでそれが出るとしても完全にすべて使うという訳でもないと思うのだが。流通の関係で木材の卸値が変動する事はあるかもしれないが、完全に取引が出来なくなるわけじゃないだろう。


「そこがもう一つの理由でな、なんでもここの領主の方から森林保護区にするから森の木を売買することを禁止する旨の通達が有ったそうなんじゃ」


「森林保護区?どうゆう事」


「わしも詳しくは知らんが、木材の売買を規制して伐り過ぎによる森の減少を防ぐんだと。理解できんとこだが要するに上からあの森の木を売るなってお達しがきたんだよ」


「そんな勝手な事言われても」


「一応完全な禁止ではなくてな、領主から出た新しい条件内でなら許可制で取引できるらしいがな。それでもその売買に結構な税が係るらしくてほぼ儲けが無いような事になるらしい」


「それは、どうしよう......」

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