全魚姫
人魚の女は船に乗る猫に恋をしました。
猫が魚を好きだと知った人魚は魔法使いに頼んで自分の声と引き換えに上半身も魚にし『全魚姫』となりました。
猫に愛されたいと願う全魚姫は猫の飼い主の住む城にビチビチ跳ねながら訪ねた。
全魚姫は城でペットとして飼われる事となった。
毎日水槽を覗く猫と目が合うだけでも全魚姫は幸せだったが、ある日王子は妃を貰うことになった。
悲しみにくれる全魚姫の前に魔女が現れこう言いました。
『このナイフで王子を刺せばお前は完璧なお魚になれるだろう』と。
王子は刺す事など出来ないと全魚姫は泣きながらビチビチと跳ねて海に帰りました。
海に入ると全魚姫は人魚に戻りました。
その後人魚は『王子が結婚するのは別に私には関係ないな』と気がつき、魔女に頼んで人間になってお城に仕えるメイドになりました。
人魚はとても猫に優しかったので猫は人魚になつきました。
王子はそんな人魚を見て『結婚してする事が増えたので私には猫を世話する暇がない。猫はお前によくなついている。良ければその猫を譲り受けてくれぬか』と言いました。
人魚はそれを快く受け、猫といつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。