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普通の日常の終わり

俺の名前は、時尾(ときお) (かける)

30歳!普通の会社員だ。


俺の人生は普通だと思っていた。

普通の家庭で育ち、普通に学校に行き、普通に就職して、普通に仕事して…そんな普通の人生だったが俺は幸せを感じていた。

愛する妻がいる。愛する娘がいる。帰る家が…居場所があるからだ。


しかし、ある日俺の普通の人生は普通で無くなった。


西暦2020年4月10日金曜日

桜が舞うこの季節に俺の人生は変わった…


会社でパソコンを打っていると、後ろから宝田(たからだ)課長が声をかける。「時尾くん!来週は月火水木金が残業だから!よろしく~~」


(…全部じゃん)はぁ~…

うちの会社の繁忙期(はんぼうき)とは言え俺は少しため息をついた


仕事が終わり帰宅!

家の鍵をガチャっと開けると…ドタドタと走る音が。

「おとうさんおかえり~~」

5歳になる娘の(さくら)のお出迎えだ。

「た~だいま~」嬉しそうに甲高い声で俺は返す。


手洗いうがいを済ませると、台所で妻が夕飯を作っていた。

「おかえりなさい。もうすぐ出来るから。」

(やった!今日はハンバーグか!)俺は心の中でガッツポーズした。「ただいま。何か手伝おうか?」

「じゃあ布団をまだ()いてないからお願いします。」

「分かった!」

「さくらもてつだう!」とても元気な声だ。

二人で布団を敷いた…


夕飯が出来てたのでみんなでハンバーグを食べた。

「来週は全日残業だわ!」俺は妻に報告した。

「繁忙期に入った?」

「そう!だから保育園のお迎えはしばらくお願いします。」俺は少し頭を下げる。

「はーい。」妻が言う。

「は~い!」桜も真似して返事をした。

(すぐ真似する。)


「良し!忙しくなる前に明日は動物園行くぞ~!」

「やったーーー!」桜は嬉しそうに跳び跳ねた。

「こら!ご飯の時はジャンプしない!こぼれるでしょ!」軽く注意する!


4月11日土曜日…

家族三人で動物園に出掛けた。桜の花が丁度見頃だ。動物を一通り見終わると、桜の木の下でお弁当を食べた。お土産屋で買ったウサギのぬいぐるみを娘は大事そうに抱えている。


4月12日曜日…

「おとうさん!おきて~~!お・き・て!」

そう言いながら俺の横腹に乗っかってきた!

「グフッ!」「お願いだから…もう少し寝かせてくれ…」(正直重いし、痛い!だが、嫌いじゃない)


こんな穏やかな日々がずっと続くと思っていた…


だが…

4月13日月曜日

午後5時


(今から残業だ…)土日の疲れが抜けて無い…だるい…

「今日はお先に!お疲れ様~~~」宝田課長が嬉しそうに言った。

「クソ…課長も残業しろよ。」同僚の友岡(ともおか)が俺に愚痴る。「ホントそれな!」俺は同意した。


30分後、事務所から俺宛に電話が来てると言われた。

俺は席を起ち電話を取ると…保育園からだと言われた。

「時尾 翔さんですか?」

「はい…」先生ば慌てた感じだ。

「すいません!さっき桜ちゃんが階段から落ちてしまって、頭を強く打ったみたいで、病院に運ばれました!」

「……え!?」俺は、旋律した。

「大丈夫なんですか?」

「頭から血が出てて、直ぐに救急車を呼びました。」お母さんがその後来られたので、一緒に病室に行きました。」

冷や汗が止まらない。恐怖で頭が狂いそうだ…


病院の場所を聞き、俺は急いで向かった。


受け付けの人に「先程、救急で運ばれた時尾 桜の父です!」と言って娘の病室に案内された。

そこは集中治療室だった…

部屋の外で妻が泣きながらうずくまっている

案内してくれた看護士は「娘さんは、頭の打ち所が悪く、かなり危険な状態です。」と言った…


俺は手を合わせて神様に祈った。(神様!どうか娘を助けて下さい!どうか!どうか!………お願いします。)普段は神などに祈ってもいない俺だか、この時ばかりは、祈らずにはいられなかった。



だが………ピッ…ピッ……ピッ………ピッ……………ピッ………………ピッーーーーーーーーーーー!

無情にも娘の心音が止まった……………


幸せだった俺の日常がこの時終わったのだ…


俺は部屋に入れて貰い桜の手を握った。

外科医の先生は「…誠に申し訳ありません」

そう言ってうつ向いた。


「う、う……うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ~~~!!」俺は、目から涙が溢れた!悲しくて死にそうだ!

娘の手を強く握り大声で叫んだ!「神様お願いです!この子を連れていかないで下さい~~~~!」


その時、娘の体から魂のようなモノが出ていくような気がした!


「待ってーーー!」

「行くなーーー!」

「帰ってきなさい!」

桜の魂はどんどん体から離れて行く…そんな気がかりした。


(あんまりじゃないか!まだ五年しか生きていないんだそ!これからの未来が…時間がこんな形で奪われるなんて…)


娘の手を更に握り俺は言った「時よ!戻れ!時間よ!戻れ!お願いだ!時よ!」無意味な事は分かってる!周りからしたら滑稽に見えるだろう。それでも俺は叫んだ。叫ばずにはいられなかった…


「時よーーーーー!戻れ~~~~~~~~!」


パァッ!足元が明るくなった…

下を向くと魔法陣のようなものが画かれている。

その瞬間、俺は…何処かへ翔ばされた…

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