対、オレンジマント
皆さま、今日も元気ですか?
あたくし但野母 葡乃子、読み方は たじのも ほのこ も元気いっぱい応援していますよ!
ほのこ の ほ は葡萄のぶの方って覚えてね!覚えるともれなく葡萄の ぶ だけ書けるようになるよ!
そして皆で応援しようぜ!
え?何を応援するって?もちろん怪人と戦ってる由紀恵ちゃんをだよ!
今日の怪人はぐねぐねと長い黒髪と、ばたばたはためく目に眩しいオレンジマント。
対する由紀恵ちゃんは学校指定制服。
なんてこった、まだまだ応援が足りてない…のかもしれない。
あっ!怪人オレンジマントが飛んだ!!卑怯だ!
「由紀恵ちゃーん!頑張れ!!」
「飛べ!由紀恵なら飛べる!!」
「ユーキャンフライ!」
窓から皆で乗りだして、由紀恵ちゃんを応援する!
「ユーキャンフライ!ユーキャンフライ!」
もちろんあたしも腕を振り回して応援する。
人間そんなすぐ飛べるようにならない。
が、応援の力でか由紀恵ちゃんの靴の形状が変わった!みたいだ!
なんせ3階から応援しているからよく見えないのだ。
でもサスケもびっくりな壁走りをはじめたから、絶対変わっている!
壁を走り、ひさしをジャンプし、オレンジマントへと近づいていく!
ああっ、でもぶんぶん飛ぶオレンジマントの方が有利だっ
由紀恵ちゃんに攻撃が当たってしまう!
「うおー!!」
「いけー!!」
でもそこに壁走りに興奮した男どもから野太い声援が!
その声援を受け、由紀恵ちゃんの靴はさらに進化をはじめる。
靴底からなんかこうジェット的なのがでてきたのだ!
それに合わせてか制服の襟がこうシュっとして羽みたいになる!
でもそんな羽で飛べるの?羽ってもっとでっかくないとダメなんじゃないの?
もっと羽ばたかないとだめなんじゃないの?、あ、ジェット的なのがあるからいいの?
「あれはエンテ型にある前翼を模しているのか!?」
「いや、重心点を支えるための―」
なんか隣でこちゃこちゃ早口で話す奴らがいて、そっちに気をとられかけてしまった。
が、無視だ無視。
自慢じゃないがあたしはあまり頭がよくない!
変に考えると応援できなくなってしまう!
「そこだー!いけー!!」
興奮した声にばっと顔をあげれば、由紀恵ちゃんが怪人オレンジマントに殴りかかっているところだった!
殴りかかるというか、右手を前に出して突っ込んでいくところというか。
あれだ、スーパーマンとかでよくやってるあのポーズ!
完成されしあのポーズ!生でみると格好良さが倍増!!
んああっ!!怪人オレンジマントが避けたっ
くそっ、あんな長い前髪のくせに避けるなんてっ!どうやって前見てんだ!
由紀恵ちゃんは空中でUターンターンして、怪人オレンジマントへともう一度つっこむ!
避けるオレンジマント!
追う由紀恵ちゃん!
そのまま校舎の裏側に行ってしまう!
「中庭のほうだ!」
「行こう!」
窓に張り付いていたクラスメイト達も、よく見える方へと走り始める。廊下は同じように出てきた生徒でいっぱいだ。
あたしも負けじと追いかける!
でもでも、なんということでしょう。頭のみならず身体能力もあまりよくないあたしは、由紀恵ちゃんと怪人の激しい動きについていくことなんて(もちろんだけど)できないのだ!
「そこだっ!」
「やれっ!」
北で声援が聞こえ駆けつければ、
「屋上にいるよっ!」
「今だいけっ!」
東の方での声援が聞こえ、
「ああっ!」
「卑怯者!」
東へと駆けつければ、西で由紀恵ちゃんがピンチに陥っているのでは?というギャラリーたちの嘆きが聞こえるっ
「が、がんば…ごふっ」
応援して由紀恵ちゃんに力を与えたいのに、ぜぇぜぇして声がでないっ
でもあたしだって諦めない、西校舎の窓から乗りだして、由紀恵ちゃんに向かって叫ぶ!
「ぅおーっ!頑張れー!!」
その時、後ろの東校舎からドッという歓声が!!
「さすが!」
「今日も格好良かったよ!!」
背後で由紀恵ちゃんを称える声がするなか、逆側の窓から突き出していた拳をそっと引き下げる。
悲しくなんてないさ、だって由紀恵ちゃんが勝ったってことでしょ?
応援が(物理的に)力になるんだもん、あたしの応援だって力になっていたはず!!
チャチャチャチャッチャ~
勝利のチャイムが流れ出した。
チャイムが鳴ってから10分後には授業再開だ!
あたしはよろよろと自分の教室へと戻るのだった。
と、いう感じの夢をみました。
一体何だったんだ…




