貯金残高100円
「けどアンタも懲りないね、フラれたんでしょ?刈谷先輩に」
私と可奈は駅前の24アイスでイートインしながらおしゃべりしていた。可奈のトリプルアイスの代金はしっかり私の財布から出ていってしまいました。
「う~ん、そう言われてしまうとそうなんだけど、理由がね」
「『経済的理由』ってヤツだっけ?」
「うん、そう、ほら良くある『生理的にムリ』とか言われるならさ、ああもう無理なんだなぁって思えるけど『経済的にムリ』ってことは私のことを嫌いな訳じゃないのかなぁって」
「どうかなぁ、ただ傷付けないようにそう言っただけかも知れないしさ、もしかしたら上手い事言ってさ、アンタの事を利用してるのかも知れないじゃん?」
バンッ!ついテーブルを叩いてしまった。
「可奈は刈谷先輩の事何も分かってない!!!」
「ご、ごめん言い過ぎたね」
「刈谷先輩は……刈谷先輩は……ホントに貧乏なんだから!!!」
「そっちかい!」
「でもさ、今子がその気になったらさ、すぐに紹介してくれって言ってる男子が居るのよねぇ、私はアンタがそんな気ないの知ってるからテキトーに流してるんだけどさ、もしホント彼氏作りたいならいつでも紹介してあげるからね!」
「私は刈谷先輩一筋です!」
「あっ!見て見て!高藤さんじゃない?」
アイス屋さんのガラス越しに見えたのは駅で待ち合わせをしていた様子の1つ上の先輩の高藤理緒奈さんでした。
「あれ、彼氏かな?あの制服は北高ね。また彼氏変えたのかな、この間までウチの3年と付き合ってたでしょ?その前も、たしか私達が入学してからもう5人とは付き合ってるよ、たしかに美人だけどさぁ、ヤな感じね」
可奈がパパラッチに夢中になっていたので、私はそっと可奈の二段目のストロベリーアイスをスプーンですくってすぐさま口に入れてやりました。
「うううっ!キーンってなる!ううう!」
「ああ!今子ズルい!バカ!返せー!」




