貯金残高19070円
「ごちそうさまでしたー!」
「ごちちゃまでちたー!」
「凄ーい!いっぱい作ったのに全部なくなったね」
「ほんと今子ちゃんお料理上手ね」
「えへへへお婆ちゃん、私なんかまだまだですよ~、今日だってお婆ちゃんが横で色々と教えてくれたから美味しく出来たんですよ、またお料理教えて下さいね」
「いつでもおいでね、もうお婆ちゃんの孫みたいなもんだからね今子ちゃんは」
でへ、でへ、刈谷先輩!お婆ちゃんもそう言ってるし結婚を前提に付き合っちゃいますか?
「婆ちゃん体の調子良いからってあんまり無理すんなよ」
「ほんとねぇ、息子が生きてたら幸介ももうちょっと自由に過ごせたのにねぇ、すまないねぇ」
「婆ちゃん、俺は今でも結構好きにやってるよ」
「そうですよお婆ちゃん、先輩なんかいつも好きにやり過ぎていて周りに居る私たちは振り回されっぱなしなんですから」
「逆だろ!逆!みんなに心配ばかり掛けてるのは間宮だろ」
「そんなことないですー」
お婆ちゃんはいつも刈谷先輩に「すまない、すまない」って言ってますけど先輩の口からは一度だって不満なんか聞いたことはありません。
「ところで先輩!今日の晩ごはん、イワシの蒲焼きと高野豆腐とお野菜の煮物、それにふわとろ玉子のモヤシ炒め!これで一人当たり130円なんですよ凄くないですか?詳しく知りたい人は○ッ○パッドで検索してくださいね」
「最後のは誰に話しかけてるんだ?」
「気にしない気にしない、さてと先輩、ティッシュの箱を持ってきて下さい」
「ん?」
「イマ姉ちゃん何すんの何すんの?」
「なにちゅんの?」
「まずは箱からティッシュを全部取り出します」
「そしてちょうど真ん中ではさみで切って2分割します」
「そして箱の中に元に戻して、箱の上の取出し口の真ん中を仕切って取出し口も2つにします」
「これでどちらからでも半分サイズのティッシュペーパーが出てきます」
「ってことは枚数が倍になる?」
「正解!刈谷先輩10ポインッ!」
「なるほどー!イマ姉ちゃん賢い!」
「おねえちゃんかちこち!」
「ちょっと位の汚れなら1枚使うのもったいないでしょ?ちょっと位のフフンフ~フンフフン♪」
「……」
「あれ?知りません?ミスチル?」
「知ってるけど、お前こそよく知ってるな」
「お母さんがいつも歌ってますもん大好きなんです」
「ふ~ん、まあそれより楽しそうだな間宮」
「そりゃ楽しいですよ!自分のやりたいことが出来て、それで喜んでくれる人が居るんですから!凄く幸せです!幸次君も幸乃ちゃんもお手伝いいっぱいしてくれるしお婆ちゃんも優しくて何でも教えてくれるし、あとは先輩が……だよねぇ?幸乃ちゃん」
「おみしょちるのおうた?」
「ん?……そう、そうよお味噌汁のお歌ね、お姉ちゃんのお母さんが大好きなの」
「おかあさん?」
「あっ!ごめんなさい私……」
私の軽率な言葉でまた幸乃ちゃんを悲しませる所でしたが、お婆ちゃんがそっと幸乃ちゃんを抱き寄せ頭を撫でながら「ゆきちゃんのお母さんは今は見えないけどずっとゆきちゃんのことを見ているのよ」と優しい声で説明してくれました。




