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森の迷惑者

 ぐっすり寝て起きた翌日、夕食に合わせたように訪れた警備員へ昨日あった出来事を早速相談してみた。

 頼りになるかどうか微妙だが、もしかしたら妙案はでるかもしれない。藁にも縋るとはこのことだろう。


「という事が昨日有ったんだ」


「勇者と世界の危機ね、テンプレ脳をしてそうな奴だなそいつは」


「そういえば自称勇者も会話の中に、あんたと同じような意味不明な事を口走ることが有ったな。・・・黒髪だったし、もしかしてあんたと同じ所の出身なんじゃ」


 なんで思い至らなかったのか、この変態と同じ場所出身なら頭がおかしいのも理解できる。あの残念な所も土地柄特有のモノなんじゃないだろうか?


「同じ所から来たっていうのは可能性として大いにありそうだが、そんな奴と同列に扱われるのは心外だぞ幼女。おおかた、夢と現実がついて無いような痛い奴だったんだろうさ」


「同じ土地の出身の可能性はあるんだ?あんたも大概胡散臭いけど、同じ土地で生まれると胡散臭くなるような風習でもあるのか?」


「そんな風習は無いがな、ある種の病気のような物かもしれんな」


 病気と言われた瞬間思わず警備員から後ずさった。あんな風になる病気とか、怖すぎる!!


「落ち着け、精神的な病の一種だから移る恐れはない。・・・多分ない」


「おい!!多分とか心配しか残らないだろうが!!」


「いやいや、よっぽどその勇者とやらの言動に感銘を受けるようじゃないと移らないから大丈夫だ。幼女は異常を感じたんだろうが」


「そうか」


 まったく脅かすんじゃない、病気が移ったらどうしようかと本気で心配しただろう。しかし病気か、なら仕方が無いな。


「でもそれならほっといても大丈夫そうだな、よかったよかった」


「いや世界の危機は無いかもしれないが、その勇者とやらの対策は立てておいた方がいいぞ。逆にそういった夢や妄想を現実と混同する奴の方が性質が悪いからな、十分に気お付けろ」


「そう言われればそうなんだろうが」


「幼女の話から幾つか気になる点もあるしな」


 うん?あんな適当で身の無い話の中に何があるというのか。


「まず一つ、幼女が出した条件の物だが俺もいくつかは聞いた事があるから実在する。だから勇者の実力が万が一それらを揃えれる程であったなら、持って帰ってくるかもしれない」


「本当か!?御伽噺の代物じゃ無かったのかあれ。昔話とかには出てくるけど、文字通り伝説上の物として」


 失敗したな、実在するなら万が一持ってこられたらさらに面倒だ。持って帰るだけの実力があるという事だからなそれは、またけむに巻く準備だけはしておくか。


「二つ目に、その勇者は危険な男だ。冒険の仲間だと称して、幼女の貞操を狙ってる節がある。まったく紳士にも慣れない男の風上にも置け無い奴だな」


「いやいや、私が魅力的なのは間違いではないが貞操の危機かは解らないだろう?」


「連れていたパーティーの構成と神の神託云々言ってるから間違いないな。説明が難しいがテンプレのような考えしかしていなさそうだからな」


「良く分からないが、女好きの傾向があるってことか」


「そんな感じだな、だいたい世界の危機というなら国へ神託が下るだろう。冒険パーティーレベルの人数で救える世界の危機って無いだろ。よしんば理由があったとして冒険に有利な汗苦しい男集団の方が成功率が上がるのに、仲間を女で固めているなんてどう考えてもおかしい」


「ごもっとも」


 わざわざ汗苦しくなくても良いが、仲間集めすら自分でするって無いよな。

 聖王国の協会も関わっているのなら、国で大々的に仲間を集めそうなものだ。

 あの二人が国で一番の凄腕という事は到底ないだろうし、話し合いで解決する世界の危機なんて無いだろう。


「世界の危機かどうかは兎も角、神託が本当だったとしても神の遊びという可能性もある」


「世界の危機って言われても具体的に何がどうなると危機なのか、考え付か無いもんね」


 世界が滅びる例を挙げるのは難しい。

国の滅亡レベルなら色々有るだろうが、世界か。


「私は思いつか無いんだが、例えば世界が滅びるってどんな理由があるのかな」


「SFな理由なら幾つかあると思うが、ここでの分かりやすい例だと暗黒時代に戻ると言うのが解りやすいか?」


 えすえふってなんだ、警備員は相変わらず偶に意味がわからない言葉を混ぜてくる。変態が頭のいいふりをして見栄を張っているのだろうきっと。いやもしかして否定しているがさっき言っていた病気なんだろうか。そうか・・・そうなのか可哀想にな。


「暗黒時代か、地上に魔物が溢れかえった時代だよな」


 警備員が出した例に、確かにそんな時代がもう一度来るような事があれば世界は終わってしまうのかもしれない。


アルシェ「暗黒時代とダンジョンに着いて説明された時、結構いい加減な論文の説明ばかりで眠かった覚えがある」

警備員「ああ、どんな職種でも一度は説明あるよな」

アルシェ「あの説明で覚えてるのは、今はダンジョンと呼ばれるフィールドでしか魔物は生まれないって事だけだな」

警備員「それ、最初のくだりのあたりで出るとこだろ。後半寝てたのか」

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