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貯金残高―――

「うん、味も大丈夫!」


味見してみたけどこれなら安心して食べてもらえるわ。


「今日は突然お邪魔しましてすみませんでした。では、たいしたものじゃございませんがごゆっくりお召し上がりください」


「食材はウチのだからたいしたものじゃないのはしょうがないけどな」


「あっ!いえ!そういう意味じゃなくて!」

また何も考えずに発言しちゃった、もう私バカ!


「いやいいんだよ。それより間宮は食べていかないのか?」


「はい、遅くなるって言ってないし、それに初めてお邪魔して食事までよばれるなんて」


「そっか、家の人が心配するよな。じゃあ送って行くよ」


「いっ!いえいえそんな!子供じゃないですから一人で帰れます!せっかくですから出来立てのシチュー食べて下さい!」


先輩の優しさに少しでも甘えたかったけどグッと我慢して、私はお婆ちゃんと幸次君と幸乃ちゃんに挨拶して帰路に着きました。


お婆ちゃんは「またぜひおいでね今度はゆっくりね」と言ってくれ、幸次君はさっそくシチューを食べてくれて「おいしー」って家が揺れるくらいの声で叫んでいました。


幸乃ちゃんはやっぱりまだ馴れてくれないけどそれでもシチューは美味しそうに食べてくれました。


なんだか今日の昼間に先輩に告白してフラれた事実なんてなかったみたいです。


「リセットしよう!」私は一人で勝手にそう決めてすっかり暗くなってしまった帰り道を少しだけスキップなんかしながら歩いていた。そしてこけた。


「痛てててて……もう!せっかくいい気分だったのに」


「お前やっぱり変な奴だな」


振り返ると刈谷先輩が笑いながら立っていました。


「ほらよ」っと言うと先輩は私の手を取って起こしてくれました。


ギュィーーーーン!私の身体中の血液が顔面に集まってきて『顔面真っ赤っ赤メーター』は一気にその目盛りを振り切ってしまいました。


(刈谷先輩と手を繋いだ!刈谷先輩と手を繋いだ!刈谷先輩と・・・)


「おい!聞いてるか?」


「ヒョエイッ!?」いけない!あまりの嬉しさに意識が飛んでいきそうになっていたわ。


「シチュー美味かったよ、やっぱり送って行くよ」


「先輩・・・」今!私!キュンキュンしてる?


「おい、変な期待するなよ。婆ちゃんが心配してたんだよ、気にし出したらずっと気にしてる人なんだよ、婆ちゃん」


「せんぱ~い⤵」一瞬だけどかなり期待した分ガクッと来たじゃないですか、でも大丈夫!リセットよ!リセット。


「じゃあせっかくだから甘えさせてもらいます、大丈夫です!変な期待はそこの溝に捨てていきますから」


そう言って私は先輩と夜道を二人並んで歩きました。


(先輩には悪いけど遠回りしちゃおうっと)

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