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『絶対味覚の毒見侍女と、父を陥れた天才包丁人――宮廷に潜む嘘を、私は舌で暴く』  作者: 水前寺鯉太郎


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第十五回

第十五回:見捨てられた菜園、土に眠る異国の鼓動

 ジャラジャラ、ドシン――宮中の掟を破り、夜を越えた罪は重かった。捕らえられたソリの背後で、義禁府の枷が不吉な音を立てる。だが、チョン最高尚宮とハン尚宮の深々と下げた頭と、命を賭した嘆願により、ソリの首筋を狙う断罪の刃は辛うじて収められた。

 ギィィィィ、バタン――言い渡されたのは、事実上の左遷。ソリが連行されたのは、王宮の北の果て、陽の光さえシィィィンと冷たく淀む、荒れ果てた「菜園」だった。

 ザッ、ザッ、ザッ……――膝まで届く雑草を掻き分け、ソリは一人、その地に立った。かつては異国の香辛料や薬草を育てようと試みられ、そしてことごとく失敗し、今やカサカサと枯れ葉が舞うだけの、宮中の墓場。

 「……ここが、私の新しい戦場なのね」

 ソリは竹箒を置き、泥にまみれた地面にズボッと指を突き立てた。そして、爪の間に挟まった土を、迷わず舌の上に乗せた。

 ペロリ、ネチャッ。

 (……酸っぱい。けれど、この酸味の奥に、わずかなピリリッとした刺激が眠っている。……これは、明の商人が語っていた、南方の香辛料の種が腐らずに耐えている音だ)

 ドクン、ドクン――周囲の役人たちはヒソヒソとソリを指差し、「あいつも終わりだ」と嘲笑う。だが、ソリの耳には、絶望の沈黙ではなく、土の下で出番を待つ命のモゾモゾとした蠢きが聞こえていた。

 「……枯れているのではない。誰も、この子たちの『本当の飲み物』を知らなかっただけ」

 ソリは、壊れた水瓶から漏れ出すポタポタという音を聞きながら、自らの銀の匙で土を丁寧に掘り返し始めた。

 水刺間を追われ、仲間を失い、孤独に包まれた十八歳の秋。しかし彼女の「神の舌」は、この死に体となった菜園から、誰も味わったことのない「奇跡の香草」を掘り起こそうとしていた。

 シュッ、シュッ――。

 (母様……。泥を噛む日々は、もう慣れっこです。……この枯れ果てた土を、宮廷で一番贅沢な『味の源』に変えてみせます)

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