ダンジョンは資源の鉱山と
2日目。すでに荷馬車で資材が運ばれているようでダンジョン付近は騒がしい。
連携的に足手まといになる私は、『ローラー』とかいう引っ張って整地する道具で道を慣らすようにと指示がきた。
岩盤を削って作ったであろうそれは、円柱状のものを横倒しにして中央に持ち手の鉄芯が入れられてる。
持ち手をそのままもって引っ張ると重さでどんどん地面が平になるらしい。
馬車が通った後の荒れた地をそれで慣らしていくのだが、本当に重いなこれ。
それでも力仕事だけなのでなんとでもなる。
「いくぞー!!」
掛け声を上げて何往復もしていく。途中偶にだが荷馬車が荷物を持って往来する。
その度に地面の柔らかい処がたわんでいくのだが、そこを重点に土を盛って固めていく。
コツをつかんでくると大分スピードを出して走れるようになる。走ってるとそのまま勢いで止まれないんだけど、回数こなした方がよさそうだ。
その日も、往復する事でだいぶ道も固くなり荷馬車が通っても抉れにくくなった。
ダンジョン前は土台に石材を埋めたり、新しい建物の骨枠が出来たりとかなりの速さで準備が進んでいるようだ。
3日目は追加で必要になる丸太をダンジョン周りの拡張準備もかねて、樵仕事になった。
伐る、倒す、枝を落として纏めて置くといつも通りのなので特に問題なく終わる。
4日目には井戸の場所が決まったとかで、穴掘り作業に参加する。
掘って土を出し、掘って土を出す。それを延々と進める。
1日では終わらないため、翌日、翌々日と続けて作業していく。地下深くなるほど土は固くなるので最終的には岩盤削ってる気がしてきた。まあ実際の岩よりはましなんだけど。
井戸堀を頼まれて1週間程ひたすら掘り進めていき、土が湿り出した時には「きたーーー!!」と叫んでしまった。まあその後も暫く時間が掛かったのだが、最終的には無事に水が出た。
こちらの井戸掘りが終わると親方達の方もほぼ終わったようだ。
初日は小屋だった建物はそのまま馬小屋として使えるようにに改装され、その後隣に2階建ての駐屯用としての詰所が出来上がっていた。基礎部を石と木を併用した造りでかなり丈夫な構造のようだ。
ダンジョン入口になっていた部分も石造りの重厚な壁と門が設置され、厳重になっていた。
このあたりは、危機回避の為だろう。魔物がダンジョンからあふれてきても対応可能な用にと言ったところか。
「おうアルシェか、一応これでここの仕事は終わりだ。今日までご苦労だったな」
親方からはようやく作業終了との事、最低限の管理用の者が出来たので後はおいおい手を加えるかどうかという話らしい。
私も手伝った井戸はあとで石材も使って崩れないように補強するとの事。川もあるので急ぎではないらしい。
「いつもより実入りが良かったから、有難いぐらいかな」
「そうか、何にしても今日から冒険者の受け入れも始まるからな。お前は家が近いんだからそのあたりも注意しておけよ」
「面倒後が起きなきゃいいけど」
人が集まればそれだけで揉め事は増えるものだから。特に冒険者はその性質も粗暴な者が多い為、揉め事の種になりやすい。冒険者ギルドがそのあたりを一応監督するのだが、それも人が増えれば目の届かない部分も出てくるわけで、良し悪しといった所だろう。
「まあここが賑わうかどうかは、ダンジョンの規模次第か」
「凄い物が取れればそのまま保存されるんだよね、個人的には早く閉じてほしい処だけど」
「まあ魔石だけでもこの辺りじゃ重宝されるだろうからな、それ以外にも希少金属が出たら保存は確定だろうよ」
基本ダンジョンは魔物を生む場所として危険なので無い方が良い筈なのだが、ダンジョン内の魔物から採れる魔石やその他資材などが有用であると判断されるとそのまま残される。
普通の森や鉱山と違って、資源が不自然に回復するダンジョンは時に莫大な利益をもたらす。その為危険を承知でダンジョンが残される事が多い。そのせいで滅んだ町や国があるのだが、欲が絡むとなかなかに理性的にはなれないようだ。
「まあ、規模が大きければそれだけ有能な冒険者もくるから危険度はさがるんだけどね。どちらかというと静かな方がいい」
「まあ住みづらくなったら移住も考えりゃいいさ」
「まあ先の事は判断できるだけの情報が入ってからでいいか」
「町長辺りは、領主との兼ね合いもあるから資源に繋がるダンジョンになって欲しそうだったけどな。この辺りは交易路からも外れてたから、盛り返したいとかいってたぜ」
「今でも町なんだから結構な規模なんだけどな。本当の辺境村に誤った方がいいレベルで贅沢な悩みだとおもう」
「交易路にちょっとでもかすれば、それだけみんなの暮らしが豊かになるからな。町長も悩みどころなんだろうよ」
交易に乗せれるほどの特産品がないからなこの町も、発展となるとそういった方面になるのかもしれない。




