貯金残高700050120円
「刈谷せんぱ~い!おはようございます!」
「……」
「おはようございます!ってば」
「ん?……ああ、庶民の間宮君か」
「ゲッ!先輩なんなんですか!?その金ピカの制服は?鞄も金ピカ!時計も!靴下まで!歯も全部金歯になっちゃって!まさかっ!ちょっと失礼します、いや~んパンツまで金ピカ!ちょっと趣味が悪すぎますよ!」
「ハハハハハ!これを見ろ!ジャーン!」
「わっ!貯金通帳の残高が700050120円!!!」
「そう、宝くじで7億円当たったのさ、だから庶民、いや貧乏な間宮君、君なんかが気安く話し掛けていい存在ではないんだよこの俺様はワハハハハ!ぎゃはははは!グェッ!グェッ!ドッハッハッハッハッ」
「先輩そんな~、先輩~!先輩~!」
パチリ
「またつまらぬ夢を見てしまった……」
「おはよー!今子!」
「おはよう裏切りの可奈」
私の親友可奈はケーキバイキングの無料招待券に釣られて簡単に親友を裏切るような奴なのです。
「変な異名付けないでよ!「ごめん」って言ったでしょうが、それに友美が「今子は用事が出来たから」って言ってきたし、そりゃスマホ見なかったのは悪かったけどさぁ、ムダに出来ないでしょ?友美がくれた招待券」
「24アイス可奈の奢りね、もちろんトリプル」
本当は別に怒ってないんだけどしばらくこれをネタに可奈にたかってやろうと考える私でした。
「間宮!こっち」
昼休み、月曜日のこの時間は刈谷先輩と過ごせる貴重なひととき、私が学食に着くとこの日は珍しく刈谷先輩の方がテンションが高く到着した私が席に着くなりポケットから何か取り出してテーブルの上に置きました。
「間宮、見てくれよ」
刈谷先輩が嬉しそうに出してきたのは貯金通帳でした。
「げっ!まさか7億円!金ピカ先輩!?」
「ん?何言ってんだ?ほら見てくれ、遂に5万円貯金出来たんだ!」
「びっくりした、良かったですね」
この貯金通帳は刈谷先輩が節約生活を始めてから持ちだしたもので、私が変な夢を見てしまったせいで薄いリアクションしか出来なかったけど貧乏な、いえチョー貧乏な刈谷家の血と涙の結晶なのです。
「これも間宮!お前のおかげだよ」
「デヘヘ、そんなストレートに言われると照れますよデュフェフェフェ」
「昨日、家でみんなで話したんだけどさ、この貯金が10万円を越えたら」
えっ!?も!もしかして!いよいよ、私とお付き合い!?キャーッ!遂に刈谷先輩も決心してくれたのね!!!
「10万円を越えたらさ」
「10万円を越えたら?」ゴクリ
「幸次と幸乃とディズニーランドへ行こう!って」
ガク~~~~ン~ン~ン~ン~ン
「だから間宮これからも協力頼む!一緒に行こうな!ディズニーランド」
「えっ?私も一緒にいいんですか?」
「もちろん!お前の協力がなくちゃ出来ないことだし、お前を連れて行かなきゃ幸乃が怒るからな」
「せんぱ~い~」
「オッケーか?じゃあまた頼むぞ、これ冷蔵庫在庫ノート!よろしく」
これはもう初デートですよ!なんとしてでも貯金10万円達成してみせるわ!徹底的に調べなきゃね!節約術を、『スーパーウルトラ鬼節約モード』突入よ!




