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貯金残高62980円

祝日も祭日も春・夏・冬休みも、もちろん"ぐうたら記念の日"も無い6月をなんとか乗り切って夏本番! 刈谷先輩のお昼の休憩場所は日陰の無い観戦スタンドから記念樹のくすの木の下に移っています。


「か~り~や~せ~んぱいっ!就職活動順調ですか?」


「よう!間宮、大月先生がさ、三崎重工の枠に推薦してやるって言ってくれててさ」


「三崎重工って凄いじゃないですか!これは本腰入れていかなきゃですね!私も気合い入れてサポートしなきゃだわ」


「まだ分かんねえよ学校から一人だからな、まずはそこからだよ」


「大丈夫です先輩なら!」


「なあ間宮…… あんまり俺にばっかり縛られるんじゃなくてお前はお前の青春をしっかりやっておけよ」


「なんですか先輩、ちょっと格好つけて」


「バーカ」


「私は楽しくてやってるんですからやらせて下さい、それにもちろんその先には先輩と…… モジモジ…… その……あれ?先輩聞いてます?」


「スー…… スー……」


そうですよね、疲れてますよね?刈谷先輩


身体の弱いお婆ちゃんと小学生の弟と4才の妹と、いくら隣が親戚のおウチでも必要以上にお世話にはならずにアルバイトしながら家事に勉強ですもんね。先輩、寝顔も素敵ですよ!


たまに吹く優しい風が心地よく、刈谷先輩の気持ち良さそうな寝顔を見ていると私までウトウトしてきました。


シャーッ シャーッ シャーッ シャーッ


「あれ?」


「ん?どうした?」


「いえ、何か変な音が聞こえたような…… 」


「ん?何にもないけどな、こんな真っ昼間からオバケでもないだろうし」


「先輩!オバケなんていませんから!つまらない冗談は止めて下さい」


「なに急にムキになってるんだ?オバケ怖いのか?」


「べっ!べっ!べっ!別にっ!」


「分かりやすい奴だな」

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