俺が賢者?
「おお〜〜おおおおおお???」そこは…鮮やかな空間だった。虹色に輝いていて、トンネルのようになっていた。その空間を俺は流されるように翔んでいた。
突然のことで驚いた俺は、手に持っていた何かを手放した。それは…ピンク色に光る玉のようなモノだった。
(それは桜の魂!)直感した!
俺は手を伸ばし叫んだ「桜~~~~!」
たが、光の玉はドンドン前へ進んで行く。どうやって翔んだら良いのかわからないが必死で、もがいて足掻いて玉を追いかけた。
「届け!」
「届けー!」
「届けーーーーー!!」手を限界まで伸ばした。
が、その瞬間……俺は何処かへ落ちた………
………………ドッスンッ!「痛っ!」背中を強く打った。
「おおー!成功したぞ!」「…凄い…です…」「まさか本当に出来るとはな!」「これが時の賢者様ですか!」「これで…願いが叶う」「大成功!ですね!」赤、青、橙、緑、紫、黄……色とりどりのローブを着た人たちが一斉に喋りだす。
(何だ?…何処だ?…どうなってる?)あまりにも様々な事が起こり過ぎて俺は混乱している…
「貴方は時の賢者様ですか?」とても高齢だが、気品に満ち溢れた女性が目の前に来て質問した。
「……………?」(え?何?賢者?)固まってしまった…
「私は、エリザベティス2世と申します。突然の事で驚かれいると思います。誠に申し訳ありません。」とても高位の人なのは、綺麗に着飾った服や立ち振る舞い、話し方ですぐに分かった。
その人が人前で頭を下げる時点で只事では無いのだろう…
だが…
「いえ、申し訳ないですが人違いです。」頭が回り始めてきた!心当たりが無いので答えは当然NOだ。
途端に周りの人達がざわつく…ザワザワザワザワ
(それよりも、桜は?桜はどうなった?)辺りを見渡すが先程の光の玉は無い…
伸ばした手を見てみるが……何も無い……
……いや、俺の右手の甲に何か有る!?
何か…紋章のようなモノが光っている?
それは、歯車の上に長針と短針が描かれた…時計のような紋章だ。
「「「おおーーー!」」」この紋章を発見した途端みんなが喜びに満ちた声を上げた。
「その魔紋こそ、時の賢者の証です。あなた様は、時の賢者<クロノス>なのです!」