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第一話

気がつくとそこは、無限に広がる深緑の草原だった。

トラックに轢かれそうな猫を助けようとして横断歩道脇のバナナの皮を踏んづけて進行中のトラックに突っ込んで、そこまでの記憶はあり、そこから目が覚め体を起こすと見渡す限りの草っぱら。

「どこだここ?」

「やっと起きたか」

背後から声をかけられ振り返るとそこには紅髪で紅眼の美女が立っていた。

「……誰?」

「誰とはご挨拶だな。気持ちよさそうに真っ昼間の危険地域で寝っ転がってる。君を助た通りすがりの冒険者なんだが?」

「え?あぁ!ありがとうございます!」

どうやらここは危険な場所でこの人のお陰で助かったらしい。よくみるとまわりに角の生えたうさぎのような死骸が草に沈んでいる、

「いや礼はいらないよ。私が勝手にやったことだしね」

「でも……」

「それよりも君は何であんなところで寝ていたんだ?」

「それは…… 」

まずい、なんと説明しようか、まさか猫を助けてトラックになんてくんだり、見た感じTHE異世界と言わんばかりの皮の胸当てをしたこの冒険者風の美女に説明するわけには、いかないだろう。

「えっと…… 」

「まあいいか。それより怪我はないかい?大丈夫なら私はもう行くけど」

「あっはい!助けてくれてありがとうございました!」

とりあえずお礼を言い立ち去ろうとする美女の背中を見つめていると彼女が突然振り向いた。「そうだ。まだ名前も名乗っていなかったね。私の名前はセレナ・ブラッド。君は?」

「俺ですか?俺は神谷優斗です」

「カミヤユウトか、変わった名前だね。じゃあまた縁があればどこかで会おう。ユウト」そう

言い残して彼女は去って行こうとする。

「あ!待ってください、ここがどこかわからないんです!もしかしたら記憶がほとんど無くなってるのかもしれません、お願いです、僕を街まで連れて行って貰えないでしょうか?」

「なに?少し怪しいがしかし……、ふむ、身なりは上等そうなキラキラした綺麗な服だな……、誘拐でもされたか……? 貴族の式典では見たことが無い顔だが、顔つきからして東方の貴族か…… 」

「貴族ではないと思いますけど……」

「ふむ……仕方ない、よしわかった。乗りかかった船だ受け持とう」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「いいよ。ただそのかわりと言っては何だけど、私の頼みを聞いてくれないかな?」

「はい!何でも言って下さい!」

「そんな大したことじゃないよ。君の事をもう少し教えて欲しいんだ。それとできれば何か身分を証明できるものを見せてほしいのだが」

「わかりました!えーっと」

もたもたしていると、美女が何もない空間に手を入れるとそこから一枚のカードが出てきた。

「これはステータスプレートというアイテムだよ。自分のレベルとか能力値とか色々わかるんだけど、記憶にあるかい?」

「いえ……」

「なるほど……プレートを知らないとなると東方の貴族でも、かなりの辺境の者か」

「あの~それで何を見たら良いんでしょう?」

「ああ、すまないね。じゃあこれを見てもらえるかな?」

渡されたプレートを見るとそこには何も書いてない空欄だけがあった。

【      】

【      】

【      】

「?、何も書いてありませんけど」

「何も書いていないだと?ステータスプレートは、この世界の者なら誰でも読めるはずだが……、ま、まさか!そなたは、テンセイシャか!?」

「!??」

え、まさか俺以外にも、もしかして居る感じ……?

「その反応、記録に残るまさしくテンセイシャの反応!これは王族案件どころでは無い、魔族戦争を終わらせた初代テンセイシャ、ジョン・スミス、それにに連なる者が800年ぶりに現れたか!」

「!?」

いや、ジョン・スミスって、

アメリカ人かーーーい。

しかも800年ぶり、とか俺だけしか居ない感じ?

「あ、多分、その転生者だと思います」

「やはり、そうか!!た、頼む!この世界の危機を救ってくれッ!」

「え…っ」

待って、なになに、もしかしてこれ異世界チート転生者系?

おれ、神様にも、出会ってないし、

何もチート貰ってないっぽいんだけど、

どうしろと……?

ジャンピング土下座に移行した紅髪の美女を前に途方に暮れてしまう俺を輝く2つの太陽が照らしていた。


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