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耕され畑と警備員

「こんなもんか」


 鍬で耕す手を止めて一息つく。荒らされた畑の手入れに続いて、追加に拡張した分の畑を耕し終わった。先に植え終わった苗に加えて、ここにも種を蒔けば畑の拡張もひと段落でいつもの生活に戻れるようになる。

 柵造りに比べて野菜が育つ土の状態にするのが結構手間だった為、結構な時間が掛かってしまった。それでもやり遂げた感があるので満足だが。


「さて、ご飯にしますかね」


 体をほぐしながら道具を農作業用の小屋に片付けをして、その後土の汚れを落としに井戸まで行く。

 これで少しは落ちつけるからご飯が終わったら久々に木工細工でも作るかな。この前の露店商品を見てから触発されていたのだ。実用品もいいのだが置物のような観賞用の可愛いデザインも久々に彫ってみたい。


 家に入っていくつか材料を目で追いながら、仕事も今の所余裕があるから丁度いい機会だし食後に早速やるかと思いながら食事の準備を始める。良いものが出来たら売り物にしてみたいものだ。

 露店で木彫りの動物達が並ぶ様を想像していたら、口角が上がっていた。


「家の中とはいえ、ニヤニヤするのはどうかと思うぞ幼女」


突如背後から声を掛けられる。


「また性懲りも無く勝手に入ってくるな‼︎」


 気配を感じていなかった為、驚いてびくっとなってしまった。それが少し恥ずかしくそれを誤魔化すように殺意込めて手近にあった調理用のナイフを投げる。

 かなり瞬発力があった筈だが軽々避けられる。相変わらず素早い。


「まあ落ち着け幼女」


「落ち着かせたいのなら今すぐ出て行け」


 室内であってもこうも気配を感じさせずに近づかれると色んな意味で危険である。木彫りは後回しにして奴を仕留める仕掛けを考えねばならないかな。

確実に殺る為に親方に相談しようと心に決めた。


「今日も幼女の食事にありつきたい所ではあるのだが、実は森に関して警告に来たんだ。どうも森に魔物が迷い込んだみたいでな」


「魔物が!?」


 言われた内容に驚いた。この森は魔物は発生するダンジョンから遠く町を挟んでいる事もあって常識的に考えても現れる筈がないのだが。

 それがいるという事は森の近辺か内部に新しくダンジョンが出来たのだろうか?

 ダンジョンとは基本的には、長い時間魔素がたまる魔力溜りが結晶化して出来上がると言われている。当然完全に出来上がる前に異変が何らかの形で解る事が多いので突然降ってわいたりはしない。

 魔物も協力で凶暴ではあるが、ダンジョンからしか発生しない為管理されたダンジョンから湧き出るということはあまりない。


「森にダンジョンが出来た可能性があるなら町に知らせて調査しないと」


 基本見つかったダンジョンは大体が管理され、危険が無いようにされる。ダンジョン自体も無くす方法があるが、有用な資源にもなる為大抵が自然に無くなるか危機感上処分が必要になるまで残される。

 そこで問題なのが管理されていないダンジョンなのだが、魔物がそこから出てくることがある。魔法生物であるそれらはダンジョンから離れると基本弱体化していき、やがては死ぬが条件が揃えば生き続け被害がでる事となる。


「いや、森にダンジョンが出来たわけじゃ無い。何処から来たかはわから無いが野良の魔物が紛れ込んだようだ」


「森とその周辺全部を調べたわけじゃないだろ?大事になる前に調べておかないと」


森とその近隣にを含めるととても広大だ、見落としでもあったらそれこそ大変だ。


「この森に関していえば見落としは無いから大丈夫だ」


「なんでそう言い切れる」


「『森の警備員』として加護を受けている。そこまでの異常があれば分かるからな」


「それ、自称じゃなくて称号だったのか?」


 称号という事は精霊か神か、何らかの力のある者の祝福か加護を受けているとい事は間違いない。事実関係は確認できないが、嘘を言う程此奴にも利点は無いだろう。


「会った時から自称なんて言った覚えは無いぞ」


言ってはいないけど言動が怪しいから信頼性が低すぎる。

要するに胡散臭いのである。


「何はともあれ確実にまだ居るからな、俺が処理し終えるまでは出来るだけ家にいる方がいい。幼女であれば後れは取らないと思うが、まだ複数体いるから危険性が高い。早ければ明後日までは対応が終わると思う」


「流石は称号もちって所なのかね?それぐらいなら何とかなるだろうし、逆に手伝いは要らないのか?町から人手を出してもらうとか」


「森の中なら一人で行動した方が都合がいい、下手に人がいると逃げられるかもしれないからな。案外素早かったからな」


「なんだ、取り逃がしてたのか?」


「流石に複数個体を一気に仕留める事は難しかったからな。それでも狩りだすのに支障はない、順に処理していけばいいんだからな」

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