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町の道具屋

 親方の元を後にして、道具屋に向かった。

 木彫りの道具を揃えた店だ。その他の雑貨類も扱っている品揃えの良い店。

 買いに行った時確実に子供扱いされていたが人は良いので何度か足を運んでいる。


「ちわー」


「おう、らっしゃい」


「おっちゃん元気だったか?」


「おうアル嬢ちゃんか、今日はなにを探しに来たんだ」


 いろいろ思うところはあるが気さくなおっちゃんである。


「ロングソード、一番良い所をくれ」


 意味もなく適当な注文を言ってみた。


「一番良い所をね」


 おっちゃんはそう言って店の奥を見に行った。

 適当な注文にも真面目に対応してくれるおっちゃんだ。


「これが一番良いロングソードだ」


 机の上に重量感のある音を立てて置かれた。

 置かれたのだがなんというか、予想してたモノと違う。


「おっちゃんロングソードはロングソードなんだけど、なんか禍々しくないか?」


 柄から刃先まですべて黒い作りだ。

 通常の金属では無い光沢だから、なにかしらの魔法素材が使われているのだろう。

 特定人種が見たら小躍りして喜びそうだ。


「まあ呪われてるからな」


 気軽にそう言われるのだが、呪われとるんかい。


「いやいやそんなの持ってこられても困る」


「呪いと言っても嬢ちゃんなら大丈夫だから」


「呪いも効かなさそうだと、そう言いたいのかい?」


 全く失敬な。繊細なんだぞこれでも。


「そうじゃなくてな、呪いの対象外なんだよ」


 対象外とな?


「どうゆう事?」


「女以外が使うと呪われるんだよコレは」


「そんな呪いなんてあるだ?でもその程度ならこの品質だしかなり良いものなんだろうね」


「それ以外にも若干問題があるんだけど、その問題もアル嬢ちゃんなら問題ないからね。一番良いものと言えるよ」


 なにやら含みのある発言なのだが。


「若干の問題と言うと?」


 勇者に渡す予定の物なので、これは要らなさそうだけど気になる。


「これ付与効果が掛かっていて条件次第では、かなりの切れ味を発揮するんだけどその条件が背が低くて幼く見えれば見えるほど効果が高いらしいんだよ」


「それはまた・・・、製作者の性癖が心配される武器」


「ダンジョンからの出土品らしいから誰かの作かも不明だけどね。なんにしても使い手が限定され過ぎてるからなかなか売れなくてね、アル嬢ちゃんが買ってくれるなら安くしとくよ」


「幾ら位?」


「まあ普通のロングソードの値段でいいよ。買値もかなり安かったしね、処分品だねある意味」


 呪われた装備品にはままあることで、呪いの内容によっては性能と比較して高値になるが対外が安い。

 解呪を専門にしている呪術師や神官系も居るが費用が高いのでそれに見合わない場合は道具屋に捨て値で買い取りという事もある。

 そういった物を何故買い取るかというと道具屋独自の伝手で解呪したり最悪鋳つぶしたりといろいろあるらしいが。


「ちなみに呪いってどんな効果が?」


「『女性に好意を持たれれば持たれる程敵対者が強くなる』らしい」


「そりゃまたなんともユニークな呪いだね」


「俺もそう思ったんだが、流石に付与効果の出る条件が厳しくて売れなくてな」


 それはそうだろう。

 条件を満たせる使い手が限られ過ぎてる。

 種族的にもその条件でロングソードを振り回せる腕力を持ってるとか居ないだろうし。


「ならそれ貰うよ、面白いことになりそうだし」


「毎度あり」


「それとついでに矢じりの追加貰えるかな。100個程あると助かるよ」


「あいよ、他にはいいのか?」


「今の所はまだ摩耗してないから大丈夫かな」


 包丁やナイフ類もまだ交換するほど傷んでいないし、畑用のものもそれほど買い足すものもない。調理系もまだまだ要らないかな。


「じゃあ用意するから少し待っていてくれ」


 用意が出来るまで道具屋の棚を見て暇をつぶすとしよう。

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