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『絶対味覚の毒見侍女と、父を陥れた天才包丁人――宮廷に潜む嘘を、私は舌で暴く』  作者: 水前寺鯉太郎


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第二十一回

第二十一回:ウナム寺の追放、記憶の米と山菜の悟り

 ザザァーッ、ザザァーッ……――冬の海。打ち寄せる波の音は、敗北したソリの心に冷たく突き刺さる。皇太后による一回目の競合。クミョンに敗れ、ハン尚宮から「ピシャリ」と宮中追放を言い渡された。

 「……自分の未熟さを、その土の匂いの中で噛み締めなさい」

 師の厳しい言葉が、耳の奥でリィィィンと鳴り続けていた。

 「……ほら、ソリ! そんなしょんぼりした顔すんな。海風で悪いもん全部バサァッと飛ばしちまえ!」

 トックのガハハという笑い声が、静かな海辺に響く。

 ウナム寺。そこには療養中の尚宮を護衛する、ミン・ジョンホの姿もあった。彼はカサリと書物を閉じ、ソリの隣で密かに進める調査の手を休めた。

 「……ソリ殿、市場へ? お供しましょう」

 買い出しの帰り道。静寂を切り裂くヒュッ、ドスッ!という音。正体不明の男たちが、刃を光らせて襲いかかる。ジョンホが剣をシャキーンと抜き放ち、ソリをグイッと引き寄せた。二人は寺で働く謎の男にスタスタと導かれ、岩陰の隠れ家へと逃げ込んだ。

 ……。

 「……食え。腹が減っては逃げられん」

 男が差し出したのは、何の変哲もない山菜の和え物。だが、それを口にした瞬間、ソリの全身にビビビッと衝撃が走った。

 シャキ、シャキッ、ジュワァ……。

 「……美味しい。土の香りが、噛むたびにポワァンと鼻に抜ける。……おじさん、この味の秘訣は何!? 教えて!」

 ソリは敗北の悔しさも忘れ、男をトコトコと追い回した。技法ではない。火の通し方でもない。そこにあるのは、食材の「吐息」を聞くような、自然への深い慈しみだった。

 その頃、死の淵に立つ老尚宮は、うわ言のように繰り返していた。

 「……兄様がくれた、あの米。……もちもちして、噛むほどに香ばしい、あの米をもう一度だけ……」

 トックがドタバタと各地の銘米を集めるが、どれも「違う、これじゃない」と首を振るばかり。ソリは、寺の男が軒下でカサカサと干していた、少し色の濃い米の束を思い出した。

 クンクン、ペロリ。

 「……これだわ。……陽の光をたっぷり浴びて、風に揉まれた『我慢の味』」

 シュッ、シュッ――。

 (母様……。最高級の食材が、最高の味とは限らない。……一粒の米に込められた『情愛の音』。それが、今の私に必要な答えなのですね)

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