貯金残高―――
「刈谷先~輩!」
「よう!」
「さすがに外での日なたぼっこはしないんですね?」
「さすがにな」
12月に入ってからの刈谷先輩は昼休みも友達の先輩方々と教室で一緒に居ることが多くてなかなか会いにいけなかったのです。
今日はどうしてもしておきたい話があったので朝から約束して体育館に来てもらっていました。
開放された体育館では皆バスケットやバレーをして昼休みを楽しんでいて、私達が二人で居ても誰も気にしません。
「どうしたんだ?話って?」
「ん~ん、愛の告白でもしちゃおうっかなぁって」
「そうか、ヤメとけフラれるぞ」
「先輩のイケズ!冗談ですよ今はまだ!」
「実はですね、受け取って欲しいものがありまして」
「そういう行為はあんまり嬉しくないんだよなぁ」
「そんな事を言わずにコレッ!受け取って下さい!」
私は一冊のノートを差し出しました。
「ん?…冷蔵庫在庫ノート?」
「はい!で、ですね」
ノートを開いて私が作ったオリジナル在庫表の説明を始めました。
「この前先輩んチにお邪魔した時に思ったんですけど結構ムダになってる食材があったんですよね、1円でも安い買い物をするのも節約ですけどそれよりまず買ったものをムダにしないっていうのが大事なんですよね」
「ふ~ん、出来るかなぁ、自信ないなぁ」
「ひ……ひどい……私は、少しでも……先輩のことを……ウルウル」
「おい!泣くなよ!ヤメろって人が居るだろ!わかったよ!やる、頑張ってやるから」
「はい、じゃあ説明続けますね。ここに入っているモノの名前を書いて下さい、この残量の欄は見た目でいいですので、それからここは賞味期限です」
「お前……嘘泣きなんてそんな技覚えたのか?」
「じゃあ先輩、毎週月曜日には提出して下さいね宿題ですよ!昼からも頑張って下さいねー!」
先輩の気が変わらないうちに急いで退散する私でした。




