貯金残高―――
「先輩、先輩が皮を剥いて捨てようとしている量ってこの残った人参よりも多いじゃないですか、先輩もしかして料理あまり得意じゃないんじゃないですか?」
「ん…まあ得意じゃないけどこれでも一年くらいは出来るだけ自炊するように心掛けてんだぞ、まあ弁当買ってきたりとかも多いけど」
「ダメですよ!もっと食費には気を使わなきゃ、なんせ先輩んチはチョーび・・・い、いえ、ほら!それに食費だけじゃないんですよ、人参だけじゃなくほとんどの野菜はこの皮の部分にポリフェノールが凝縮されていて凄く身体にいいんですよ。スーパーで売ってる野菜は農薬も使ってるでしょうけどそれでもお店に並ぶ時にはよーく洗っているし、こうやって調理する前に丁寧に土を取り除いてよく洗えば全部食べれるんですから、ヘタや葉っぱも料理次第で全然食べれるんですよ」
「へえ~間宮お前凄いな」
これは好感度アップですよ、こないだテレビで言ってたのをそのまま言ってるだけなんですけどニヒヒヒ。
「ところでお前さっきからちょくちょく心の声が漏れてて『貧乏』『貧乏』言ってるぞ俺のこと」
「ズビャーン!ふぇっふぇっ気のせいですよ!気のせい!ヒュ~ヒュ~」
私はなんとか咄嗟の演技でその場を上手く取り繕いました。
「クリームシチューですよね?あの!私作りますから色んなお詫びに、先輩ゆっくりしていて下さい」
お婆ちゃんや幸次君も「食べたい」と言ってくれたので遠慮せず作らせてもらうことにしました、幸乃ちゃんはまだ警戒心を解いてくれないけどきっと私のクリームシチューを食べれば心を開いてくれるはずだわ。
だって私がなんとか作れる数少ない料理の1つなんですから。